ハイテクを満載したキング オブ アメリカンSUV、新型エスカレードの魅力とは

新型キャデラック エスカレード|維持費・燃費・価格【2021年版】

新型キャデラック エスカレードのフロントビュー
新型キャデラック エスカレードのフロントビュー。
キャデラック エスカレードは、ラグジュアリーなフルサイズSUVのパイオニア的存在。サイズ、風格、豪華さのすべてが規格外なアメリカンSUVの代表モデルだ。なかでも、2020年2月に5代目へフルモデルチェンジした最新型エスカレードは、自動車業界における“初”を満載して登場。まさにキャデラック渾身の1台である。

「キャデラック エスカレードとは」

新型キャデラック エスカレードのフロントビュー
5代目にフルモデルチェンジした新型キャデラック エスカレードは、2020年2月にワールドプレミアされた。日本国内へのデリバリー開始は2021年夏を予定している。

キャデラック エスカレードは、1998年2月8日に同ブランド初のSUVとして生産をスタートした。1990年代終わり頃のアメリカでは、コンパクト〜ミッドサイズSUVよりも、フルサイズSUVの人気が急速に高まっていた。そこでリンカーン ナビゲーターと覇権を争うように登場したのが、初代エスカレード。本物のウッドやレザーをふんだんに使ったキャデラックならではの内装や、豪華なグリルをSUVにも踏襲。独自のデザインセンスと得意のテクノロジーを駆使し、セグメント内で確固たる地位を一気に確立したのである。

キャデラック エスカレードのモデルチェンジの歴史

その後も快進撃は続き、販売台数は2001年に登場した2代目でプラス35%、2004年にはおよそ160%の伸び率を記録。2020年までの20年あまりで、世界累計90万台超を売り上げてきた大型SUVのアイコンだ。ちなみに「Escalade」とは、城壁を乗り越えるために使った雲梯(長いはしご)を意味する単語。エスカレードの長大でボクシーなボディにふさわしいネーミングといえる。

初代キャデラック エスカレード1999〜2000年
2代目キャデラック エスカレード2002〜2006年
3代目キャデラック エスカレード2007〜2014年
4代目キャデラック エスカレード2015〜2020年
5代目キャデラック エスカレード2020年〜
歴代キャデラック エスカレードのモデルイヤー

キャデラック エスカレード新型モデル「プラチナム/スポーツ」

新型キャデラック エスカレードの日本お披露目。フロントビュー
新型キャデラック エスカレードの日本お披露目は2021年1月に実施された。写真の仕様はブラックトーンでまとめたグレード「スポーツ」。

5代目に進化した新型キャデラック エスカレードは、2020年11月13日より日本での販売をスタート。ラグジュアリー系の「プラチナム」とクールな「スポーツ」という、トリム違いの2グレードをラインナップしている。

キャデラック エスカレード プラチナム/スポーツの違い

新型キャデラック エスカレードの正面ビュー
新型キャデラック エスカレードの「プラチナム」は、光沢めっきのパーツを多用したラグジュアリーなムードが特徴のグレード。

新型エスカレードは6.2リッターV8エンジン+10速AT+4WDの組み合わせを全車に採用。パワートレインは共通だが、“衣装”違いでガラリと雰囲気の異なる2グレードを展開した。

「プラチナム」は、光沢のあるクロームめっきパーツがグリルやピラー、サイドモールディング、ルーフレールを飾るラグジュアリー志向。インテリアも、ブラックのほかにベージュ基調のレザー地にブラウンのウッドを合わせたエレガント漂う仕様を選択できる。ボディカラーはブラック、ホワイト、モカ、サンドストーン、シャドーの5色をラインナップしている。

一方「スポーツ」はブラックのメッシュグリルをはじめ、サイドモールディングやルーフレールもグロスブラック仕立てというダーク基調。ボディカラー/インテリアカラーともに黒一色にこだわり、凄みを全面に押し出した仕様となっている。

往年のキャデラックに通じる豪奢なラグジュアリー世界を凝縮した「プラチナム」は、古きよきアメリカ車を愛する層へ、現代的な引き締まったダーク仕立ての「スポーツ」はモダンなSUVテイストを求める若者層へと、新型エスカレードはいずれもそれぞれの異なるカスタマーにアピールする強烈な個性を持ち合わせている。

新型キャデラック エスカレードの内装・外装画像

新型キャデラック エスカレードのキャビン
新型キャデラック エスカレードのキャビンは、レザーをはじめとした本物志向のマテリアルを厳選した高品質な雰囲気でまとめられている。
新型キャデラック エスカレードのフェイシア
新型キャデラック エスカレードのセンターコンソール下には、冷凍もできる冷蔵機能つきコンパートメントを搭載。

キャデラック車の伝統にのっとり、本物のウッド素材やレザーを用いたインテリアは豪華絢爛な雰囲気。パーフォレーテッド(通気孔つき)仕様のたっぷりとしたサイズのシートには、ベンチレーション機能はもちろん、マッサージ機能も搭載する。

センターコンソール下には、冷凍も可能な冷蔵庫まで内蔵している。

新型キャデラック エスカレードのサイドビュー
新型キャデラック エスカレードの全長は5mを優に超える。堂々たる体躯は、金庫のように逞しい。

力強く逞しいボディは、金庫のように大きく量感に溢れている。前後左右どこから見ても、どんなに遠く離れていても、「それ」と分かるデザインを採用している。

120mm延長したホイールベースが生み出す堂々たるサイズが、道路上の豪華客船のように圧倒的な存在感を放つ。遙か遠くからでもエスカレードと判別できる唯一無二の体躯の足元は、22インチの大径ホイールを標準装備した。

キャデラック エスカレードのサイズ・スペック・価格

ボディサイズ全長5382 全幅2060 全高1948mm
ホイールベース3071mm
トレッド前1737mm 後1730mm
車両重量2641kg
エンジンV型8気筒OHV
総排気量6162cc
最高出力313kW(426ps)/5600rpm
最大トルク623Nm/4100rpm
トランスミッション10速AT
駆動方式AWD
サスペンション形式前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
タイヤサイズ前後275/50R22
車両本体価格(税込)プラチナム=1490万円/スポーツ=1520万円
現在プレオーダーを展開中。8月中にもデリバリーを開始する模様だ。

「ESV(ロングボディ)モデルの国内販売状況(2021現在)」

キャデラック エスカレード ESVのフロントスタイル
エスカレードのロングボディ版、ESV(写真左)。6m近い巨大なボディサイズを誇り、日本国内への正規導入はされていない。

全長5382mmとただでさえ長大なボディを誇るエスカレードだが、本国にはさらに全長を伸ばしたエスカレード ESVがラインナップされている。その全長は実に227インチ(約5765mm!)と6m近く、もはやストレッチリムジンの域に達するボディサイズだ。

400mm近く延長された全長は室内スペースの拡充に貢献し、世界に名だたるショーファードリブンの一角を形成している。あまりの巨大さゆえに国内への正規導入は見送られているが、並行輸入車として国内に上陸を果たしている個体も存在する。

キャデラック エスカレード新型モデルの特徴

新型キャデラック エスカレードのコクピット
新型キャデラック エスカレードのコクピットには、弓なりに曲がるOLEDディスプレイを採用した。

今回の新型エスカレードを、GMは「キャデラックの最高傑作」と呼ぶ。その主張を裏付けるのが、新たに採用したいくつもの画期的な機構だ。

まず、室内でひときわ目を惹くのが、業界初採用の湾曲型OLEDディスプレイ。38インチ超の広大な投影エリアを備え、かつ弓なりにカーブする巨大画面は、ダッシュボード周りに今まで見たことのないハイテク感を与えている。

メーターフードが消えたコクピット

新型キャデラック エスカレードの日本お披露目。メーターディスプレイ
新型キャデラック エスカレードは高精細で発色に優れたOLEDディスプレイを使用。メーターフードが要らないため、コクピット周りがすっきりしている。

38インチ超の大きなスクリーンエリアを構成するのは、7.2インチのタッチ式ディスプレイ+14.2インチのメーターディスプレイ+16.9インチのインフォテインメント用ディスプレイという3つの画面。

鮮やかな発色やクリアな画質を特徴とするOLED画面は、4Kテレビの2倍のピクセル密度を実現。とりわけ黒の再現度が高く、市販されている車載ディスプレイの中では最も広い色域をもつという。グラフィックの色や輪郭もくっきり鮮やかに表示され、乱反射も防ぐので、従来のメータークラスターに必要だったフードもさっぱり取り払われているのが特徴だ。

キャビンも荷室もとにかく広大

新型キャデラック エスカレードの日本お披露目。サードシート
新型キャデラック エスカレードのサードシート。天地・左右方向ともに大人でも十分に余裕のあるスペースを確保する。

ドアを開けても、テールゲートの向こう側も、エスカレードの車内はどこもかしこも広々としている。先代比でホイールベースは+121mm、全長+187mm延長。さらに、新しい独立懸架サスペンションの採用によりフロア高を低めることができ、天地方向にも余裕が生まれている。

3列目シートのレッグルームも先代比で40%拡大。大人が7人乗っても、悠々長距離ドライブを楽しむことができる空間がそれぞれのシートに用意されている。

世界のAKGが音響を開発

新型キャデラック エスカレードのスピーカーカバー
新型キャデラック エスカレードには、業界初のAKG製オーディオシステムを採用。高性能のマイクロフォンとスピーカーを利用した前席・後席会話用音響システムも搭載している。

さらにもうひとつ、「業界初」の機構としてAKG製のオーディオシステムも採用した。キャデラックのために専用のオーディオシステムを開発したのは、マイクロフォンやヘッドフォンの世界的ブランドとして知られるAKG。28チャンネル仕様のアンプを3基搭載し、36個ものスピーカーで構成する画期的かつ贅沢な音響空間が作り上げられた。

さらに、音声入力マイクも搭載。スピーカーと協調してキャビン内の会話のやりとりをサポートする機能を採用することで、広大なエスカレードのキャビンでも、声を張り上げることなくコミュニケーションをとることができるよう配慮した。

プライベートにもビジネスにも

新型キャデラック エスカレードのリヤエンターテインメントシステム
新型キャデラック エスカレードの日本導入仕様は、12.6インチタッチディスプレイを備えたセカンドシート用のエンタテインメントシステムが標準装備となる。

2列目シートには、クラス初の12.6インチタッチディスプレイを2基備えたエンターテインメントシステムを備える。ディスプレイはHDMI及びUSB入力に対応しており、スマートフォンをミラーリングしたり、ゲームや音楽、映像をストリーミング再生することが可能。長時間のドライブや仕事中の移動でも時間を有効に活用することができる。

もちろん機能性にもぬかりはない。ちょっとした荷物の出し入れに便利なガラスハッチを採用するので、巨大な電動テールゲートを開け閉めしづらい狭い場所で重宝する。さらに、ラゲッジコンパートメントは先代比で68%もスペースを拡大。電動スイッチひとつで3列目シートを倒せば、より大きな荷物や長尺物を悠然と飲み込んでくれる。

伝統のOHVエンジンに先進の足まわり

新型キャデラック エスカレードのリヤビュー
歴代エスカレードがそうであったように、今回もまた多くの先進テクノロジーを搭載して登場した5代目。その圧倒的な存在感や機能性、性能を鑑みると、コストパフォーマンスの高さで群を抜く1台といえる。

新型エスカレードに搭載するパワートレインは、426ps/623Nmの6.2リッターV型8気筒OHVエンジン。トランスミッションには10速AT、駆動方式はセレクタブル4WDを組み合わせる。足まわりはキャデラックの減衰力制御システム「マグネティック・ライド・コントロール」とエアサスペンション「エア・ライド・アダプティブ・サスペンション」、そして電制LSDがあいまって、快適で安定した乗り心地と優れたコントロール性の両方を提供する。

また、4台の外部カメラで撮影した車両周辺の状況を、200万画素の俯瞰図で表示する「サラウンドビジョン」を標準搭載。レーンキープアシストやブラインドスポットモニター、エマージェンシーブレーキシステム、危険を感知するとシートクッションを振動させてドライバーに警告を促すセーフティアラート付きシート、ナイトビジョンなど、先進安全支援機能の数々も全車に装備している。

キャデラックのフラッグシップSUVとして、絶対的な存在感を放つ新型エスカレードの国内販売価格は、「プラチナム」が1490万円、「スポーツ」が1520万円。いずれも左ハンドル仕様となる。

キャデラック エスカレードの燃費及び維持費

新型キャデラック エスカレードの日本お披露目。リヤビュー
新型キャデラック エスカレードのリヤビュー。縦長の特徴的なテールライトがひと際目を惹く。

個人車両としてはもちろん、優れた快適性や様々な装備によって法人用途としても使えそうなのが新型キャデラック エスカレードの大きな特徴。気になる燃費や維持費はどうだろうか?

気筒休止システムや10速ATが燃費に寄与

新型キャデラック エスカレードの日本お披露目。エンジンコンパートメント
6.2リッターV型8気筒OHVエンジンを搭載。これに10速のオートマチックトランスミッションを組み合わせる。

6.2リッターV8エンジン搭載、車両重量2740kg、駆動方式4WDとなれば、省燃費に貢献する要素は皆無と言って差し支えない。カーボンフリーが声高に叫ばれるこのご時世、燃費は良いに越したことはないものの、エスカレードに関しては「こういうものだ」と目をつぶるべきではある。

とはいえ、V8エンジンはクルージング状態などで4気筒あるいは6気筒を休止させる「ダイナミックフューエルマネジメント」システムを搭載し、小刻みな変速で効率的な走行状態を促す10速ATの採用もあいまって、北米仕様のEPA値では高速道路で約8km、市街地では約5.5kmを計上している。

年間維持費は各種税金がネックか

排気量6.0リッター超の自動車税は年間11万円。エコカー割など特別優待措置はないので満額を納税する必要がある。これに年間走行距離×ガソリン代、自動車保険、賃貸であれば駐車場代などが加算されるので、乗用車の年間維持費としてはトップクラスの出費となるのは間違いない。

さらに自動車重量税も上限の年間2万4600円かかるので、仮に公道走行可能な状態を維持しつつ自宅駐車場に置きっぱなしでまったく走行しなかった場合でも、税金だけで年間にして13万4600円、自賠責保険がこれに1万3340円加算されて14万7940円かかる計算だ。

年間自動車税11万円
年間重量税2万4600円
年間自賠責保険料1万3340円
税金関係では最大排気量・最大重量の枠にあたる。

「キャデラック エスカレードの中古車価格相場(2021年8月現在)」

プレオーダーがスタートしたばかりで正規輸入車の中古は存在しない。数は少ないものの並行輸入車を市場で見かけるが、こちらも新車並行であり価格的に大きなうま味はない状況だ。2021年8月からのデリバリーを予定しているため、中古車相場が形成されるのは早くとも3年後の車検タイミングである2024年からになるだろう。

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…