【ランボルギーニ ヒストリー】バージョンアップを重ね進化するムルシエラゴ

進化を続けたランボルギーニのV12フラッグシップ「ムルシエラゴ」後期(2006-2009)【ランボルギーニ ヒストリー】

【ランボルギーニ ヒストリー】バージョンアップを重ね進化するムルシエラゴ
搭載する6.5リッターV12は最高出力640PSに達し、車名も「LP 640」を名乗るムルシエラゴ。
アバンギャルドなエクステリアデザインと、伝統のパワートレイン搭載方法などが共存した「ムルシエラゴ」。熟成を重ねて搭載するV12エンジンの最高出力は640PSまでアップ。さらに限定モデルで670PS版などが登場した。

Lamborghini Murciélago LP 640

2006年には640PSにパワーアップ

ランボルギーニ ムルシエラゴ LP 640 ロードスター。LPの名はカウンタック以来の使用で、この頃からパワー値と組み合わせた車名が使用されるようになった。

新世代12気筒ミッドシップ「ムルシエラゴ」の開発はアウディの主導で進められた。確かにムルシエラゴは先進のメカニズムを採用し、デザインにも斬新さが満ち溢れるモデルだったが、その一方で鋼管スペースフレームを継続して採用したことや、何よりカウンタックの開発時に、かのパオロ・スタンツァーニが考案した独特なパワーユニットの搭載方法、すなわち一般的なフロントエンジン車とは前後逆方向にパワーユニットを後方から搭載するという、いわば力技ともいえる方法を継承するクラシカルな一面を持つモデルだった。先進と伝統の共存、ムルシエラゴはまさにこう表現すべき12気筒モデルだったのだ。

ムルシエラゴは2001年のデビュー以来、スーパーカーの市場では常に大きな話題を呼び、ランボルギーニ、そしてアウディの狙い通りに好調なセールスを続けてきた。2004年に追加されたロードスターは、そのデビュー前年に発表されたプロトタイプがバルケッタと呼ばれたことにも象徴されるように、イタリアの伝統的なオープンモデルの姿を再現したもの。すなわち簡素なソフトトップのみを備える軽量なオープンスポーツというコンセプトが高く評価され、最大の市場であるアメリカのみならず世界中で好評を博していた。

ヴェルサーチとのコラボレーションモデルも登場!

ファッション・ブランドのジャンニ・ヴェルサーチとのコラボレーションモデル「LP 640 ヴェルサーチ」は2006年に発表。そのロードスターは2008年に、いずれも限定車としてデビューする。左右のシート間にはVersaceの名を刻んだプレートが貼られている。

2006年、ランボルギーニはムルシエラゴのビッグマイナーチェンジ版ともいえる「LP 640」を発表。その商品力をさらに高める戦略をスタートさせる。LP 640というサブネームは、ランボルギーニのファンにはカウンタック時代を彷彿させるもので、“LP”はそれと同様にエンジンをミッドに(後方に)縦置き搭載することを意味している。カウンタックと異なるのは、それに続く数字がV型12気筒エンジンの最高出力を表していること。LP 640に搭載されたV型12気筒エンジンは、排気量をさらに6496ccにまで拡大した640PS仕様だった。

さらにランボルギーニは、同年末にはそのオープン仕様となる「LP 640 ロードスター」を発表。そしてデビュー順は若干前後するが、この2006年にはファッション・ブランドのジャンニ・ヴェルサーチとのコラボレーションによる限定車も誕生した。2008年にはそのロードスター仕様も発表され、その独特なフィニッシュは当時話題を呼んだ。

670PS仕様のSVは350台の限定で2009年にデビュー

SV=スーパーヴェローチェの称号が与えられた「ムルシエラゴ LP 670-4 SV」。V12エンジンは670PSまで高められ、同時に100kgもの軽量化により、刺激的な走行性で魅了した。

2009年になると、究極のムルシエラゴともいうべきモデル「LP 670-4 SV」が登場する。SV(Superveloce=スーパーヴェローチェ)とは、ミウラやディアブロでも使用されたランボルギーニでは最も価値ある称号のひとつ。その戦闘的なフォルムはもちろんのこと、スタンダードなムルシエラゴからさらに30PSのエクストラパワーを得て、最高出力670PSを発揮。このV型12気筒エンジンは、新タイプのインテークやエキゾーストシステムの変更など、独自のチューニングによって実現したものだった。

同時に軽量化もより徹底され、ウエイトは1565kgとLP 640比で実に100kgも軽くなった。前後のフェンダーやリヤサイドパネルなどをカーボンファイバー化したほか、インテリアやパワートレインなどの軽量化により、この100kgのダイエットは実現できたと説明されている。参考までに350台が限定販売されたLP 670-4 SVの最高速度は342km/h。0-100km/h加速は3.2秒という、非常に刺激的な数字が並んだ。

独特のカラーが際立つ、LP 650-4 ロードスター

個性的なカラーリングをまとう「ムルシエラゴ LP 650-4 ロードスター」。50台限定という超希少車。

LP 670-4 SVの誕生からわずか10日後、ランボルギーニはロードスターにも新たなハイパフォーマンスモデル「LP 650-4 ロードスター」を発表している。グレー系の専用色「グリジオ・テレスト」を採用し、オレンジのアクセントカラーを専用のロゴやボトム部に使用した、個性際立つ雰囲気をもつ。

V型12気筒エンジンを650PSにまでチューニングしたこのモデルは50台の限定車で、現在ではコレクターズアイテムのひとつとなっている。

SPECIFICATIONS

ランボルギーニ ムルシエラゴ LP 640

発表:2006年
エンジン:60度V型12気筒DOHC(4バルブ)
総排気量:6496cc
圧縮比:11.0
最高出力:471kW(640PS)/8000rpm
最大トルク:660Nm/6000rpm
トランスミッション:6速MT(6速セミAT)
駆動方式:AWD
車両重量:1665kg
最高速度:340km/h

ランボルギーニ ムルシエラゴ LP 640 ロードスター

発表:2006年
エンジン:60度V型12気筒DOHC(4バルブ)
総排気量:6496cc
圧縮比:11.0
最高出力:471kW(640PS)/8000rpm
最大トルク:660Nm/6000rpm
トランスミッション:6速MT(6速セミAT)
駆動方式:AWD
車両重量:1665kg
最高速度:330km/h

ランボルギーニ ムルシエラゴ LP 670-4 SV

発表:2009年
エンジン:60度V型12気筒DOHC(4バルブ)
総排気量:6496cc
圧縮比:11.0
最高出力:493kW(670PS)/8000rpm
最大トルク:660Nm/6000rpm
トランスミッション:6速MT(6速セミAT)
駆動方式:AWD
車両重量:1565kg
最高速度:342km/h

ランボルギーニ ムルシエラゴ LP 650-4 ロードスター

発表:2009年
エンジン:60度V型12気筒DOHC(4バルブ)
総排気量:6496cc
圧縮比:11.0
最高出力:478kW(650PS)/8000rpm
最大トルク:660Nm/6000rpm
駆動方式:AWD
最高速度:330km/h

解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

発表会場となったチェントロ・スティーレ。そこで我々を待っていたのは、「REVUELTO」(レヴエルト)のプレートを掲げた一台の新型12気筒ミッドシップだった。

「1000PS超のV12PHEVスーパースポーツ」新型ランボルギーニ レヴエルト誕生

ついにランボルギーニがアヴェンタドールの後継となる新型V12フラグシップスーパースポーツ「レヴエルト」を発表した。同社初となるプラグインハイブリッドである。ランボルギーニ設立60周年の金字塔となるか? チェントロスティーレで行われた事前発表会を取材した山崎元裕が報告する。

キーワードで検索する

著者プロフィール

山崎元裕 近影

山崎元裕

中学生の時にスーパーカーブームの洗礼を受け、青山学院大学在学中から独自の取材活動を開始。その後、フ…