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Lamborghini Veneo
ランボルギーニ創立50周年記念モデル「ヴェネーノ」
ランボルギーニの創立50周年を記念するアニバーサリーモデルは、いつどのような姿で発表されるのか。その50周年にあたる2013年を前に、ランボルギーニのカスタマーやファンは、さまざまな予想や噂に翻弄させられることになる。だがその発表はあまりにも突然の出来事だった。
2013年の5月には創立50周年のオフィシャル・イベントが、サンタアガタ・ボロネーゼのランボルギーニ本社で行われることが決定していたから、アニバーサリーモデルはここで発表されるに違いないという大方の予想を裏切り、それは2013年のジュネーブ・ショーで一切の事前予告なく、そして予想をはるかに超えたプライスを掲げて登場したからだ。
かつて100万ユーロカーとしてムルシエラゴをベースとしたレヴェントンを限定車(20台のクーペ、20台のロードスター)として送り出したランボルギーニ。彼らが今回誕生させたのは、実に300万ユーロのプライスを設定したヴェネーノと呼ばれる、わずか3台のみが限定生産されるモデルだったのだ。
伝説的な闘牛の名を冠した限定3台のみのスペチアーレ
ヴェネーノは、スペイン闘牛史の中でも最強であり、かつ攻撃的なファイティングブルだったという。スペインのアンダルシアにあるサンルーカル・デ・バラメーダ闘牛場で1914年に行われた試合で、闘牛士のホセ・サンチェス・ロドリゲスを死に追いやったことで、その名は闘牛史に刻まれることになった。ランボルギーニの50周年記念モデル、ヴェネーノもまた、それと同じように永遠にその名前を歴史に残す一台となるのは間違いない。
ジュネーブ・ショーでの発表時点で、すでにオーナーがすべて決定していたというヴェネーノ。エクステリアデザインは、アヴェンタドールよりもさらにシャープで斬新なラインで構成されている。それはかつてランボルギーニが開発したセストエレメントにも大きな影響を受けたデザインともいえるが、前後のフェンダーをボディから独立させたように見せるテクニックや、ルーフの後端にあるエアインテークに始まるダイナミックなリヤセクションでの造形は、理想的なエアフローとエアロダイナミクスが実現されていることを予想させる。Y字型のデイタイムランプを備えるヘッドライト、そしてテールランプは、アヴェンタドールにも共通して見ることができる現代ランボルギーニのアイコンだ。
6.5リッターV型12気筒NAエンジンは750PSを発生
ミッドに搭載されたエンジンは、アヴェンタドールと共通の6498ccV型12気筒自然吸気。吸排気システムや高回転化によって最高出力は750PSにまで高められ、それに組み合わされる7速セミAT(ISR)や、電子制御多板クラッチによる4WDシステム、さらにはプッシュロッド方式の前後サスペンションのセッティング等々は、すべてヴェネーノのために見直されたという。
参考までにヴェネーノの乾燥重量はわずかに1450kg。これはアヴェンタドールが1575kgをスペックシートに掲げていたことを考えると125kgの軽量化という結果になるが、そもそもカーボン素材を積極的に用いたアヴェンタドールから、さらにここまでのダイエットを可能にするのは、容易なことではなかっただろう。
市場の要望に応え9台のロードスターを追加生産
注目の運動性能は、0→100km/h加速が2.8秒、最高速度は355km/hに達する。これはもちろんスーパースポーツの中ではトップクラスの性能だが、逆にそのレベルを可能にしなければ50周年記念モデルとしての価値も、またオーナーの満足度も得ることはできなかったに違いない。300万ユーロという価格は、その満足度、そして希少性への対価なのだから。
当然のことながらヴェネーノの人気は高く、ランボルギーニは3台のヴェネーノの生産を終えると、続いて9台のヴェネーノ ロードスターを生産することを発表。車重は1490kgとされ、0→100km/h加速や最高速度はいずれもクーペには若干劣るものの、それでもその9台は330万ユーロという価格にもかかわらず、すべて一瞬でオーナーが決定したという。
SPECIFICATIONS
ランボルギーニ ヴェネーノ
発表:2013年
エンジン:60度V型12気筒DOHC(4バルブ)
総排気量:6498cc
圧縮比:11.8
最高出力:552kW(750PS)/8400rpm
最大トルク:690Nm/5500rpm
トランスミッション:7速セミAT ISR
駆動方式:AWD
車両乾燥重量:1450kg
0→100km/h加速:2.8秒
最高速度:355km/h
解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)