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Pagani Utopia
ダ・ヴィンチの故郷ミラノで公開されたウトピア
9月12日、パガーニの3作目となるウトピアはイタリア・ミラノにおいて、ミラノ音楽院のシンフォニック・オーケストラの演奏をバックに、創業者のオラシオ・パガーニが見守る中でワールドプレミアされた。
ダ・ヴィンチの故郷ミラノは、世界最高の芸術家であり、人文学者、自然科学者であるレオナルド・ダ・ヴィンチに関する世界最大の常設展示「レオナルド・ギャラリーズ」を有しており、新発表の場としてこれ以上ないと、パガーニは説明する。
パガーニはウトピアを、ミラノの中心部にある「レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館」へと持ち込んだ。パガーニを立ち上げたオラチオ・パガーニは、レオナルド・ダ・ヴィンチへのリスペクトを公言しており、その芸術性の高さから「スーパースポーツ界のダ・ヴィンチ」と呼ばれている。
オラチオ・パガーニは、今回のウトピアの開発においても、ダ・ヴィンチの芸術と化学に対する姿勢が反映されていると明かしており、これを受けて、国立科学技術博物館のサラ・デル・チェナコロ食堂に置かれたウトピアの周囲には、アンブロジアーナ図書館(Biblioteca Ambrosiana)が所蔵する非常に貴重なダ・ヴィンチ作の原画6作が展示された。
ダ・ヴィンチとパガーニの強い結びつきを紹介する特別展
今回、レオナルドダヴィンチ記念国立科学技術博物館において、ウトピアの公開を記念し、パガーニに関する数々の著作を持つピエトロ・C・マラーニがキュレーションを担当した特別展、「The shape of air: from Leonardo to Pagani Utopia」を開催。天才芸術家ダ・ヴィンチが描いた“空気”に関する研究と、ウトピアのデビューまでの過程が紹介される。
パガーニ製ハイパースポーツのデザインとダ・ヴィンチの作品の結びつきを紹介するため、ミラノのアンブロジアーナ図書館から6作の貴重な原画作品が貸し出されることになった。展示会のために一時的に保管庫から持ち出されることは、非常に珍しいという。
この特別展は、来場者にふたつの気づきを与える機会になりそうだ。ひとつは500年以上も前、目に見えない空気まで表現する能力を持ったダ・ヴィンチの驚くべき才能を、直筆のメモとデッサンがまとめられた「アトランティコ手稿」から読み解く展示。もうひとつは、デザイナー、オラチオ・パガーニと彼のチームがウトピア・プロジェクトを構想するに至った「思考」を紹介する。こちらは動画やデッサンを中心に展開される。
「ミラノの国立科学技術博物館という特別な環境で、ウトピアを公開できることは、特別な意味を持ちます。レオナルド・ダ・ヴィンチは、ここミラノにおいて非常にクリエイティブで、素晴らしい時代を過ごしました」と、オラチオ・パガーニ。
「彼は私が少年の頃から人生に大きな影響を与え、私たちの仕事の指針となる、芸術と化学に関する様々なインスピレーションを与えてくれました。だからこそ、彼の名を冠した博物館において、彼の原画を我々の新型モデルの横に置くことは、私にとって言葉では言い表せないほどの感動を与えてくれるのです」
様々な展示の先に置かれた「ウトピア」
来場者は、パガーニ・ウトピアプロジェクトの初期段階を、一連の特別パネルでたどることができる。インスピレーションの源から、初期スケッチ、カラーパレット、使用が検討されたマテリアルなどが、3次元の展示ボードに凝縮された。そして、その先に、サラ・デル・チェナコロ食堂に置かれた、ウトピアを間近に見ることができる。
今回の特別展を作り上げたピエトロ・C・マラーニは、展示を見ることでパガーニとダ・ヴィンチの結びつきを理解できると説明する。
「レオナルドの観察眼と空気力学への洞察が、オラチオ・パガーニの作品と一本の糸で結ばれています。まるで、レオナルドが直感した空気が形を作り上げるプロセスを、現代の自動車デザイナーが最終的に具体化したかのようです」
特別展にはゾンダ C12(1999年)と、ウアイラ クーペ(2011年)という2台のパガーニ製ハイパースポーツも持ち込まれた。また、開催期間中に流される音楽は、若き日のオラチオ・パガーニが作曲した曲をもとに、ミラノ音楽院がアレンジを加えた交響曲。こちらの曲はウトピアのワールドプレミアにおいても使用されている。