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Alpine A110 Series
21世紀に蘇ったライトウェイトスポーツ「A110」
20世紀のモータースポーツシーンを彩り、数々の魅力的なロードカーをリリースしたアルピーヌは、ルノー傘下になってからルノー・スポールの一翼を担い、ブランドとしての存在は一時希薄になった。その後アルピーヌブランドは紆余曲折を続けながら復活の機会を窺い、2017年にアルピーヌの名を一躍世に知らしめた過去の名車とネーミングを同一とする「A110」を発表。1995年に生産を終えた610以来、実に22年振りのアルピーヌブランドのロードカー登場は市場から喝采をもって受け入れられた。
21世紀のアルピーヌ A110は、その車名からも窺えるように初代A110からのコンセプトを受け継いでいる。リヤエンジンレイアウト(初代はリヤエンジン・リヤ駆動、新型はリヤミッドシップ)、ライトウェイトボディがその最たるもので、ラリーカー用ライトポッドを彷彿とさせる丸目4灯ヘッドライトも初代のオマージュ。現代のクルマが機能を求めて大きく重くなる傾向にあるなか、ストイックにファンドライブを追求したA110はエンスージアスト以外からも大きな注目を浴びた。
3グレードを揃え限定モデルも登場
2018年に国内導入されたアルピーヌ A110は、シンプルな「ピュア」と充実装備の「リネージ」の2グレードで展開。それから4年、幾たびかの限定モデルの導入と、パフォーマンスアップを施した「S」の投入を経て、2022年に実施した初のマイナーチェンジを機にグレード体系を一新。既存の「A110 ピュア」は「A110」に改称され、「A110 リネージ」は「A110 GT」へと名称変更を行った。ちなみにA110 Sはそのまま引き継ぐ。
導入時期未定の「R」を除き、10月19日現在のA110シリーズは、アルピーヌ・ジャポンの公式サイトを参照すると以下のラインナップとなる。
■レギュラーラインナップ
A110(車両本体価格:811万円~)
A110 GT(車両本体価格:893万円~)
A110 S(車両本体価格:897万円~)
■直近の限定モデル (※予約販売のみ)
A110 S ASCENSION(車両本体価格:1059万円/限定30台)
A110 TOUR DE CORSE 75(車両本体価格::1064万円/限定20台)
グレードの違いは?
いずれも1.8リッター直4ターボを搭載するが、グレードによってパフォーマンスが異なる。A110無印は最高出力252ps/最大トルク320Nm、A110 GTとA110 Sは最高出力300ps/最大トルク340Nmを発生。車重はFUCHSホイールを装着した場合、A110無印とA110 Sが1110kg、A110 GTが1120kgとなる。
A110 Sには空力性能を向上するエアロキット(フロントスプリッターとリヤスポイラー)が用意され、同キットを装着すると車重はプラス10kg。また装備面では、A110 Sにはカーボンルーフが標準装備され、A110 GTはシートヒーター及びシートリフター・リクライニング付きのスポーツシートを備える(無印とSの標準は軽量モノコックバケットシート)。足まわりではA110 Sがシャシースポールを標準装備することも大きな違いだ。
SPECIFICATIONS
A110 | A110 GT | A110 S | A110 R ※1 | |
ボディサイズ:全長×全幅×全高(mm) | 4205×1800×1250 | ← | ← | 未公表 |
ホイールベース(mm) | 2420 | ← | ← | 未公表 |
車両重量(kg) | 1110 | 1120 | 1110 | 1082 |
エンジン | 直列4気筒DOHC+ターボ | ← | ← | ← |
総排気量(cc) | 1798 | ← | ← | ← |
最高出力 | 252ps/6000rpm | 300ps/6300rpm | ← | ← |
最大トルク | 320Nm/2000rpm | 340Nm/2400rpm | ← | 340Nm/2400-6000rpm |
トランスミッション | 7速DCT | ← | ← | ← |
駆動方式 | RWD | ← | ← | ← |
サスペンション形式 | 前後ダブルウィッシュボーン | ← | ← | ← |
ブレーキ | 前後ベンチレーテッドディスク | ← | ← | ← |
タイヤサイズ | 前205/40R18 後235/40R18 | ← | 前215/40R18 後245/40R18 | ← ※2 |
シリーズ最強スペックを誇るA110 R
軽量化を徹底的に追求し車重は欧州仕様でシリーズ最軽量の1082kgを達成。カーボン製のボンネット/ルーフ/リヤスポイラー/リヤウインドウ/ホイールをはじめ、インテリアにもカーボンで作成されたサベルト製シングルシェルシート、ドアノブ代わりのストラップなど随所に軽量化策が施されている。
A110シリーズに追加されたA110 Rは「R=Radical」の名称通り、これまでのシリーズ中もっとも高いパフォーマンスが与えられた。エクステリアを彩る外板パーツは随所でカーボン製に置き換えられ、車高調整機能と減衰力調整機能付ダンパーを装備。アンチロールバーの剛性はA110 Sよりもフロント10%/リヤ25%強化されたうえ、サスペンションスプリングの剛性も同じく10%以上強化している。車高はA110 Sより10mm低く設定し、車高調整機能によってさらに10mm低くすることも可能だ。
ポストインジェクションと2層デュアルエキゾーストパイプ装備の排気システムの採用や、リヤパーテンションガラスをアルミ製に変更しエンジンの防音加工を撤去することで、レーシーなエキゾーストノートを愉しめるように設計。エアロダイナミクスの向上と軽量化により、A110 Rは最高速度285km/h、0-100km/h加速3.9秒を実現し、得意とするコーナリング性能はもちろん、直線でのパフォーマンスも格上のエンジンを搭載するスーパースポーツモデルに追従する。
多様な選択肢がA110シリーズの魅力
新たに加わるA110 Rは、11月下旬に受注を開始する予定で、気になる車両価格も同時期に公開される。現状ラインナップはベーシックなA110無印が810万円から、A110 GTとA110 Sが890万円台からという価格設定のため、カーボンパーツてんこ盛りなA110 Rはおそらく1000万円の大台を越えてくるという予想だ。A110 Rの登場でスポーツ指向の強いA110 SとA110 Rが競合しそうだが、価格設定でA110 Sを選ぶ理由は充分と言える。
ちなみに、A110 Rに装備されるカーボンホイールやボンネット、エキゾーストシステムなどは専用装備であり、他モデルへのオプション装着は今のところ設定されていないので、A110 Rのパフォーマンスを他シリーズで享受することは現状では難しい。ライトウェイトトスポーツの愉しさを手軽に手に入れるならA110無印、プラスアルファの快適性を求めるならA110 GT、サーキット走行でも実績充分なA110 S、さらに過激なA110 Rと、選択肢の拡大はユーザーにとっては歓迎すべきところだ。