SUV版BEVに欠かせないポルシェの新プラットフォーム「PPE」

次期型ポルシェ マカンが採用する新プラットフォーム「PPE」が実現する性能とは?

PPEは現在タイカンが実現する270kWよりも高い充電能力を発揮し、理想的な状況下では5%から80%まで25分以内に充電できるという。
PPEは現在タイカンが実現する270kWよりも高い充電能力を発揮し、理想的な状況下では5%から80%まで25分以内に充電できるという。
次期型のマカンがBEVになるというニュースは、守旧派のポルシェファンに衝撃をもたらした。しかし、その懸念に応えるように従来のプラットフォームを単に電動化対応にするだけでなく、ポルシェらしさがふんだんに盛り込まれたという。ポルシェが開催した電動化ワークショップ「NEXT LEVEL E-PERFORMANCE」でBEV専用プラットフォーム「PPE」を取材した。

Premium Platform Electric

電動SUV向けプラットフォーム

寒冷地に於いても性能を発揮するべく、過酷なテストは続いている。

ポルシェにとって新しい屋台骨となったSUVカテゴリー。その重要なモデルがカイエンの弟分にあたる「マカン」だ。すでにポルシェ自身が発表しているように、次期型のマカンはBEVとなる。そしてその発表は2023年が予定されていたが、ここに来て1年延期されることが噂されている。

一方で、BEVマカンのテスト自体はすでに粛々と進められており、このたびeモビリティワークショップで、メディアにプロトタイプを披露するほど、既成事実的な存在になりつつある。

採用されるプラットフォームはPPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)と呼ばれる電動車用の新プラットフォームでアウディと共用される。これはRWDまたはAWDのBセグメントSUV(=マカン)や、もう少し大きなサイズのSUVまで利用可能だが、全高の低いBEV用のプラットフォームにはならない。ただし次期型「アウディ A6 アバント e-tronコンセプト」はPPEを採用していることを謳っているので、SUVとはクロスオーバーも含むようだ。

タイカンと同等の800Vシステム

搭載されるパワートレインは約450kW(612PS)、最大トルクは1000Nm超を目指すという。800Vシステムが採用されるが、これはタイカンと同等だ。

駆動モーターには最新世代のヘアピンコイルを使ったPSM(永久同期モーター)を使用する。冷却にも改良が施されており、ASM(非同期モーター)と較べて、エネルギー密度や効率が高く、出力の再現性に優れるのがPSMを採用した理由だという。

フロアに搭載されるリチウムイオンバッテリーは12個のモジュールに分割され、約100kWhの容量を誇るという。現在タイカンが実現する270kWよりも高い充電能力を発揮し、理想的な状況下では5%から80%まで25分以内に充電できるという。

電動化によってSUVがスポーツカーのように

最新の電動化技術によるメリットはシャシーにも及ぶ。電動化されたコンパクトSUVといえど、ポルシェに求められるダイナミクスの要求は高いのだ。AWDでありながら48対52の前後重量配分や、マカンとしては初採用のRWS(最大5度)などの採用はスポーツカーに比肩するダイナミック性能を実現するという。

前後にサイズが異なるタイヤ&ホイールを選択できるのも電動化のメリットだという。PPEの場合、22インチまで装着可能で、グリップの向上だけでなく、前後バランスの補正をしやすくなるという。

次期型マカンはあくまでスポーティなコンパクトSUVという立ち位置は不変だが、その中身は未来のポルシェを先取りした、高い運動性能を実現したモデルとなりそうだ。

メインの建屋となるカスタマーセンターはルーフの美しい曲線が印象的だ。

イタリアに行ってポルシェに乗りたくなったらPECフランチャコルタへ行こう「世界のポルシェ・エクスペリエンス・センター」

ポルシェファンのみならず、クルマ好きが最新ポルシェの実力を体験できる施設として注目を集めているポルシェ・エクスペリエンス・センター(PEC)。日本でも千葉・木更津に世界9番目となるPEC東京がオープンしたが、その直前にオープンしたのがイタリアのPECフランチャコルタだ。そのフランチャコルタを訪れたので、素晴らしいPECの雰囲気をお伝えしよう。

キーワードで検索する

著者プロフィール

ゲンロクWeb編集部 近影

ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…