メルセデスが提案する先進の巨大ディスプレイ「MBUXハイパースクリーン」

運転席から助手席まで覆う巨大ディスプレイ「MBUXハイパースクリーン」がもたらす新体験とは?

インフォテインメントシステムで最先端を行くメルセデス・ベンツのMBUXハイパースクリーン。そのサイズと内容の濃さは随一である。
インフォテインメントシステムで最先端を行くメルセデス・ベンツのMBUXハイパースクリーン。そのサイズと内容の濃さは随一である。
運転席から助手席までダッシュボードを埋め尽くす「MBUXハイパースクリーン」。ドライバーディスプレイ、メディアディスプレイ、助手席用ディスプレイを1枚のディスプレイに見えるように配置した大スクリーンは、その見た目のインパクトだけでない。近未来の新しいモビリティの移動空間を創造するテクノロジーを取材した。

MBUX Hyperscreen

ハイパースクリーンはクルマの新たな可能性

ハイパースクリーンが圧倒的な存在感を示すメルセデスEQSのインテリア。※左ハンドルのドイツ仕様

電動化と自動運転に目を奪われがちであるけれど、「自動車の100年に一度の大変革」は、クルマのあらゆる領域におよんでいる。そのひとつがインフォテインメントシステムの進化で、「走る、曲がる、止まる」だけにとどまらない、新しいクルマの魅力を引き出すようになっている。

現時点のインフォテインメントシステムで最も先鋭的なもののひとつが、メルセデス・ベンツのMBUXハイパースクリーンだ。このシステムが装備されるメルセデス・ベンツEQSを題材に、クルマの新たな可能性を探ってみた。なお、MBUXハイパースクリーンはEQS 53 4MATICに標準装備、EQS 450+にはオプションで用意される。

MBUXハイパースクリーンは、運転席ディスプレイ、メディアディスプレイ、助手席ディスプレイの3つを、1枚の大きなガラス板で覆うスタイルとなっている。ここで、「ん? 助手席ディスプレイ?」という疑問をお持ちになった方もいるだろう。そう、MBUXハイパースクリーンの第一の特徴が、助手席の正面にも12.3インチという立派なサイズのディスプレイが設置されていることだ。

助手席ディスプレイの素晴らしさ

では助手席ディスプレイでは何ができるのか。カーナビを表示してドライブを共有するのも楽しいけれど、ほかにもさまざまな使い方ができる。たとえばドライブに飽きやすいお子さんを乗せた場合、ゲームのアプリを開いてTetris®や神経衰弱をプレイさせれば、あっという間に目的地に着く。

テレビ以外の動画を楽しむこともできる。同乗者がBluetoothのヘッドフォンをつないでドライバーが音に気をとられないようにする必要があるけれど、助手席のディスプレイは精緻な画像を楽しめる有機ELだから、クルマが走るシアタールームになる。

ちなみに車両をテザリングして「ブラウザー」を立ち上げると、スマホやパソコンと同じように使える。たとえばGoogleの検索画面にアクセスすることも簡単で、取材スタッフのひとりが、「やばい、ここで仕事ができちゃうじゃないですか」とつぶやいたのが印象的だった。さらに、お気に入りの動画ストリーミングサービスを契約していれば、 動画配信サービスなども楽しめる。いずれにせよ、MBUXハイパースクリーンの登場によって、助手席での過ごし方は大きく変わるのだ。

写真をご覧いただくとわかるように、メカニカルなスイッチやダイヤルは姿を消し、タッチスクリーンで操作するインターフェイスになっている。タッチスクリーンを操作をして気に入ったのが、タッチスクリーンの感触だ。ぺた、ぺた、という無味乾燥なものではなく、ほどよい反力や、状況によっては適度な振動を伝えてくれるのだ。これは、触覚フィードバックを採用しているからで、ただ便利で機能的になるだけでなく、心地よく使えるようになっている点に感銘を受けた。

もうひとつ感心したのが、MBUXの音声認識の精度が上がっていること。音声で目的地を伝えると、ほぼ一発で目的地を設定することができた。このあたりのテクノロジーは、日進月歩で進化している。

愛車とスマホをつなぐアプリ

クルマとの付き合い方が大きく変わるという意味では、Mercedes me connectアプリの存在も大きい。このアプリを自身のスマホにダウンロードすると、ドライバーと愛車がダイレクトにつながる。たとえば遠隔操作で窓やスライディングルーフの開閉、施錠や解錠ができるほか、出発前に空調を効かせて室内を適温にしておくこともできる。

ドライブの前には、多くの人がレストランやアミューズメント施設の情報をパソコンやスマホで調べるはずだ。このアプリを入れておけば、スマホで調べた目的地を、そのまま車両に転送することもできる。

いまや、スマホやパソコンのない生活は考えられないけれど、Mercedes me connectアプリは愛車と情報デバイスをシームレスにつなげてくれるのだ。愛車が、4つのタイヤを備えた移動型超高級スマホになる。

ちなみにアプリをスマホにダウンロードして愛車を登録すると、スマホの画面にはボディカラーなどの仕様が愛車と同じものが表示されるから、愛着が湧く。細かいところだけれど、気が利いている。

走行サウンドやリラクゼーション機能で快適なドライブを

MBUXハイパースクリーンを操作してみて気に入ったのが、サウンドエクスペリエンス。アクセルペダルを踏んだ時の音や、回生ブレーキが作動する時の音を選ぶことができるのだ。やはりエンジンで育った昭和のクルマ好きとしては、無音よりも音があったほうが運転のフィーリングがつかめるような気がする。

その音質は疑似エンジン音というよりも、『宇宙戦艦ヤマト』や『スター・ウォーズ』に出てきそうなSF系の音。音質は選択可能で、メルセデス・ベンツAMG 53 4MATICの場合は、「Authentic」と「Performance」から選ぶことができる。後者はフューチャリスティックなサウンドで、NAのV型12気筒がロックだとするとこっちはEDMの趣で、なかなか楽しい。

もうひとつ言及しなければならないのが、機能をMercedes me Storeで購入可能な点だ。例えば、EQS450+ではオプションのリアアクスルステアリング10°を追加で購入すれば、最大10°まで操舵角が大きくなり、EQSのロングボディでも驚くほど小回りの効くハンドリングを実現できる。

テック系のテーマなので書こうかどうか迷ったけれど、リラクゼーション機能がよくできたいたことにもふれておきたい。助手席ディスプレイでTetris®をしながらリラクゼーションを立ち上げたら、その作動が繊細で、従来のものとはレベルが違った。改めて、「走る、曲がる、止まる」以外の領域でも、クルマは人を楽しませるために進歩していることを体感した。

メルセデス・ベンツが発表したのは、フラッグシップサルーンの「EQS」と、Eセグメントの「EQE」。メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎代表取締役社長兼CEOは日本におけるBEVの普及に腐心する。

700kmを走るラグジュアリーBEVのメルセデス・ベンツ「EQS」と「EQE」が日本上陸!

メルセデスの電動モデルブランド「メルセデスEQ」。そのフラッグシップモデル「EQS」と「EQ…

キーワードで検索する

著者プロフィール

GENROQweb編集部 近影

GENROQweb編集部