ポルシェのペイント・トゥ・サンプルに「エスマングリーン」を追加

「あの特徴的なグリーンはとある企業のカンパニーカラー?」ポルシェのカラーパレット誕生秘話

「エスマングリーン」は、2023年モデルの911、718、タイカンで選ぶことができる。
ポルシェが展開するカラーオプション「ペイント・トゥ・サンプル」に追加された、「エスマングリーン」。
ポルシェ・エクスクルーシブ・ マニュファクトゥール(Porsche Exclusive Manufaktur)は、塗装仕上げを自由に選択することが可能な「ペイント・トゥ・サンプル(Paint to Sample)」に、特別なプロセスを介して導入された、鮮やかな緑色「エスマングリーン」を追加した。

「エスマングリーン」がカラーパレットに登場

エレクトロ・エスマン社のミヒャエル・エスマン(写真右)が独自に開発した鮮やかなグリーンが「ペイント・トゥ・サンプル」のカラーバリエーションに追加された。
エレクトロ・エスマン社のミヒャエル・エスマン(写真右)と、ふたりの息子。今回、ミヒャエルが独自に開発した鮮やかなグリーンが「ペイント・トゥ・サンプル」のカラーバリエーションに追加された。

ガーズ・レッド(Guards Red)、レーシング・イエロー(Racing Yellow)、カレラ・ホワイト・メタリック(Carrara White Metallic)……ポルシェお馴染みの色が並ぶ「ペイント・トゥ・サンプル」のカラーパレットに、鮮やかなグリーンが加わった。

今回、長年のポルシェ・ファンであり、エレクトロ・エスマン(Elektro Essmann)社のマネージングディレクターを務めるミヒャエル・エスマンが独自に開発した鮮やかなグリーンが、「ペイント・トゥ・サンプル」のカラーバリエーションに追加されたのだ。

2023年モデルの911、718、タイカンでは、ポルシェ・エクスクルーシブ・ マニュファクトゥールのペイント・トゥ・サンプルを介して、カラーコード「24C:エスマングリーン(Essmanngreen)」が選べるようになった。

エレクトロ・エスマン社を象徴するグリーン

「エスマングリーン」は、2023年モデルの911、718、タイカンで選ぶことができる。
ミヒャエル・エスマンは、タイプ964に初めて家族で経営するエレクトロ・エスマン社のカンパニーカラーをペイント。このグリーンが人気を呼ぶことになった。

1992年、ミヒャエル・エスマンは、電気設備と太陽光発電システムを手掛けるエレクトロ・エスマン社のカンパニーカラーであるグリーンを、自身のタイプ964の911カレラRS 3.6にペイントした。これが、エスマングリーンを纏った最初のポルシェとなる。その後は911 GT3 RS 4.0(997)、近年は911 GT3 ツーリング(992)などにも鮮やかなグリーンがペイントされた。

ミヒャエル・エスマンの息子、マイクとステファンは、このエスマングリーンの911をドライブし、ポルシェ・スポーツ・カップに参戦し、多くの好成績を残している。ミヒャエル・エスマンは、今回のエスマングリーンのペイント・トゥ・サンプル導入に、喜びを隠さない。

「私が初めてポルシェをドライブしたのは1978年型911 SCでした。このクルマを乗りこなせるよう、ドライビングスクールにも通ったほどです。この911 SCはオパールメタリックのペイントが施されていました」

「家業のカラーを自分のクルマにペイントと思い立ったのは、ずいぶん後になってからです。この特別なカラーのポルシェを手にするたび、とてもいい気分になるでしょう。私たちの名前を冠したこの美しいグリーンの発案者が、自分だと思い出すのですから(笑)」

2021年に塗装部門を強化したポルシェ

ポルシェはカラーオプションを重要な差別化要素と考えており、2021年に、「ペイント・トゥ・サンプル」と「ペイント・トゥ・サンプル・プラス」を導入した。
ポルシェは2021年に新たな塗装サービス、「ペイント・トゥ・サンプル」と「ペイント・トゥ・サンプル・プラス」を導入。標準カラーに加えて、オプションで選ぶことができるボディカラーを大幅に拡大している。

30年前、ミヒャエル・エスマンが964を購入した当時、カスタムカラーはアフターセールス部門の塗装工程において独自にブレンドされていた。現在、特注カラーをオーダーする場合は、2021年から導入されたカラーオプション「ペイント・トゥ・サンプル・プラス」を活用することになる。

ポルシェは塗装部門を専門化し、その能力を大幅に拡張。ドイツ・ツッフェンハウゼンのメイン工場では、新しいカラーミキシング・ベンチが稼働し、塗料のスペシャリストが数十種類の成分を最後の1mgまでブレンドすることで、希望の色合いを実現することが可能になった。結合剤と添加剤まで含めると、エスマングリーンのレシピには、実に100以上の成分が含まれているという。

塗装工程は、ボディワークとアドオンパーツ用というふたつの塗装パートに分けられている。ボディの塗装箇所はアルミニウム、プラスチック、カーボン、グラスファイバー複合材など、様々な素材が混在。塗布方法や乾燥温度が異なるため、パーツによって微妙に異なる塗料組成が必要になる。

ポルシェにおけるインディビジュアライゼーションとクラシック担当責任者を務めるアレクサンダー・ファビグは、次のように説明を加えた。

「珍しいペイント仕上げは、ポルシェの歴史の一部ですし、重要な差別化になってきました。現在では、非常に幅広いカラーバリエーションと、最高水準のカスタムペイントを楽しむことができます。どの色も様々な素材に最適化されていますし、完璧なカラーマッチングが実現しています」

特注カラーからレギュラーカラーに昇格

「エスマングリーン」は、2023年モデルの911、718、タイカンで選ぶことができる。
エスマングリーンは、当初ミヒャエル・エスマンからのオーダーで「ペイント・トゥ・サンプル・プラス」を介して作られた。今回、高い人気を受けて「ペイント・トゥ・サンプル」のカラーパレット追加が決まった。

ポルシェ・エクスクルーシブ・ マニュファクトゥールでは、今回エスマングリーンが加えられたカラーパレット以外にも、カスタマーからの個別カラーリクエストにも対応。「ペイント・トゥ・サンプル・プラス」では、カスタマーから提供されたサンプルに基づき、ほぼ自由にボディカラーを選ぶことができる。

ミヒャエル・エスマンの911 GT3 ツーリングに施されたエスマングリーンも、まずは「ペイント・トゥ・サンプル・プラス」として作成されている。今回、技術的な承認を得て、ポルシェの塗装スペシャリストがグリーンをペイント・トゥ・サンプルのカラーパレットに追加した。これにより、エスマングリーンは、ポルシェのコンフィギュレーターを通じて、希望する誰もが選択できるようになったのである。

現在、「ペイント・トゥ・サンプル」のカラーパレットには、911と718が115色、タイカンは108色、パナメーラとマカンが59色、カイエンは52色から選択することが可能。全てのモデルで選べるカラーの種類は実に170色にも及んでいる。

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