【グッドウッド】ヒョンデがフル電動Nモデル「アイオニック 5 N」を公開

ヒョンデ N初のフル電動モデル「アイオニック 5 N」がグッドウッドで走行シーン披露【動画】

ヒョンデが展開するNブランド初のフル電動パフォーマンスハッチ「アイオニック 5 N」の走行シーン。
2023年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにおいて初公開された、フル電動パフォーマンスハッチ「アイオニック 5 N」。
ヒョンデ・モーターカンパニーは、現在開催中のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにおいて、パフォーマンス電動ハッチバック「アイオニック 5 N(IONIQ 5 N)」をワールドプレミアした。アイオニック 5 Nは、ヒョンデが展開するスポーツブランド「N」初の市販ハイパフォーマンスEVとなる。

Hyundai IONIQ 5 N

ヒョンデの技術部門を牽引する「N」

ヒョンデが展開するパフォーマンスブランド「N」は、初のフル電動パフォーマンスハッチ「アイオニック 5 N」を完成させた。グッドウッドの発表会におけるヒョンデのチャン・ジェフンCEO(左)と、Nブランドの責任者を務めるティム・ウォーテンベルグ(右)。
ヒョンデが展開するパフォーマンスブランド「N」は、初のフル電動パフォーマンスハッチ「アイオニック 5 N」を完成させた。グッドウッドの発表会におけるヒョンデのチャン・ジェフンCEO(左)と、Nブランドの責任者を務めるティム・ウォーテンベルグ(右)。

ヒョンデは、6月13日に英国で開幕したグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにおいて、同社が展開するパフォーマンスブランド「N」を初参加させた。今回、WRC参戦車両「i20 N ラリー1」、コンセプトカーの「N ヴィジョン 74」や「RN22e」に加えて、Nブランド初となるフル電動パフォーマンモデル「アイオニック 5 N」が初公開された。

グッドウッドのヒョンデ・エリアには、レーシングシミュレーターやフォトブースなど、様々なアトラクションを用意。さらに、グッドウッドを象徴するヒルクライムステージでは「Nモーメント」を実施。この特別枠では、今回公開されたばかりのアイオニック 5 Nに加えて、コンセプトカーやWRCラリーカーが走行を披露している。

ヒョンデはラインナップの電動化を進めており、Nブランドもアイオニック 5 Nを皮切りに、新たな電動パフォーマンスモデルの追加も予定。ヒョンデのチャン・ジェフンCEOはアイオニック 5 Nの投入について次のようにコメントした。

「ヒョンデ Nは、ヒョンデ・モーターカンパニーの技術的なリーダーシップと言えるブランドです。Nブランドの技術ノウハウとモータースポーツの経験を組み合わせることで、車両性能の限界に挑戦しているのです。今回、電動ハイパフォーマンスモデルのゲームチェンジャーとなる『アイオニック 5 N』が完成しました。この車両の開発によって、ヒョンデの競争力はさらに強化されるでしょう。これこそがNブランドの存在理由なのです」

コーナーリングパフォーマンスを重視

ヒョンデが展開するNブランド初のフル電動パフォーマンスハッチ「アイオニック 5 N」の走行シーン。
WRC参戦中のラリーカー「i20 N ラリー1」が持つクイックなハンドリングを実現すべく、シャシーやボディを徹底的に補強。さらにコーナーリング性能を強化すべく、「Nペダル」など様々な新技術が導入された。

アイオニック 5 Nは、ヒョンデが誇る電動プラットフォーム「E-GMP(Electrified-Global Modular Platform)」に、Nブランドがモータースポーツで培った経験や技術が組み合わせられた。さらに、コンセプトモデルシリーズ「ローリングラボ」から生まれた「RM20e」「RN22e「N ヴィジョン 74」などの知見も生かされている。

アイオニック 5をベースに、ドリフトを含むコーナーリング性能の強化を目的に様々な改良が施された。42ヵ所の追加溶接と2.1mにもおよぶ追加接着により、アイオニック 5の「ボディ・イン・ホワイト(BIW)」構造を大幅に強化。モーターとバッテリーマウントも強化され、フロントとリヤのサブフレームは横方向の剛性が大幅に高められている。

世界ラリー選手権(WRC)参戦車両からインスパイアされた「インテグレーテッド・ドライブ・アクスル(IDA)」をフロントとリヤに採用。21インチ鍛造アルミホイールとともにバネ下質量を低減しながら、ハイパワー電気モーターのトルクに耐えるよう駆動系も強化されている。

今回採用された「Nペダル」は、EV特有の重量とサイズに対応すべく開発された。このインテリジェントなソフトウェアは、ターンイン時の挙動とスロットル感度を向上させるように設計。エネルギー効率よりも高速で爽快なコーナリングを優先する。また、回生ブレーキの減速力を利用することで、アグレッシブな荷重移動が可能となり、よりシャープなコーナー進入を実現した。

最高出力650PSを発揮するデュアルモーター

ヒョンデが展開するNブランド初のフル電動パフォーマンスハッチ「アイオニック 5 N」の走行シーン。
アイオニック 5 Nは、Nモデルとして初めて、前後アクスルにモーターを搭載したAWDとして開発。2基のモーターによる最高システム出力は650PSにまで達している。

デュアルモーター・アーキテクチャに搭載される電気モーターは、最大2万1000rpmまで回転。「Nグリン・ブースト」作動時には最高システム出力650PS(478kW)を発揮する。84kWh容量の新型バッテリーから強力なパワーを引き出すべく、エネルギー効率を高めた2段式インバーターも導入された。

「Nグリン・ブースト」は10秒単位で、デュアルモーターからの加速力を最大化。「Nローンチ・コントロール」は3段階のトラクションレベルに対応し、まるでプロドライバーのような最速のスタートを可能にした。また「トラックSOC」が、ラップごとのバッテリー消費量を自動的に計算する。

強化されたバッテリーサーマル(熱管理)システムは、ベースモデルよりも冷却機能を拡大。モーター用オイルクーラーとバッテリー冷却システムにも改良が施された。バッテリーとモーター用に独立したラジエーターを採用したことで、アイオニック 5 Nは性能を落とすことなく連続したサーキットアタックが可能となっている。

ドライバーは走行前に「Nバッテリー・プレコンディショニング」から、走行状況にあったドライブモードを選択。短時間ながらもフルパワーでの走行を可能にする「ドラッグ(Drag)」モードか、より多くの周回が可能な「トラック(Track)」モードをチョイスすることで、より快適なサーキット走行が楽しむことができる。

N専用エレメントが導入されたコクピット

ヒョンデが展開するNブランド初のフル電動パフォーマンスハッチ「アイオニック 5 N」のコクピット。
アイオニックのインテリアをベースに、ステアリングやシートに専用エレメントを採用。パフォーマンスシリーズに相応しいレーシーな雰囲気を実現している。

コクピットは、ステアリングホイール、シート、ドアスカッフ・パネル、メタルペダルなどに「N」ブランド専用エレメントを採用。パフォーマンスシリーズに相応しいクールなインテリアと、サーキット走行に適したイクイップメントが配置された。

新デザインの「Nステアリングホイール」は、シリーズ初となる「N」のロゴをセンターにレイアウト。その両脇には、ドライバーの好みに合わせてドライブモードを設定できる「Nボタン」が配置された。ドライブモードは、各ボタンの様々な組み合わせでカスタマイズすることが可能。ステアリングの「3時」位置にある「Nグリン・ブースト」ボタンは、前述のように十数秒間最大限のパワーが発揮される。

センターコンソールは、サーキット走行に最適化すべく、ニーパッドとスライド式アームレストを装着。コンソール下部を延長することで剛性レベルを高めただけでなく、日常的な使用環境において重宝する「USB Cタイプ」「ワイヤレス充電器」「カップホルダー」も用意された。

標準の「Nシート」は強化ボルスターを採用。コーナリング時に上半身と下半身をしっかりとサポートし、理想的なドライビング姿勢を維持する。オプションの「Nバケットシート」はベーシック仕様より約20mm低い着座位置となり、高いドライバビリティを追求するユーザー向けに設定された。

ヒョンデ アイオニック 5 Nを動画でチェック!

2023年7月のデビューに向けて、スウェーデンで寒冷地テストを行った「ヒョンデ アイオニック 5 N」。

非公開: ヒョンデ初のパフォーマンスBEV「アイオニック 5 N」がスウェーデンの北極圏で走行テスト【動画】

ヒョンデ・モーター・カンパニーは、スウェーデン・アリエプローグにあるヒョンデ・モービスの寒冷地テスト場において、ヒョンデが展開するスポーツブランド「N」初のフル電動モデル「アイオニック 5 N」の極寒冷地テストを実施した。アイオニック 5 Nは、2023年7月のデビューに向けて、今後もテストが続けられる予定だ。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…