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Lamborghini Huracan
ガヤルドの爆発的ヒットを受け継いで
2003年にランボルギーニからデビューした「ガヤルド」は、1989年に生産を中止したジャルパを最後に、12気筒モデルしか商品を持たなかったランボルギーニにとって、そのコンパクトさと価格の安さから爆発的なヒット作となった。参考までにその総生産台数は1万4022台。それは当然のことながら、当時のランボルギーニにとっては市場最大の数字にほかならなかった。
このガヤルドの市場を受け継いだのが、2014年のジュネーブ・ショーで正式にワールドプレミアされた「ウラカン」だ。その車名はスペイン語でハリケーンを意味するが、同時に1879年8月にスペインのアリカンテ闘牛場で行われた一戦において、闘牛史に残る勇敢な戦いを演じたことでその名を現代にまで残す闘牛の名でもある。
ウラカンは単にガヤルドの後継車というだけではなく、ラグジュアリー・スーパースポーツの新たなベンチマークとなることを目指して開発されたニューモデルでもあった。
それはデビューから間もなく10年が経過しようという中においても、一切古さやエアロダイナミクスの不満を感じさせない、日本の折り紙から発想を得たというランボルギーニ・チェントロスティーレのデザイナー、フェリッポ・ペリーニによるエクステリアデザイン。アルミニウムとカーボンによるハイブリッド構造のシャシー。あるいはデビュー時で610PSを発揮していた、直噴技術を採用した5.2リッターV型10気筒エンジンと7速DCTの搭載。さらにはANIMAと呼ばれる走行モードの総合制御機構の採用などに表れていた。駆動方式はもちろん現代のランボルギーニが基本とする4WDとなる。
続々と追加されたラインナップ
最初に誕生したウラカンには、正式には「LP610-4」のサブネームが掲げられていた。これは610PS仕様のエンジンをリヤに縦置きミッドシップする4WDモデルを意味するもので、誰もが瞬時にそのモデルの概要を知ることができるようにという配慮からだった。
2016年のジュネーブ・ショーでは航空機にインスピレーションを得た250台の限定車「LP610-4アヴィオ」が、また同年からはアメリカ市場で特に人気の高い「LP610-4スパイダー」が発表され、さらにRWD仕様の「LP580-2」や「LP580-2スパイダー」もラインナップに加わっている。ウラカンのラインナップは市場が望むように、驚くべき速さでその選択肢を増やしていったのだ。
注目すべき存在は、やはり「-2」、すなわちRWDの各モデルだろう。V型10気筒エンジンのパフォーマンスは、すでにお分かりのように30PS低いが、逆に車重は33kg軽い。さらに前後重量配分も4WDモデルの43:57から40:60へとややリア寄りの設定となり、それに伴ってフロントサスペンションのセッティングや、より大きなダウンフォースを得るためのフロントスポイラーのデザイン変更も行われている。
前後のタイヤもRWDモデルのためにピレリ社が専用設計したもので、標準は19インチ径だがオプションで20インチ径の選択ができた。さらにその価格はLP610-4よりもリーズナブルだったのだから、カスタマーからの人気が高まったのも自然な成り行きだった。
空力で高めた運動性能
2017年には、さらにその運動性能を高めるために、ランボルギーニは「LP640-4ペルフォルマンテ」を、また翌年には「同スパイダー」を発表する。ミッドのV型10気筒エンジンはさらに30PSのパワーアップを果たして640PS仕様に。
そして専用開発されたエアロダイナミカ・ランボルギーニ・アッティーヴァ(ALA)、すなわち走行状況に応じてフロントスポイラーとリアスポイラー内に装備されたフラップを制御、空力特性を最適に制御し走行性能をさらに高めるシステムを導入するなど(スパイダーではランボルギーニ・ピアッタフォルマ・イネウツィアーレ=LPIと呼ばれる)、こちらもさまざまな新技術が導入されている。
そして2019年、ウラカンにはビッグマイナーチェンジが施され、EVOシリーズへと進化を遂げることになる。