ラグジュアリーSUV「ベントレー ベンテイガ」で初秋の北海道1000km旅

「ベントレー ベンテイガ」で行く初秋の北海道1000kmツーリングでわかった「ウェルビーイングな旅」

北海道の雄大さを感じさせたジェットコースターの路。有名な観光スポットだが、ここ以外にも周辺に似たような雄大な一本道が多数あった。
北海道の雄大さを感じさせたジェットコースターの路。有名な観光スポットだが、ここ以外にも周辺に似たような雄大な一本道が多数あった。
「ベンテイガで北海道を旅しませんか?」そんなベントレーからの申し出を断る人はいない。かねてから訪れたいと思っていた夏の北海道をベンテイガ・アズールとともに満喫した。

Bentley Bentayga Azure

ウェルビーイングを満たすべく

吹雪の宗谷岬をフェラーリで訪れたのも、厳寒の知床にマクラーレンで行ったのも冬だった。もちろん、そんな酔狂な旅ではなくとも冬にその魅力は増幅するが、夏も十分に楽しめるのが北海道だ。東京が8月全日で真夏日を記録し、気象庁が「今年は異常気象」というお墨付きを与えたほどの夏の終わり、快適な気候の北の大地を訪れたのは、ベントレーで北海道を旅する機会を得たからだ。クルマはすでに札幌にあり、それで2日間旅をしていいという。朝イチのJALで札幌に到着したわれわれを待っていたのは、シークインブルーというボディカラーのベンテイガ・アズールだった。

ベンテイガ・アズールは、近年ベントレーが重視するウェルビーイングを満たすことを性能の指針に掲げられたラグジュアリーSUVだ。ウェルビーイング──、心身と共に社会的な健康もカバーするキーワードである。到着した日の朝、地元の人が「ようやく涼しくなりました」と言う。北海道でさえも酷暑に襲われ、疲弊していた。今夏のわれわれにとってウェルビーイングこそ最も重要な指標だ。

撮影を依頼したHカメラマンは夏の北海道を訪れる機会が多く、いくつかの目ぼしい撮影ポイントを巡るルートを考案してくれていた。だが、かなりタイトな設定だから、のんびり観光する時間はなさそうだ。ベントレー札幌でアズールの鍵を受け取ると、撮影機材を積み込み早速針路を東に取った。

グランドツーリング性能こそ最重要装備

フロントドアパネル下部や、ドアを開ければドアシルにも輝く「Azure」のエンブレムは、全席シートバックにも配される。クリーム色のリネンをベースに、差し色にインペリアルブルーを組み合わせた上品な内装は、熟練工の伝統的な技術と同時に、最新技術の融合を感じさせる。ベントレーのクラフトマンシップがふんだんに盛り込まれたラグジュアリーSUVに、王道とも言えるカラーコンビがよく似合う。

最初の目的地となるジェットコースターの路は、まさに北海道の雄大さを感じさせる、ここにしかない場所であった。それにしても、今回の試乗車はOdo1500kmとおろし立てだが、走り始めから快適な乗り心地と、アップダウンを物ともせずスムーズにまわるトルキーな4.0リッターV8ツインターボエンジンに心奪われてしまった。最高出力550PS、最大トルク770Nm、0-100km/h加速4.5秒、最高速度290km/hは数字だけ見ればスーパースポーツカーと遜色ない数字だ。これらの高性能をラグジュアリーSUVに与えるのがベントレー流なのだ。86×86mmのスクエアなボア×ストローク比を持つV8は、6800rpmがレブリミットとはいえ回転上昇が素早く、まるで力強いスポーツカーのようだ。それに組み合わされる8速ATの気が利いたシフトスケジュールもあって、市街地から高速道路までこれからの1000kmを超える旅を快適にする予感をさせた。

デリバティブラインとして用意されるアズールには、快適性を高めるフロントシート・コンフォートスペシフィケーション、走りを堪能できるベントレー・ダイナミックライド、そしてエフォートレスな旅を実現するツーリングスペシフィケーションが標準で装備される。高級車にとってコンフォートとラグジュアリーは大切な要素であるが、ベントレーにとってその限りではない。むしろグランドツーリング性能こそ、最も重要な装備と言える。

変幻自在の走りを楽しませてくれる

ジェットコースターの路からほど近く、これまた観光名所の白金青い池を後にして三国峠を目指す。大雪山の西側から時計回りにぐるっと回った東側にある大雪山国立公園の中にある三国峠からは、約100万年前の大噴火で形成されたカルデラの中の大樹海を見下ろせる。

この三国峠で、48Vシステムによるアンチロールシステムのベントレー・ダイナミックライドの効果を存分に味わえた。こういったワインディングに持ち込んでも、輝きを失わない走りこそ、ベンテイガの魅力の大きな源泉である。懸念された撮影ポイントもすべて網羅できた。大型SUVでありながら、軽快感を持って走れたのは、クイックなハンドリングの賜物かもしれない。ロック・トゥ・ロックはこのクラスとしては驚きの2.3回転だが、それでいて直進時に神経質なところもなく、高い直進性を見せる。

ステアリングやアクセル操作からドライバーの意を汲んで、最適なサスペンションセッティングを瞬時に組み立てる高性能はすでに体感済みだが、北海道の雄大な景色に囲まれて走らせていると、時に悠然と走る大型クルーザーのように、時に高い横Gを発生させるエアレース用軽飛行機のように、変幻自在の走りを楽しませてくれるのは流石だ。

アズールはパッセンジャー全員の快適とウェルビーイングを高めるための装備が充実している。前述のフロントシート・コンフォートスペシフィケーションには、シートベンチレーター、マッサージ機能、ウイング付きコンフォートヘッドレストが備わる。特にマッサージ機能はパターンが6種類あり、状況に応じて快適に高速移動しながら疲労と無縁、むしろ回復しながらの移動が可能だ。初日投宿する帯広に着いても、疲労感は皆無であった。

心の底から欲した旅

大雪山国立公園の中にある三国峠から見下ろす大樹海。約100万年前の大噴火で形成されたカルデラには手付かずの自然が多く残されている。

この旅は、結果的に撮影時は晴れ間の覗く瞬間ばかりだったが、実のところ降ったり止んだりの落ち着かない天候だった。AWDという駆動方式はもちろん圧倒的な信頼感をもたらしてくれたが、アズールに備わる追従クルーズコントロール(ACC)、レーンアシスト、ヘッドアップディスプレイなどの機能を含むツーリングスペシフィケーションがそのアシストをしてくれたのは言うまでもない。

かつて、ドーバー海峡を越えてル・マン24時間レースで5連覇を成し遂げたベントレーは、イギリスから自走でサーキットへ行き、レースを戦い、自走で帰ったという逸話を持っている。翌日、われわれはこのベンテイガでドーバー海峡ではなく苫小牧港から本州へ向かった。フェリー出航の際、遠ざかる北の大地を再訪したいと願ったのは、快適な気候もあるが、ウェルビーイングに満ちたベンテイガ・アズールの旅を心の底から欲したからだ。

REPORT/吉岡卓朗(Takuro YOSHIOKA)
PHOTO/平野 陽(Akio HIRANO)
MAGAZINE/GENROQ 2023年11月号

動画でウェルビーイングな旅をチェック!

SPECIFICATIONS

ベントレー・ベンテイガ・アズール

ボディサイズ:全長5150 全幅1995 全高1755mm
ホイールベース:2995mm
車両重量:2470kg
エンジン:V型8気筒DOHCターボ
総排気量:3996cc
システム最高出力:404kW(550PS)
最大トルク:770Nm(78.5kgm)
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後285/40ZR22
最高速度:290km/h
0-100km/h加速:4.5秒
環境性能(WLTPモード)
燃料消費率:13.0L/100km
車両本体価格:2912万8000円

【問い合わせ】
ベントレーコール
TEL 0120-97-7797
https://www.bentleymotors.jp/

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著者プロフィール

吉岡卓朗 近影

吉岡卓朗

Takuro Yoshioka。大学卒業後、損害保険会社に就職するも学生時代から好きだったクルマのメディアに関わり…