2023年に乗った中で感動した「トヨタ スープラ」「ロータス エミーラ」「アバルト 695」

【2023年個人的に感動した名車ベスト3】「スープラ」「エミーラ」「695」はいずれも3ペダル

今や私のライフワークというべき東京〜京都のテストドライブ。新型車ばかりではなく、道中が楽しみになるクルマ選びを心がけた。
今や私のライフワークというべき東京〜京都のテストドライブ。新型車ばかりではなく、道中が楽しみになるクルマ選びを心がけた。
仕事柄、多種多様なニューモデルに触れてきたモータージャーナリストが2023年試乗した中で隠れた名車を選ぶ本コーナー。京都在住の西川淳がセレクトしたのは、なんといずれも3ペダルのエンスーむけ3台だった。記事の最後には今年試乗した42台の一覧もあって、これは必見。

6発のマニュアル仕様の「トヨタ スープラ」

「トヨタ スープラ」。知らない間に追加されていた6発のマニュアル仕様だ。

今年(2023年)も大いに乗りまくった。コロナ禍で開かれていなかったイベントも増え、海外取材もほぼコロナ前に戻ったけれども、今や私のライフワークというべき東京〜京都のテストドライブだけはサボらず続けた。今年も40モデル以上を駆り出すことができたのだ(別掲)。

カテゴリーやブランドに偏りのあることはご容赦いただきたい。何と言っても片道450kmある。だいたい5時間くらいのドライブだ。“乗りたい!”とまずは思えるクルマをチョイスしなければやってられない。続けることが大事なので、新型車ばかりを試すのではなく、道中が楽しみになるようなクルマ選びを心がけた。いずれのモデルも“途中放棄”することなく往復テストを全うしたので、“乗りたい”と筆者を思わせたいことも含め、“西川淳のオススメモデル42選”と言っていい。

なかでも印象に残ったモデルを3台挙げてみよう。まずは「トヨタ スープラ」。知らない間に追加されていた6発のマニュアル仕様だ。ターボエンジンにMT、実はあまり好まないのだけれど、そうも言ってはいられない時代になった。だから高回転域での“もうひと伸び”さえ期待しなければ意外に楽しめると自分に言い聞かせて、貴重になった3ペダルを積極的に味わうように心がけている。そんななかGRスープラの6速MTはなかなか面白かった。少なくともフェアレディZのV6マニュアルよりは気持ちがいい。車体の熟成も進んでスポーツカーとしても、そしてグランドツーリングカーとしてもイケる。RZマニュアルに限って名車の予感。

なかなかのエンスーっぷりを発揮した「ロータス エミーラV6」

トヨタ製V6スーパーチャージャーを搭載する「ロータス エミーラV6」。これがなかなかのエンスーっぷり。

次に「ロータス エミーラV6」のこれもマニュアルだ。V6スーパーチャージャーとはいえトヨタ製エンジンだから、どこまで官能的に迫ってくれるのか、さほど期待せずに乗ったのだが、これがなかなかのエンスーっぷりだった。よくよく考えてみればロータスはこの組み合わせをスポーツカー用としてもう何年も使い倒している。

トヨタ製などと言って侮るなかれ、ドライブ中に感じるフィールはあくまでもロータスだ。ボディ骨格は相変わらずかっちり&しなやかで、とても乗りやすい。巷の人気はアルピーヌA110に集中しているようだけれど、エミーラはその対抗馬として最右翼。何と言ってもマニュアルがある!これでもう最後だけれど。

信じられないくらい上出来のGTカー「アバルト 695」

信じられないくらい上出来のグランドツーリングカー「アバルト 695 トリビュート131」。

そして今年、最も感動したモデルが「アバルト 695」のトリビュート131だった。実をいうとアバルト595のスタンダードタイヤ仕様がこの世代のベストチョイスだとずっと思っていた。今でもフツウにおすすめはそちらだ。けれども巨大なリヤウィング付きモデルは別格。これが信じられないくらい上出来のグランドツーリングカーだった。おそらく直角近くにまで立てたリヤウィングが効いているのだろう。大きなタイヤを履いているのに高速道路での乗り心地は悪くなく、走行安定性もまるで四駆モデルのよう。

小さなチンクをドライブしているという感覚がまるでなく、3クラスくらい上のモデルをドライブする気分だった。もちろん、お楽しみは高速道路だけじゃない。峠道に持ち込めば、とんでもないスーパーカーイーターぶりを発揮する。ドライバーを能天気&無邪気にさせるという点で、今、これ以上の“現行モデル”はないと思う。

3ベストを挙げてみれば、なんと3台とも3ペダルだった(ソシテ3台トモ青カッタ)。ということは、だ。2024年のクルマ好きトレンドは“もう一度3ペダル回帰”、もしくは“さらにMTオシ”ということでキマリではないだろうか。私も来年はマニュアルの新たな相棒を手に入れようと思っている。何にするかはまだ内緒だけれど!

西川淳のオススメモデル42選

12月

BMW 523i
BMW i5
アバルト695 トリビュート131

11月

シボレー コルベット Z06
日産 R35 ニスモ MY22
日産 R35 ニスモ MY24
日産 スカイラインニスモ

10月

マセラティ MC20チェロ
ポルシェ 911カレラT
トヨタ アルファード
ランドローバー レンジローバーSV

9月

トヨタ スープラ
BMW 840d GC
BMW XM

8月

ベントレー ベンテイガEWB
BMW M2 MT
BMW M2 AT
BMW M3ツーリング

7月

ロータス エミーラV6
フェラーリ 296GTS
日産 GT-R Tスペック
ベントレー フラインスパー スピード

6月

アストンマーティン DB11
スバル インプレッサ
日産 アリアB9
メルセデス・ベンツ EQS SUV

5月

ジープ コマンダー
マクラーレン GT

4月

ベントレー コンチネンタル GT
マクラーレン アルトゥーラ
レクサス IS500

3月

レクサス RZ
レクサス LS
BMWアルピナ D3Sツーリング

2月

ランボルギーニ ウルスS
ランボルギーニ ウルス ペルフォルマンテ
マツダ CX60
GRヤリス

1月

BMWアルピナ D4S GC
ランドローバー レンジローバーヴォーグ
トヨタ クラウンクロスオーバー
BMW 7シリーズ

すでに広報車の用意がなく、アウディジャパンの他部署が所有していた「R8スパイダーV10パフォーマンス5.2FSIクワトロ」を借りて撮影した。何も考えずに乗り込み、いざ走り出すとその熟成された素晴らしい走りに魅了されてしまったのだ。

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毎号、綺羅びやかなニューモデルが数多登場するGENROQ誌だが、例えその誌面を飾らなくても、素晴らしいスーパースポーツやプレミアムカーは存在する。本誌・石川が伝承したい1台に選んだのは?

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