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KAMM 912c
軽量・軽快な912ベースのレストモッド
ミクロス・カズメル(Miklos Kazmer)によって設立されたカム・マニュファクチャーは、1965年から1969年に生産された「ポルシェ 912」に特化したレストモッドを手がけるハンガリーの独立系メーカー。912は1.6リッター水平対向4気筒エンジンを搭載し、911の廉価版として1965年に登場。知名度は911よりも劣るものの、軽量かつバランスが良いことで知られている。
2022年に発表された「カム 912c」は、この912をベースに1960年代の味わいを損なうことなく、現代風にアレンジ。オリジナルの912のみをドナーカーとし、シャシー、ブレーキ、サスペンション、ホイール、タイヤに改良を施し、前後ライトやラバー類などのオリジナルパーツを新品の純正部品に交換している。
カム 912cは、カム・マニュファクチャーが手掛けたセミカーボンファイバー製ボディを採用。オリジナルのスチールルーフとリヤクォーターパネルを残しながら、カム製カーボンファイバーパネルと組み合わせることで、車両重量は750kgを実現している。
わずか699kgのカーボンファイバー仕様
2024年、カム・マニュファクチャーは新たなオプションとして、フルカーボンファイバー製ボディ仕様を追加。こちらの仕様はルーフとリヤクォーターパネルを含めて、すべてのボディパネルが高品質なカム製カーボンファイバーに変更される。車両重量は欧州における公道走行認化を受けながら、驚異の699kgを実現。標準の912と比べて300kg以上、セミカーボンモデルと比べて50kg以上の軽量化が果たされた。
フルカーボンファイバー製ボディを選択する場合、オーナーは、完全に露出したグロスカーボン仕様だけでなく、美しくペイントされた仕様など、様々な仕上げオプションから選ぶことができるという。
また、パワーアップした1.6リッター水平対向空冷4気筒エンジン、新デザインのシート、高速安定性の向上と風切り音低減を実現した新形状エアロダイナミクス、エアコンの性能向上、車載オーディオとスマートフォン接続の改善など、多くの技術的アップデートが2024年型912cに施された。
912のドナーカーを持ち込むことも可能
912c フルカーボンファイバー製ボディ仕様の価格は、ドナーカーの912を含めて40万ユーロ。また、自身の912をドナーカーとして持ち込むことも可能で、その場合の価格は36万ユーロにディスカウントされる。セミカーボン製ボディの価格は36万ユーロ、ドナーカー持ち込みは32万ユーロとなっている。カム・マニュファクチャーを率いるミクロス・カズメルは、912cの2024年仕様について、次のように説明を加えた。
「私は完璧主義者ですから、912cを改良するための革新的なアイデアを追求し続けています。新開発のフルカーボンファイバー製ボディはその好例です。完璧なフィット感、驚異的な強度、そしてさらなる軽量化を実現しました」
「さらに2024年仕様の912cは、ドライビングプレジャーを高め、より実りあるオーナーシップを体験して頂けるよう、様々な改良が施されます。私たちは2024年の早い時期に最初の顧客向け車両をデリバリーする計画です。そして、2024年後半には、新たな開発車両を公開する予定もあります」