追い越し車線に居座ると違反になる理由

車両通行帯違反の罰則は、普通車で反則金6,000円、大型車で7,000円、違反点数は1点。

まず押さえておくべきは、追い越し車線の“本来の役割”である。追い越し車線とは、その名の通り「前の車両を一時的に追い越すための車線」であり、継続して走り続けるためのものではない。道路交通法第20条でも、追い越しが完了した後は速やかに走行車線へ戻る義務が明記されている。

具体的な走行距離の基準は法令上は存在しないが、NEXCO東日本をはじめとする道路管理者も「速やかに戻ること」と注意喚起している。つまり走り続ける行為が故意かどうかにかかわらず、「追い越し車線を不必要に走行した」と警察官に判断されれば、車両通行帯違反として取り締まりの対象になる可能性があるということだ。

実際、2019年には約60,775件の車両通行帯違反が摘発されており、この違反は高速道路における取り締まり件数で、最高速度違反に次いで2番目に多い。令和6年版の交通安全白書でも、全体の約13%を占める交通違反として報告されている。

車両通行帯違反に対する罰則は、普通車で反則金6,000円、大型車で7,000円、違反点数は1点。反則金で処理されれば重大な処分にはならないが、ゴールド免許の継続条件には影響する可能性があり、更新時にブルー免許へ格下げされることもある。

「少しだけなら大丈夫」と考えて追い越し車線を走り続けることが、結果として交通違反となり得る。高速道路では、「速やかに走行車線へ戻る」ことを意識し、通行帯の意味を正しく理解しておくべきだ。また、「追いつかれた車両」としての義務にも注意が必要だ。後続車が追い越そうとしているにもかかわらず加速を続けた場合、「追いつかれた車両の義務違反」に該当し、普通車であれば違反点数1点、反則金6,000円が科される。

取り締まりは基本的に警察官の目視によって行われるが、近年ではドライブレコーダーの映像や第三者からの目撃情報も証拠として採用されることがある。普段使いの高速道路では、追い越し車線を走り続けてしまうこともあるかもしれないが、たとえ見た目に問題がないように見えても、警察官の判断によって「通行帯違反」と認定される可能性がある点は十分に留意しておくべきだ。

見落としがちなルールを再認識する時代

高速道路の追い越し車線を走り続けることが、結果として交通違反となり得る。

高速道路では、スピード違反が注目されがちだが、追い越し車線を走り続ける“居座り運転”も頻繁に取り締まられている。

追い越し車線の長時間走行は、交通の流れを乱すだけでなく、運転者自身が「車両通行帯違反」の当事者となる行為だ。道路交通法では、追い越し後は「速やかに走行車線へ戻る」ことが義務づけられており、その判断は常に運転者に委ねられている。

「追い越したらすぐ戻る」を意識するだけで、安全性が高まり、違反点数や反則金のリスクも回避できる。特に見通しの良い直線区間で追い越し車線を漫然と走行し続けることは、後続車との接触や追突といった事故を誘発する危険性もある。

「追い越し違反」の罰則は比較的軽微ではあるが、違反を繰り返せば免許更新に影響が出る可能性もある。悪質なケースでは「通行帯違反」ではなく「危険運転」として扱われる可能性も否定できない。煽り運転などの危険行為に社会的な注目が集まる今、追い越し車線での走行についても改めて自らの運転習慣を見直すことが求められている。