デザインだけじゃない! シーケンシャルウインカーの安全性

ウィンカーの写真
最近の車はシーケンシャルウィンカーが多い

最近のクルマは「カチカチ」と一斉に点滅するのではなく、横方向へ流れるように光るウインカーを備えたものが増えている。街中でも先進的な印象を与えるこの点灯方式に、気づいた人も多いだろう。

そして、そのような“流れるウインカー”には「シーケンシャルウインカー」という正式名称がある。

従来のウィンカーの写真
従来のはこのような感じ

従来のウインカーは、複数の光源が一斉に点滅する仕組みであった。しかし、シーケンシャル方式は段階的に点灯が進むため、光の流れで進行方向を強調できる。この方式は、2014年に道路運送車両の保安基準が改正されたことにより正式に認可された。

それ以前は基準上、方向指示器は「すべての光源が同時に点灯する方式」に限られていた。しかし、国土交通省は国際基準(UN-R48)に沿う形で、連鎖式点灯方式を新たに認める改正をおこなったのだ。

これにより、日本でもシーケンシャルウインカーを合法的に装着できる環境が整ったのである。ただし、法的に認められるためには一定の条件がある。

まず、発光は一定方向へ連続し、点滅の周期や速度も定められた範囲に収まる必要がある。すなわち、単なる装飾的な“流れるライト”ではなく、方向指示器として明確に機能することが求められるというわけだ。

また、シーケンシャルウインカーは従来の点滅よりも視認性が高まり、進行方向を直感的に伝えやすいとされており、デザイン性だけでなく、安全面での効果も期待されている。これにより、対向するドライバーや歩行者が進路を理解しやすくなり、事故防止につながるという。

リヤウィンカーの写真
国内外のメーカもシーケンシャルウインカーを採用している。

さらに、近年の保安基準改正を受けて、国内外の大手メーカーが相次いでシーケンシャルウインカーを採用するようになった。

2025年9月現在ではSUVやミニバンからスポーツカーに至るまで、幅広い車種で標準装備やオプション設定が広がっている。さらに、カスタムパーツ市場でも注目度が高く、後付け需要が拡大している。

しかし、シーケンシャルウインカーを後付けする場合は注意すべき点もある。点灯速度が速すぎたり、点灯順序が基準と異なったりなど、アフターマーケットパーツの中には保安基準を満たさない製品も少なくない。

整備中の写真
カスタムする際には注意が必要かもしれない

また、後付けによって基準外の発光色や過度な光量になった場合、違反の対象になりえる。

正規の保安基準に適合していなければ、見た目が良くても違法改造扱いとなり、摘発や整備命令を受けるおそれがある。そのため、取り付ける際には認証済みの部品を選ぶことが不可欠だ。

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このように、シーケンシャルウインカーは、デザイン性と安全性を兼ね備えた新しい方向指示器である。ただし、合法的に利用するためには基準を満たした製品を選ぶことが前提であり、流行に乗るだけではなく安全と法令順守を意識することが重要だ。