国土交通省が導入した図柄入りナンバープレート制度とは

近年、軽自動車であるにもかかわらず白いナンバーをつけているクルマが多くなってきていることをご存知だろうか。車格が変更されたのかと思う人もいるかもしれないが、実はそうではない。
これは、国土交通省が2017年4月に導入した「図柄入りナンバープレート制度」によるもので、国土交通省公式資料によれば、軽自動車でも白地を基調とした特別なナンバーを取得できる仕組みである。
そもそも、従来の軽自動車は黄色、普通車は白と色で明確に区別されてきた。
制度導入以前には、軽自動車で白いナンバーをつけるには構造変更や車格変更といった大がかりな手続きが必要だった。しかし、現在の図柄入りナンバーはそうした変更を必要とせず、申請だけで交付を受けられるのが大きな特徴だ。

そして、図柄入りナンバープレート制度の第1弾は、2019年ラグビーワールドカップを記念したデザイン。その後は2020年東京オリンピック仕様、全国版や地方版の図柄入りナンバーへと展開されていった。
さらに、大阪・関西万博仕様など多彩なデザインも追加されている。
これらはいずれも軽自動車に装着でき、黄色地ではなく白地がベースになるため、見た目の印象は大きく変わる。
なお、これらの図柄入りナンバーを取得する際には、寄付金の有無がデザインに影響するという。国土交通省公式資料によると、寄付金を1000円以上納めればフルカラー仕様、寄付金なしならモノトーン仕様となる。
軽自動車ユーザーからは「白ナンバーだと普通車のように見える」「車体のカラーと調和する」といった好意的な声が多い。
一方で、軽自動車の識別性が薄れることを懸念する意見もあるようだ。国土交通省はこの点に配慮し、軽自動車用の図柄入りナンバーには黄色の縁取りを施しており、外観上の区別がつくよう工夫している。

ちなみに、料金区分や税制上の扱いは従来と変わらない。高速道路料金の算定や自動車税種別割も、ナンバーの色ではなく登録情報や分類番号に基づいて処理されるため、白地のナンバーを取得しても軽自動車は軽自動車のままである。
また、ユーザーが安心して選べる制度設計となっている点も特徴的だ。

この制度は単なる外観の変化にとどまらず、軽自動車という存在のあり方にも影響を与えていることは言うまでもない。
長年「黄色ナンバー=軽」という固定観念があった中に、白地の選択肢が加わったことで、軽自動車のアイデンティティが変化しつつある。識別性と自由度の両立をどう保っていくかは、今後も議論の対象になりえるだろう。
さらに、地方版図柄入りナンバーは地域ごとの特色をデザインに反映できるため、観光振興や地域ブランディングにもつながると期待されている。
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このように、図柄入りナンバープレート制度は単なるデザインサービスではなく、地域や社会全体に貢献する仕組みとして発展しているのである。
つまり、こうした背景から、軽自動車のナンバープレートは今やユーザーの好みに合わせて選べる時代となったというわけだ。
黄色のままにするか、白地の図柄入りを選ぶかは自由であり、どちらも正しい選択肢だといえる。そして、図柄入りナンバープレート制度は、軽自動車ユーザーの価値観の多様化を反映する制度として今後も注目されていくだろう。



