2025年10月の新車販売登録数トップ10

| 順位 | メーカー・モデル | 販売台数 | 前年同月比 |
|---|---|---|---|
| 1位 | トヨタ・ヤリス | 17,041台 | 101.3% |
| 2位 | トヨタ・カローラ | 11,953台 | 80.4% |
| 3位 | トヨタ・ライズ | 9,884台 | 94.6% |
| 4位 | トヨタ・ルーミー | 8,552台 | 66.5% |
| 5位 | トヨタ・アルファード | 8,086台 | 122.7% |
| 6位 | トヨタ・シエンタ | 8,017台 | 87.5% |
| 7位 | トヨタ・ノア | 7,682台 | 113.2% |
| 8位 | ホンダ・フリード | 7,472台 | 92.3% |
| 9位 | トヨタ・ヴォクシー | 7,465台 | 114.5% |
| 10位 | ホンダ・ヴェゼル | 7,429台 | 133.2% |
トヨタ・ヤリスが前年同月比101.3%を記録し、9月に続き首位を維持した。当モデルは燃費性能・コンパクトなサイズ・手頃な価格といったバランスの良さから、若年層から高齢者、法人利用まで幅広い層に支持されている。
特にハイブリッドモデルは燃費性能と信頼性の高さが評価され、都市部を中心に「日常使いにちょうどいい車」として定着している。
2位のカローラは信頼性の高いファミリーカーとして根強い人気を維持し、3位のライズは小型SUVブームの流れを背景に、街乗りとアウトドアの両立が評価されている。
トヨタの強さは、単に人気モデルを抱えていることだけではない。商品ラインナップの広さと全国的な販売網の強さこそが、他社を圧倒する最大の要因だ。軽自動車を除くほぼすべてのカテゴリーで競争力を持ち、「どの層にもトヨタ車がある」という構図を築き上げている。
また、トヨタの勢いを象徴するのが、5位に入ったアルファード(8,086台/前年同月比122.7%)の存在だ。
フルモデルチェンジ以降、デザインと室内空間の上質さがさらに磨かれ、ラグジュアリーミニバン市場を独走している。法人需要に加え、家族層・富裕層からの支持が拡大し、移動空間のステータスシンボルとして確固たる地位を確立した。
さらに7位の「ノア」(7,682台/113.2%)や、9位の「ヴォクシー」(7,465台/114.5%)も好調で、トヨタのミニバン勢が全体を押し上げる結果となった。
ヤリス、カローラといった量販モデルに加え、アルファード・ノア・ヴォクシーといった上位ミニバン群が下支えすることで、トヨタの盤石な販売体制が改めて浮き彫りとなった。
ホンダ勢が堅調に健闘、SUVとミニバンで見せた存在感

トヨタの独走状態が続く中で、存在感を示したのが10位にランクインしたホンダ・ヴェゼル(7,429台/前年同月比133.2%)だ。販売台数は前年同月から3割以上の増加となり、依然としてSUV人気が根強いことを裏づける結果となった。
ヴェゼルは、洗練されたデザインと軽快な走行性能を兼ね備えたコンパクトSUVとして評価が高い。都市部での扱いやすさに加え、燃費効率や静粛性にも優れ、特に女性ドライバーやシティユーザー層から厚い支持を集めている。
「日常とレジャーを両立できる1台」として、幅広いライフスタイルに溶け込む点が人気の理由だ。
また、8位のフリード(7,472台/92.3%)も堅調に推移しており、コンパクトミニバンとしての定番ポジションを維持している。コンパクトながらも3列シートを備えた高い実用性が評価され、ファミリー層を中心に安定した支持を獲得している。
このように、ホンダ勢はヴェゼルでSUV市場を、フリードでミニバン市場を押さえ、異なるセグメントで確実に存在感を発揮している。
トヨタの一強体制が続く中にあっても、こうしたホンダの堅実な動きは、今後の市場構図を変える潜在力を秘めているといえる。
“走る”から“体験する”へ、クルマ市場が迎える転換期
2025年10月の登録車市場は、依然としてトヨタが圧倒的なシェアを維持したものの、ホンダを中心とした他メーカーの動きも着実に存在感を強めている。
特に「ヴェゼル」や「アルファード」の好調は、ユーザーのクルマに対する価値観が“走るための道具”から“乗る体験そのもの”へと変化していることを象徴している。
今後は、経済性・快適性・デザイン・電動化といった要素をどのバランスで成立させるかが、各メーカーのブランド力と市場競争力を左右する。消費者の価値観が多様化するなかで、「何を優先するか」を明確に打ち出せるメーカーこそ、次の主役となるはずだ。