JOG ONEとJOG Eの基本スペックを比較


まずは、両車の基本スペックを比較する。
| 項目 | JOG ONE | JOG E |
| 車両区分 | 新基準原付(原付一種) | 電動原付(原付一種) |
| 動力源 | ガソリンエンジン | 電動モーター |
| 排気量 | 124cc | ― |
| エンジン・モーター形式 | 空冷4ストロークSOHC単気筒 | 交流同期電動機 |
| 最高出力 | 3.5kW(4.8PS) | 1.7kW(2.3PS) |
| 最大トルク | 7.7N・m | 90N・m |
| 全長×全幅×全高 | 1,740×675×1,090mm | 1,795×680×1,140mm |
| 軸間距離 | 1,205mm | 1,300mm |
| シート高 | 735mm | 740mm |
| 車両重量 | 95kg | 93kg(バッテリー装着時) |
| 燃料タンク容量 | 4.0L | ― |
| WMTCモード燃費 | 51.7km/L | ― |
| 30km/h定地燃費 | 63.0km/L | ― |
| 1充電走行距離 | ― | 53km(30km/h定地走行) |
| 変速方式 | Vベルト式無段変速 | ― |
| 乗車定員 | 1名 | 1名 |
JOG ONEは、排気量124ccのエンジンを搭載しながら、最高出力を新基準原付の上限である4.0kW以下に制御したモデルである。
一方、JOG Eは定格出力0.58kWの電動モーターを採用。ガソリンを使用せず、バッテリーに蓄えた電力によって走行する。
また、JOG Eはホンダとの協業によって誕生したモデルであり、ホンダの電動スクーター「EM1 e:」をベースにOEM供給を受けている。
車体や駆動系にはホンダの技術が活用され、外観にはヤマハのJOGシリーズらしいデザインが取り入れられている。
動力源・走行性能を比較


JOG ONEは、ヤマハの「BLUE CORE」思想に基づいて開発された124ccエンジンを搭載している。
最高出力は3.5kW(4.8PS)、最大トルクは7.7N・mで、従来の50cc原付と同じ免許区分で扱えるように出力を調整している。
また、スターターモーターと発電機の機能を兼ね備えた「SMG(Smart Motor Generator)」を採用。エンジン始動時の静粛性にも配慮されている。
対するJOG Eは、後輪にコンパクトなインホイールモーターを搭載する。
最高出力は1.7kW(2.3PS)とJOG ONEを下回るものの、電動モーター特有のスムーズな加速や、エンジン音・振動の少なさが特徴だ。
JOG Eには通常走行用の「STDモード」に加え、モーターの出力を抑えて省エネ走行に寄与する「ECONモード」も用意されている。
なお、両車の最大トルクは測定される回転数や駆動方式が異なるため、数値だけで加速性能の優劣を判断することはできない。
走行特性としては、JOG ONEは低回転域からの力強いトルクを活かした発進や登坂性能が特徴である。一方、JOG Eは静粛性や振動の少なさに優れており、発進と停止を繰り返す市街地での快適な走行を重視したモデルとなっている。
車両価格・購入費用を比較
JOG ONEとJOG Eのメーカー希望小売価格は、以下のとおりである。
| 項目 | JOG ONE | JOG E |
| メーカー希望小売価格(税込) | 259,600円 | 323,400円 |
| バッテリー・充電器 | 不要 | 各1個付属 |
| 国のCEV補助金 | 対象外 | 23,000円 |
| 補助金受領後の参考価格 | 259,600円 | 300,400円 |
※価格は2026年10月時点のメーカー希望小売価格(税込)。登録諸費用や自賠責保険料などは含まない。
JOG Eには走行用バッテリー1個と専用充電器1個が付属しており、JOG ONEとの価格差は6万3,800円となる。
また、JOG Eは国のクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)の対象となっている。
補助金2万3,000円を受け取れた場合、購入費用の実質的な負担額は30万400円となり、JOG ONEとの差は4万800円に縮まる。
さらに、自治体によっては独自の補助金制度を利用できる場合もある。ただし、補助金の適用には申請条件や予算、期限などがあるため、購入前に確認が必要だ。
また、JOG Eにはバッテリーと充電器を含まない、車両本体のみの販売方式も用意されている。
こちらのメーカー希望小売価格は15万9,500円で、国のCEV補助金2万3,000円を受け取れた場合、実質的な車両購入費用は13万6,500円となる。
ただし、車両本体のみを購入する場合は、別途Gachacoのバッテリーシェアリングサービスを契約する必要がある。
単純に車両本体の販売価格だけを比べるのではなく、バッテリーを購入するのか、サービスを利用するのかによって総費用が変わる点に注意したい。
燃料代・電気代を比較
ランニングコストを比較するうえでは、ガソリン代と充電に必要な電気代の違いも重要だ。
JOG ONEの燃費は、30km/h定地燃費値が63.0km/L、WMTCモード値が51.7km/Lとなっている。
一方、JOG Eの駆動用バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」は、定格電力量1,314Wh(約1.3kWh)で、1充電走行距離は53kmである。
今回は比較条件をそろえるため、JOG ONEは30km/h定地燃費値63.0km/L、JOG Eは30km/h定地走行距離53kmを使用する。
また、レギュラーガソリンを1Lあたり170円、家庭用電気料金を1kWhあたり31円と仮定して試算した。
| 項目 | JOG ONE | JOG E |
| エネルギー単価(仮定) | 170円/L | 31円/kWh |
| 比較に用いる公表値 | 63.0km/L | 53km/充電 |
| 100km走行相当の費用 | 約270円 | 約77円 |
| 1,000km走行相当の費用 | 約2,698円 | 約769円 |
| 3,000km走行相当の費用 | 約8,095円 | 約2,306円 |
試算では、JOG Eの方が100kmあたり約193円安く、年間3,000kmを走行する場合の差額は約5,800円となる。
ただし、これは公表された定地走行データを用いた参考値であり、JOG Eの充電時に発生する電力損失などは含まれていない。
また、JOG EをGachacoのベーシックプランで利用する場合は、年間4万7,520円の基本料金に加えて電気代が発生する。
そのため、バッテリーを購入して自宅で充電する場合は、JOG Eの方が走行時のエネルギー費用を抑えやすい。
一方、Gachacoのベーシックプランを通常料金で利用する場合、年間3,000kmの走行では、バッテリー・充電器のレンタル料と電気代の合計がJOG ONEのガソリン代を上回る計算となる。
ただし、車両価格や整備費用、バッテリーの将来的な交換費用まで含めた総額では、使用年数や走行距離によって有利なモデルが異なる。
航続距離・給油と充電の利便性を比較


1回の給油や充電で走行できる距離にも大きな違いがある。
JOG ONEは燃料タンク容量4.0L、30km/h定地燃費値63.0km/Lとなっている。
この数値から算出すると、満タン時の理論上の走行距離は約252kmだ。また、WMTCモード値51.7km/Lを用いた場合は約207kmとなる。
一方、JOG Eの1充電走行距離は53kmである。
| 項目 | JOG ONE | JOG E |
| エネルギー補給 | ガソリン給油 | バッテリー充電・交換 |
| 走行距離の目安 | 約252km(計算値) | 53km(公表テスト値) |
| 比較条件 | 30km/h定地走行 | 30km/h定地走行 |
| 補給に必要な時間 | 給油時間 | 約6時間(0〜100%充電) |
| 外出先での補給 | ガソリンスタンド | Gachacoの対応ステーション(対象プラン契約時) |
同じ30km/h定地走行という条件では、JOG ONEはJOG Eの約4.8倍の距離を走行できる計算となる。
ただし、JOG ONEの約252kmは燃費値とタンク容量から求めた理論値であり、実際の走行可能距離は運転状況や道路環境によって変動する。
JOG Eについても、信号待ちや発進・停止、坂道、気温、バッテリーの状態などによって走行距離が短くなる場合がある。
給油・充電方法にも違いがある。
JOG ONEはガソリンスタンドで短時間に給油できるため、1日の移動距離が長い場合や、急な外出にも対応しやすい。
JOG Eは車体からバッテリーを取り外し、専用充電器と家庭用コンセントで充電する方式だ。残量ゼロから満充電までは約6時間を要するため、帰宅後や使用しない時間帯に充電することが基本となる。
また、Gachacoのステーション利用プランなどを契約すれば、対応ステーションで充電済みバッテリーに交換することも可能だ。
ただし、自宅充電を中心とするベーシックプランとは利用条件や料金体系が異なるため、契約前に確認が必要となる。
車体サイズ・取り回し・装備を比較
JOG EはJOG ONEより全長が55mm、軸間距離が95mm長いものの、シート高の差は5mm、車両重量の差は2kgにとどまる。
両車とも日常の移動を想定したコンパクトなスクーターだが、最小回転半径やシート形状などにも違いがあるため、取り回しや足つきは実車で確認したい。


収納面では、JOG ONEが約21.3Lのシート下トランクを備えていることが特徴だ。買い物や通勤などで荷物を持ち運ぶ際に使いやすい構成となっている。
一方、JOG Eはシート下に駆動用バッテリーを搭載しているため、収納スペースは小物向けに限られる。
ただし、JOG EにはLEDヘッドランプやフルデジタルメーター、USB Type-A充電ソケットなどが採用されている。
ブレーキについても違いがあり、JOG ONEは前後ドラムブレーキ、JOG Eはフロントディスクブレーキとリアドラムブレーキを採用。両車とも前後の制動力を連動させるブレーキシステムを備えている。
荷物の収納力を重視する場合はJOG ONE、電動スクーターならではの装備や静粛性を重視する場合はJOG Eという違いがある。
維持費・免許・交通ルールを比較
JOG ONEとJOG Eは、どちらも原付一種に区分されるため、運転できる免許や交通ルールは共通している。
原付免許または普通自動車免許で運転でき、最高速度30km/h以下、二人乗り禁止、指定された交差点での二段階右折など、従来の原付一種と同じルールが適用される。
また、高速道路や自動車専用道路は通行できない。
軽自動車税は両車とも年額2,000円で、自賠責保険への加入も必要となる。
一方、車両の維持管理には違いがある。
JOG ONEはガソリンエンジンを搭載しているため、エンジンオイルや点火プラグ、エアクリーナーなどの定期的な点検・交換が必要となる。
JOG Eはエンジンオイル交換が不要で、エンジン由来の整備項目は少ない。ただし、タイヤやブレーキ、足回りなどの点検は両車とも必要だ。
また、JOG Eでは駆動用バッテリーの劣化も長期所有に関わる要素となる。
バッテリーを所有する場合は、将来的な交換費用を考慮したい。一方、Gachacoを契約する場合には、月額料金が発生する。
たとえば、自宅充電向けの「ベーシックプラン」では、バッテリー1個のレンタル料が月額2,530円、充電器1台が月額1,430円で、合計3,960円となる。さらに自宅での充電に使う電気代も別途必要だ。
通常料金で12か月間利用した場合、基本料金の合計は4万7,520円となる。このため、車両本体の購入価格が安くても、必ずしも維持費が安くなるとは限らない。
なお、ステーション利用プランでは月額料金やバッテリー交換に伴う料金体系が異なる。
また、JOG Eの購入やアフターサービスは、電動二輪車の整備に対応した「ヤマハ EV取扱店」で行われる。購入前には、対応店舗が近くにあるか確認しておきたい。
維持費を比較する際は、燃料代や電気代だけでなく、定期整備費用、バッテリーの購入・交換費用、レンタル契約の有無などを含めて判断する必要がある。
JOG ONEとJOG Eはどちらが使いやすい?
JOG ONEとJOG Eは、どちらも原付免許で運転できるスクーターだが、動力源の違いによって日常での使い勝手が異なる。
JOG ONEは、ガソリンエンジンによる航続距離の長さや給油の手軽さ、約21.3Lのシート下収納などが特徴である。長めの通勤や買い物など、幅広い用途に対応しやすい。
一方のJOG Eは、電動モーターならではの静粛性と滑らかな加速が魅力だ。自宅で充電できる環境が整っており、比較的短い距離を日常的に移動する使い方に適している。
ただし、JOG Eは購入方式によって初期費用や月々の負担が大きく変わるため、利用予定の走行距離や充電環境、バッテリーの保有方法も確認しておきたい。
どちらを選ぶ場合も、車両価格だけでなく、日常の移動距離や給油・充電の利便性、長期的な維持費を踏まえて比較することが重要となる。
