お便り 渋滞中の交差点手前すり抜けて前に出てOK?

投稿者:熊本県/カブカブらーもん

バイク通勤をしていると、渋滞でズラッと並んだクルマの横に、バイク1台分ほどのスペースが見えることがある。「ここを通れば少し前に出られるなあ……」そう思ってしまう気持ちは、よ〜く分かる。バイクは車体が小さいし、前方が空いていれば、ついスルスルッと行きたくなるものだ。でも、そこで気になるのが交通違反。クルマの横を通って前へ出る、いわゆる“すり抜け”は、そもそも違反なのだろうか。

結論からいうと、道路交通法には「すり抜け」という名前の違反はない。そのため、クルマの横を通ったという事実だけで、必ず違反になるとは限らない。

ただし、だからといって「すり抜けは合法だから大丈夫!」とは言えない。どこを通ったのか、車線を越えたのか、前へ出たあとにどう進路を変えたのかによって、交通違反に問われる可能性がある。警視庁交通相談へ聞いた際も、「すり抜け行為そのものだけでは違反にならないケースでも、それに伴う運転が違反になることが多い」と回答されている。

交差点、黄色線、割込み……すり抜けで注意したい交通ルール

まず注意したいのが、今回のお便りにもある交差点の手前だ。道路交通法では、原則として交差点とその手前30m以内は追越し禁止。前の車へ追いついたあと、進路を変えて側方を通過し、その前へ出る「追越し」に当たる走り方をすれば、追越し違反に問われる可能性がある。

ただし、優先道路を走っている場合などには例外もあるため、「交差点の手前で横を通ったら全部違反」と単純に決めつけることもできない。大事なのは、前車との位置関係や進路変更の有無を含めて判断されるということだ。

いっぽう、進路を変えずに前車の横を通過する行為は、一般に「追い抜き」と区別されることがある。ただし、追い抜きなら何をしてもOKという話ではない。その後の進路変更や通った場所によって、別の違反になる可能性は残る。

さらに、すり抜けるために隣の車線へ出る場合は、道路の線にも注意したい。進路変更を禁止する黄色の実線が引かれている場所では、その線を越えて進路を変えることはできない。いっぽう、白い実線は、それだけで一律に進路変更禁止という意味ではない。ただし、白線だから自由に車線変更していいわけでもなく、交差点付近の追越し禁止や危険な進路変更など、ほかの交通ルールに触れる可能性がある。

また、すり抜けたあとにクルマの間へグイッと入る行為にも注意したい。車列の途中へ急に入り、ほかの車にブレーキや回避をさせれば、割込み等違反や危険な進路変更に問われる可能性がある(渋滞列へ入っただけで必ず割込み等違反になるわけではない)。とはいえ、違反になるかどうか以前に、ミラーの死角から突然現れたバイクが前へ入るのはかなり危険だ。こちらは「十分入れる」と思っても、相手からは見えていないかもしれない。そして、クルマの左側に空いているスペースがあっても、そこが歩道や路側帯なら、渋滞を抜けるためにバイクが通行することはできない。白線の左側がすべて“バイク用の抜け道”というわけではないのである。

違反じゃなくても危ない! すり抜けは事故の入口になりやすい

すり抜けでもっとも怖いのは、やはり接触事故だ。クルマの左側を通っていると、突然左折する車両に巻き込まれそうになった経験を持つライダーもいることだろう。店舗や駐車場へ入ろうとするクルマが、ウインカーを出すのと同時に曲がり始めるケースもあるし、停車中のクルマから、突然ドアが開く可能性もある。助手席や後席の乗員は、後ろからバイクが来るとは思っていないかもしれない。クルマのミラーに接触したり、巻き込み事故の被害者になったりするリスクも高い。

警視庁交通相談でも、「すり抜け行為自体だけで違反にならない場面でも、危険な運転であることに変わりはない」と指摘されている。

主な違反の点数と反則金は下記の通り。

追越し違反
違反点数:2点
反則金:二輪車7000円/原付6000円

進路変更禁止違反
違反点数:1点
反則金:二輪車6000円/原付5000円

割込み等違反
違反点数:1点
反則金:二輪車6000円/原付5000円

まとめると、“すり抜け”という名前の違反があるわけではない。しかし実際には、交差点付近での追越し、黄色線を越える進路変更、無理な割込み、歩道や路側帯の通行など、別の違反につながる可能性がある。だから、「すり抜けは禁止されていないから大丈夫」と考えるのは危険だ。渋滞していると、一台でも前へ出たくなる。でも、数台前へ出るために事故や違反のリスクまで背負うのは割に合わない。すり抜けは、走り方次第で違反になる。そして何より、事故のきっかけになりやすい。

機動力が高くて便利なバイクだけれど、違反じゃないからといってバンバンすり抜けするのも考えモノ。明確に「すり抜け禁止」となってしまわないよう、マナーとしてクルマとの良い関係を心がけたい。


まとめ

●すり抜け自体は違反でないが、他の違反に問われることが多い
●バイクのイメージが悪くならないよう、安全最優先で!

※この記事は月刊モトチャンプ2022年6月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】