街乗り最強!の小型スライドドアハイトワゴン「ダイハツ・トール」【最新コンパクトカー 車種別解説】

軽自動車の取り回しに、5ナンバー枠ならではの居住性の高さと荷室の広さを実現させた「ダイハツ・トール」。両側スライドドアや後席乗降時の長めのアシストグリップなど細かく配慮された装備、そして20年のマイナーチェンジ時には安全装備のアップデートなど、日常使いのツールとしてバランスよく整っている。
REPORT:渡辺陽一郎(本文)/工藤貴之(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:月城まゆ

広大な室内空間と荷室は魅力 街なか移動や日常使いに特化

トールが開発された発端は、軽自動車の販売が好調で、小型車から乗り替えるユーザーが増えたことだ。トヨタが危機感を抱き、N-BOXなどに対抗できるコンパクトカーが企画された。ダイハツが開発して、ダイハツ版はトール、トヨタ版はルーミーの名称で売られている。

エクステリア

全長 3.7m ほどの小さなボディながら天井を高くすることで実現した居住性抜群のパッケージングが自慢。後席ドアはスライド式として乗降性も高め、言うなれば“ひと回り大きな軽スーパーハイトワゴン”だ。最小回転半径は4.7m。

トールは軽自動車のスーパーハイトワゴンに似ている。全長を3700mm(標準車)に抑えながら、全高は1700mmを超えて車内は広い。

インストルメントパネル

センターメーターではないがドライバー正面がスッキリで視界の広さも開放感も抜群。「カスタム G 」系のグレードは電動パーキングブレーキが採用されている(他仕様は足踏み式)。

後席は床と座面の間隔が乏しく、足を前側へ投げ出す座り方だが、格納するとボックス状の広い荷室になる。荷室の床を反転させると汚れを落としやすい素材が貼られ、自転車を積んだ後の清掃もしやすい。収納設備も充実しており、発売された2016年の時点で、500mlの紙パックが収まる収納設備を備えていた。

居住性

車両重量が1080kg(標準車)と少し重いため、1.0lの自然吸気エンジンは動力性能が不足。ターボは2500rpm付近のノイズが気になる。ステアリング操作に対する車両の反応は鈍く、危険を避けるときはボディが大きく揺り返す。乗り心地も40km以下では粗い。プラットフォームはブーン&パッソと共通だが、トールは全高が約200mm、両重量も200kg近く上回り、走りと乗り心地に不満が生じた。

うれしい装備

低い床と高い天井の組み合わせで乗降性も抜群。Bピラーには子どもから大人まで対応できるよう上下に長いアシストグリップが備わっている。
停車中に利用できる、運転席と助手席の後ろにあるテーブル。車内での休憩や軽食、小さな子どもの世話をするシーンでも役立つ。
リヤドアウインドウにロールシェードを用意。強い日差しを遮るのはもちろん、外から車内が見えないようにするブラインド効果もある。
月間登録台数   1169台(21年11月〜22年4月平均値)
現行型発表     16年11月(マイナーチェンジ 20年9月)
WLTCモード燃費  18.4 km/l ※自然吸気のFF車

ラゲッジルーム

それでも街なかの移動が中心で、軽自動車では近所の坂道でパワー不足を感じる場合など、トールは生活のツールとして使いやすい。そのためにダイハツブランドの小型車では好調に売られている。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.142「2022-2023 コンパクトカーのすべて」の再構成です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/142/

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