軽ダンプは迫力満点で、しかも中古が格安
軽トラカスタムの第二次ブームが始まってから久しいが、その世界はますます活況を呈している。「東京オートサロン2023」にも、多数のカスタムカーが出展され、来場者の目を惹いた。
軽トラカスタムの魅力は、比較的リーズナブルにクルマ作りができることだ。メニューの定番は、やはりサスペンション交換。リフトアップとローダウンの2タイプがあるが、昨今主流になっているのがリフトアップ、いわゆる「アゲトラ」。
リフトアップ方法はいくつかある。かつてはブロックやロングシャックルを使って上げることが多かったが、昨今はリフトアップスプリングとブロックを組み合わせるのが主流となっている。スプリングを交換すると、サスペンションのトラベル量が増加して走破性が向上し、快適な乗り心地もキープできるからだ。
30〜50㎜程度リフトアップを行い、これに13インチくらいの大径オフロードタイヤを履かせるというのが、最近のトレンドとなっている。
荷台は軽トラの身上と言える部分だが、ここもカスタムの重要ポイント。テント風の幌を装着したり、屋根を越える高さのケージを付けて、そこにラックやルーフボックス、ルーフテントを付けるといったアウトドア系のカスタムが流行中だ。このタイプのカスタムトラックは、芸能人やYouTuberでもユーザーが多いため、そのことも人気を後押ししているファクターになっている。
キャンブームもあってか、軽トラカスタムはヘビーデューティな見た目にするのが主流となっており、まだ数年はこの流れが続きそうだ。ただ、ここに来て新しいムーヴメントも興っている。それは「軽ダンプカスタム」だ。
軽ダンプは、軽トラの荷台が上がるのが特徴だが、一般ユーザーからすれば特段使い途があるわけではない。しかし、荷台を上げた時に見えるPTOのメカニズムや、その見た目の迫力がユーザーの間で人気になっているのだ。
今回の東京オートサロンでも、ラプター・ジャパンが軽ダンプのカスタムカーを出展。独特な雰囲気は、多くの来場者を集めていた。同社の主力商品である「ラプターライナー」はアメリカ発の保護塗装で、堅牢な被膜とゴツゴツとした見た目が特徴だ。チッピングや障害物へのヒットによるキズから愛車を守るため、主にオフロード4WDやSUV、ピックアップトラックに施されることが多い。
出展された軽ダンプは、まずこのラプターライナーでボディ全体を塗装しているのがポイントだ。ボディ全体にコーティングを施していることから、塗装代はかなり高額になりそうだが、その分だけ迫力は大。4インチアップのリフトアップサスペンション、マクシス・マッダーのタイヤと相まって、ラギッド感が凄い。
運転席上にはルーフラックを装着し、そこにIPFのワーキングランプが並ぶ。グリルに装着されたパンチングのプレートも、ドレスアップパーツとして利いている。荷台に付けられたスペアタイヤも、大きな存在感を放つ。
ロービジカラーに塗装されていること、そしてダンプのメカニズムが、不思議とミリタリーカーの雰囲気を演出。街で、アウトドアで、強烈なインパクトを放つのは間違いないだろう。
軽ダンプは、軽トラ、軽パネルトラックに続く第三の選択肢と、最近にわかに注目を集めている。写真のようなアウトドア系のほか、大型ダンプのデコトラ風にするカスタムもユーザーの間で広がりつつある。
ちなみに軽ダンプというと、軽トラに比べてかなり高額のようにも思えるが、実はそうでもない。新車であれば150〜160万円、中古車であれば50万円前後で購入することができる。ちなみに荷台の上げ下げには、エンジンの駆動力を使うPTO式と、モーターを使う電動式があるが、作動する時の迫力はPTOが上。
加えて、荷台が斜めに上がる通常のダンプと、垂直にパンタグラフで上げるリフトダンプもある。リフトダンプにテントを付けて荷台を上げれば、オーバーランラースタイルにもできる。荷台のアオリの形状も多様で、それを活かしたカスタムを考えるのも楽しそうだ。
カスタムベースとして、様々な可能性を秘めた軽ダンプ。これから目が離せないカテゴリーであることは間違いない。