リニアな走りを突き詰めた新生SUPRA!「トヨタ・スープラ」【最新スポーツカー 車種別解説】

現行モデル発表の後も積極的な改良、グレード追加など進化を見せてきた「トヨタ スープラ」。22年には待望のMT車もラインナップされ、パワフルなポテンシャルを余すことなく使い切ることができる。低回転から高回転まで滑らかさが際立つフィーリングは、豪快かつ爽快な心地よいフィーリングだ。
REPORT:橋本洋平(本文)/小林秀雄(写真解説) PHOTO:神村 聖 

直列6気筒と直列4気筒をラインナップ

17年ぶりに復活となったスープラは、先代と同じく直列6気筒エンジンを搭載するために、パートナーにBMWを選択し、結果的にZ4と兄弟車になる道を選択。2シーターでの登場となり、ホイールベースは86より100mmも短い2470mmとした。ボディ剛性は の2倍、カーボンが使われたLFAをも上回るというから驚きだ。

エクステリア

ホイールベースとトレッドの比を1.55と小さく設定した、コーナリング性能重視のディメンションを実現。一部改良ではAVSの特性やショックアブソーバの減衰特性が変更され、ロールバランスおよび乗り心地を向上した。
「RZ」は最高出力387psの3.0l直6ターボを搭載。2022年4月の一部改良で追加された待望の6速MTは、クラッチとシフト操作に応じて最適な回転数に制御する自動ブリッピングを採用。MT車専用の室内サウンドチューニングも施され、走りの高揚感を演出する。一方の「SZ-R」と「SZ」は、それぞれ最高出力258psと197psの2.0l直4ターボを搭載。
撮影車は2022年4月の一部改良前のモデルで、「RZ」の19インチ鍛造アルミホイールは新デザインに変更された。「RZ」と「SZ-R」の装着タイヤはミシュランのパイロットスーパースポーツ。
幅が約 850mm、 奥行きが約780mmのラゲッジル ーム。機内持ち込み可能サイズのスーツケースをニ個収納することができる。 隔壁の真ん中が窪んでいるため、ゴルフバッグを縦に積みやすく なっている。

ショートホイールベースだと直進安定性の確保が難しくなってくるが、そこに対してはアクティブディファレンシャルで対処する考えで、0-100%まで任意にロック率を変化させることが可能なそれによって安定性も旋回性も確保しているところがポイントだ。

インテリア

正統派FRスポーツらしいタイトで機 能的なコクピット。スタビライザーのブッシュ特性変更によりステアリングの初期応答性が高められ、EPSの特性変更で操舵フィーリングや限界域でのコントロール性も改善された。
ヘッドレスト一体型のスポーツシートを標準装備。サイドサポートが大きく、包み込むようなホールド感を実現。「RZ」には本革×アルカンターラのコンビシートが備わり、カラーにイグニッションレッドを採用。一部改良で「RZ」には新たにタン内装の本革シートもオプション設定された。
8.8インチ TFT液晶デジタルメーターは中央に回転計を備えるシンプルレイアウト。
8速AT車はBMWと同じシフトセレクターを採用するが、新設定の6速MT車には球形状のシフトノブが備わる。
アクセルペダルはオルガン式。

エンジンは直列6気筒ターボ以外にも直列4気筒ターボをラインナップ。直6モデルは登場からわずか9ヵ月後の2020年2月に一部改良を行なうことをアナウンスし、同年秋からそれを発売。エキマニ、ピストンなどを変更し、 47psアップの387psを達成した。それと同時にフロントまわりにはブレースが追加され剛性を向上させたほか、サスペンションセッティングも見直しを行なった。また、アクティブディファレンシャルのセッティングも大幅に変更している。さらに 22年になり、当初から開発に着手していたというMTモデルもついにラインナップ。価格帯的に真っ向ライバルとなる日産フェアレディZ対策も万全となった。

2020モデルで飛躍的にドライバビリティをアップ

スープラの走りは、良くも悪くもインパクトが絶大だったことを思い出す。低回転からビッグトルクを生み出して加速を開始。けれども高回転へ向けた滑らかさ際立つ直6エンジンのフィーリングは心地良く、これを求めてBMWに行き着いたというのも頷けるところ。豪快かつ爽快だったのだ。シャシーの仕立てはとにかくシャープであり、初期モデルはコーナーのターンインでとにかく切れのいい応答を示した印象が強烈だった。対して立ち上がり方向にアクセルを入れると、一気に蹴り出していくイメージがあり、、その境目に連続した動きが皆無だったことが扱いにくさにつながった。ターンインではLSDをフリー状態に、アクセルを踏んだらデフロックに近い状態にと、かなり極端な制御だったのだ。

うれしい装備

エンジン、トランスミッション、ステアリング、AVS(「RZ」と「SZ-R」) などの特性を変化させるスポーツモー ドを装備。 
パワーとトルクの立ち上がりを可視化する表示機能も備わる。 
回転数を2000rpmに固定し、 すばやいスタートダッシュを実現する ローンチコントロールを搭載。 
全車速追従機能付きレーダークルーズコントロールを8速AT車に標準装備。

だが、2020モデルの登場で事態は一転。リニアリティが高くコントローラブルな仕上がりになったところに進化を感じた。BMW Z4的に改められたそれは、パワフルさを増したエンジンを余すことなく使い切ることに成功しており、手の内に収めやすい仕上がりとなったことが好感触に。

ショックの減衰力特性やバンプラバーの形状変更も行ない、有効ストロークをさらに確保したことから、ストリートでも乗り心地が向上したこともポイントのひとつ。最大トルクの発生ポイントも200rpm引き上がったが、乗りやすさは増した。

Country     Japan
Debut       2019年5月(一部改良:22年7月)
車両本体価格    499万5000円~731万3000円

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.143「2022-2023 スポーツカーのすべて」の再構成です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/143/

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