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今回はVol.7からの続きで、現行である5代目アルトワークスについて探っていこう。今回はボディ・安全装備編。
ホイールベースは2460mm、広~い室内
36ワークスの車両寸法は平成10年10月施行、新規格と称される現行の軽自動車規格に沿ってつくられている。車両の基部は、最新の軽量高剛性プラットフォームHEARTECT(ハーテクト)と、新軽量衝撃吸収ボディ・テクトで成り立っている。スポーツ性、快適性、安全性の3要素を満たす骨格である。フォルムは、Aピラーが後方へ湾曲しながら傾斜する。ドアが大きい。
そして目立つのは4つのタイヤの置かれかた。36ワークスでは全長3395mm、全幅1475mm、全高1500mmが車両寸法の最大値になる。そのなかで全長はホイールベースが2460mmを占め、4代目ワークスより100mm長い。
2代目ワークスでの手法よろしく、限りなく四隅にタイヤを配置し、室内空間がいっぱいに確保されているのだ。そのぶんオーバーハングが強度に短く、フロントマスクは切り立つような精悍な顔つきとなっている。うん、空気の壁を威圧で押しのけ力強く推進する、36ワークスの走りっぷりが浮かんでくるね。
FFの車重はライバル車より100kg以上も軽い
カタログ初版の第一キャッチは、「いま、マニュアルに乗る」。第二が「速さを生み出す秘密は、軽さにあった」。
このキャッチに誇張はなく、FFの5MTは車重が670kgである。これは4代目、3代目の車重と等しい。4WDの5MTは720kgで、これも先代までと大差ナシ。5AGSではFFが690kg、4WDが740kgだ。ともにまったく重くない。
36ワークスに限らずだが、現行のアルト系は軽量化が徹底されている。ボディ、エンジン、駆動系の至る箇所、そして樹脂部品の多様など。たとえばフロントフェンダー、エンジンのカムカバーとインマニは樹脂製だ。ちなみに標準車のアルト系では、最軽量が610kg。
そんなわけで36ワークスは、国産軽自動車のスポーティモデルのなかでは車重が断然軽い。S660、コペン、N-ONE RSとの比較は性格の違い、車両の構造差から異論もあるかもしれないが、世のカテゴリー上は同種といえるだろう。搭載されるターボエンジンの特性も似る。
そう考えれば、とくにFFの5MT・5AGSはライバル車より百数十キロも軽い。競争すれば、絶対の強みになる。弾丸加速を見せつける1台なのだ。
ボディカラーは入れ替わりながら4色展開
最新だけに予防安全の支援装備が充実
現行の5代目アルトワークスは、最新モデルだけに予防安全の支援装備が充実する。
5MTと5AGSの共通項目が、ESP®車両走行安定補助システムだ。トラクションコントロール、ABS、横滑り防止装置等を統合する機能である。走行状況に応じて、繊細な電式制御を利かせる。
たとえばスタビリティ制御。カーブを曲がるクルマの動きが不安定な場合に、進路を修正する。左カーブの旋回がアンダーステアの傾向にあれば、運転者はハンドルを切った状態だから、制御がエンジントルクを下げながら内輪のリヤ(左後輪)に自動ブレーキ、アクティブブレーキをかけ、フロントが旋回方向を目指すようにする。逆にオーバーステアではスピンなどの抑制に、フロントの外輪(右前輪)にアクティブブレーキをかけ、フロントの向きを外側へ徐々にずらす。
頼もしい機能だが、あくまで日常域での安全運転の手助け。ドラテク向上装置じゃないので、そこはよく理解しよう。
仕様・諸元(一部) 駆動方式:2WD(FF) :フルタイム4WD 型式(FF):DBA-HA36S(2015年12月~2020年10月)/4BA-HA36S(2020年10月~) (4WD):DBA-HA36S(2015年12月~2020年10月)/4BA-HA36S(2020年10月~) エンジン:R06A型DOHC4バルブ直列3気筒インタークーラー付きターボ ボア×ストローク:64.0mm×68.2mm 総排気量:658cc トランスミッション:5MT/5AGS 全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1500mm ホイールベース:2460mm トレッド:フロント1295mm/リヤ1300mm(4WD 1290mm) 車両重量:2WD 5MT 670㎏/2WD 5AGS 690㎏/4WD 5MT 720㎏/4WD 5AGS 740㎏の間隔調整? 乗車定員:4名 タイヤ:165/55R15 車両規格:平成10年10月施行 現行新規格 ※各数値はHA36S初期モデルを掲載。2WD(FF)の5AGSは新車販売を終了