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2022年11月に発表された枠組み合意に続き、吉利控股集団(ジーリーホールディング)、吉利汽車控股有限公司(ジーリーオート 以下、総称して「吉利」)とルノーグループは7月11日、HEVと高効率ICEパワートレーンの開発、製造、供給におけるグローバルリーダーとなることを目指す、パワートレーン技術新会社を立ち上げるための拘束力のある50/50の合弁事業契約に調印した。
ルノーグループは、EV及びソフトウエアに特化したアンペア(Ampere)社と、ハイブリッド、PHEV用を含むエンジンとトランミッションに特化したホース社に分けて事業を展開する計画だった。アンペア社には将来的には日産も合流する予定。ホース社は、スペイン、マドリッドに本社を置き、約9000人の元ルノーグループ従業員で構成され、8つの製造拠点で年間320万台の生産能力を持つ。
一方の吉利は、オーロベイ(Aurobay)社という、グループのボルボの内燃機関技術などを集約した会社を持つ。今回は、ホース社とオーロベイ社を統合するカタチで新しい事業体を設立する。新会社は従業員1万9000人、年産500万基の能力を持つことになる。
2023年3月2日にルノーおよび吉利汽車と基本合意書を交わしたサウジアラビアの国営石油会社アラムコは、この新しいパワートレーン技術企業への戦略的投資を評価している。アラムコの投資は、同社の成長を支援し、合成燃料ソリューションと次世代水素技術にわたる主要な研究開発に貢献することになる。e-fuelsを含む合成燃料と水素は、現在道路を走っているICE車を含め、自動車産業における脱炭素化のソリューションの一部である。
合弁会社は、ルノー・グループと吉利汽車が共同で主導し、対等な役員メンバーで戦略を策定・実行し、合弁会社の方向性を決定する。最初の組織では、ふたつのオペレーションセンターがそれぞれのオペレーションを担当し、事業の継続性を確保する。
ルノー・グループはマドリッド、吉利汽車は杭州湾に拠点を置く。英国に設立を予定している新会社の本社には、業務を統合し、シナジーを構築し、将来の計画を定めるための幹部チームが置かれる。
ルノー・グループと吉利汽車は、知的財産をオペレーションセンターに移譲する。新会社は発足時、ルノー・グループ、吉利汽車、ボルボ・カーズ、プロトン、日産自動車、三菱自動車工業、パンチ・トリノを含む複数の産業顧客に供給する予定だという。
将来的には、この合弁会社は、パワートレーン技術におけるエンド・ツー・エンドのソリューションをサードパーティの自動車ブランドに提供できるようになり、バリューチェーンをさらに強化するためのパートナーを迎える予定である。
適用される法規制を条件として、吉利汽車とルノーは、乗用車用のICE、HEV、PHEVのパワートレーン(エンジンとトランスミッション)の合弁会社からの長期調達契約を締結する。また、ルノーは小型商用車用パワートレーンの調達とハイブリッド・バッテリーの開発を行なう。
ルノー・グループ ルカ・デ・メオCEO
「今日の自動車の課題に直面して、誰も単独ですべての解決策を持っているとは言えません。画期的なイノベーションを生み出すには、専門知識と資産を組み合わせる必要があります。道路交通の脱炭素化を目指す世界的な競争では、時間がありません。 今日、私たちは吉利汽車のような偉大な企業と手を組み、新たなプレイヤーを立ち上げることができたことを誇りに思います。エリック・リーの信頼に感謝します」
吉利控股グループのエリック・リー会長
「世界中の自動車メーカーに低排出ガス・ソリューションを提供し、ハイブリッド技術のグローバル・リーダーになるための旅に出発できることを嬉しく思います。ルカ・デ・メオとルノーのチームと協力できることを楽しみにしています。この契約により、我々は、グループ全体の技術的専門知識とブランド・ポートフォリオを活用し、より良い消費者体験につながる、より大きな持続可能性と価値創造への道を切り拓いていくというコミットメントを改めて表明します」