アウディが年末発表予定の新型EV「Q6 e-tron」で新しいデザイン哲学をインテリアに採用

アウディはこのほど、年末までに発表を予定している新型EV「Q6 e-tron」のインテリアに関する詳細を明らかにした。

ドアからコックピット全体に沿ってセンターコンソールにまで広がり、調和の取れた乗員を包み込むようなスペース感覚を生み出す

Q6 e-tron(プロトタイプ)

Q6 e-tronのインテリアは、これまでのアウディ車以上にユーザーニーズに配慮してデザインが見直されている。例えば、立体的な造形とコントラストカラーを組み合わせたデザインを採用したインテリアは、それぞれの要素を意図的に遠近に配置することにより、人間工学的な快適さを追求するだけでなく、見た目にも美しい空間となっている。

Q6 e-tron(プロトタイプ)

Q6 e-tronは、新開発のPPE(プレミアムプラットフォーム エレクトリック)と新しいE3エレクトロニクスアーキテクチャーをベースに開発された初のモデルシリーズ。今回のインテリアのデザインと機能の刷新は、これらの技術を基盤として進められた。Q6 e-tronには、高度なテクノロジー、美しいデザイン、持続可能性がバランスよく取り入れられている。

アウディデザインの責任者マーク・リヒテ氏は、次のように述べている。
「私たちは今、間違いなく自動車デザインの歴史において最もエキサイティングな時代を生きています。それを象徴する要素が、包括的なデジタル化、持続可能性と自由なパーソナルモビリティの重視、そして新たに定義した有意義で贅沢な時間です。この新しい時代において、斬新でクリエイティブな発想を持つ人は、真の革新とは何かを問いかけ、これまでの常識にとらわれずに、インテリジェントな新しい答えを見つけることができるでしょう。この考え方は、アウディの新しいデザインプロセスの出発点となりました。つまり、お客様がクルマの中で、そしてクルマと共に何を体験したいと考えているのか、ということです。お客様のニーズと要望が空間を形成し、これが構造や機能へと発展するからです。私たちは車両のインテリアを、お客様の生活と体験の中心であると理解しています。そのため、これまでの状況を一から見直し、車両を内側から外側へと体系的にデザインしました。Q6 e-tronは、私たちのビジョンを具体的な形にして示しています」

インテリア:統一されたデザイン

Q6 e-tronのインテリアは、クリアな造形によって居心地の良い雰囲気になっている。ソフトラップと呼ばれるトリムは、ドアからコックピット全体に沿ってセンターコンソールにまで広がり、調和の取れた乗員を包み込むようなスペース感覚を生み出す。シートには、斬新なカラーと高品質な素材を使用。一部にはリサイクル素材が取り入れられた。

これにより、すべてのインテリアコンポーネントが統一感のあるひとつの空間としてデザインされ、乗員は繭の中にいるかのような心地よさを感じることができる。素材は機能性を念頭に置いて選択され、インテリアの様々なエリアに、それぞれのデザインを生かして取り入れられています。各エリアは、広い面積とソフトな素材を使用することにより、特に快適性を重視。対照的に、操作エリアは精密なデザインが特徴で、車両との対話が明快に行えるよう、高品質なハイグロスブラックのタッチパネルを採用している。

操作系は、素材の密度と質を高めることでより強い存在感を表現。インテリアトリムはデザイン要素としても機能している。この考え方は、広々としたスペース感覚を提供すると同時に、快適性と居心地の良さだけでなく、明快さも生み出す。水平に設置された低くスリムなエアベントは、インテリア全体に一体感をもたらしている。「ブラックパネル」を採用した一連のコントロールスイッチは、運転席側のドアハンドルに統合されており、モダンなインテリアと完璧に調和。この操作パネルには、ドアミラーの調整、シートとドアの機能、ライトと視界の設定など、最も重要な機能が含まれている。

持続可能で美しい素材:「ダイナミカ」および「エラスティック メランジ」ファブリック

ソフトラップと呼ばれるトリムに使用される素材の一部は、持続可能な方法で生産されている。例えば、Sラインのソフトラップでは、100%リサイクルポリエステルから作られた「Elastic Melange(エラスティック メランジ)」ファブリックが使用されている。コントラストステッチが施されたスポーツシートも、オプションでエラスティック メランジが用意される。

標準シートとヘッドライナーにオプション設定となる「Argument(アーギュメント)」ファブリックも同じ素材から作られている。SラインおよびSモデルでは、スポーツシートプラスもオプションでリサイクル素材「Dinamica(ダイナミカ)」マイクロファイバー、またはダイヤモンドステッチが施された上質なナッパレザーで提供される。

インストルメントパネルの表面は、ボルケーノグレーのファインペイント仕上げが標準で、その一部には、再生可能な素材が用いられている。あるいは、ウッド(ライトブラウンのスウィートガムナチュラル、ストーングレーのバーチリニアナチュラル)やアルミニウム(アンスラサイトカラーのマットブラシ仕上げ)を選択することも可能だ。SラインおよびSモデルでは、アンスラサイトカラーのマットブラシ仕上げによるアルミニウム、カーボンマイクロツイル、アンスラサイトカラーのハイテクメッシュが用意されている。ハイテクメッシュは、リサイクル素材から作られ、手触りのある質感、斬新な表面をもつ、革新的でテクニカルなポリエステル生地だ。フロアマットは、「Econyl(エコニール)」製で、古い漁網、カーペット、産業廃棄物をリサイクルした素材が使用されている。

PPE:日常走行に最適な広さ

Q6 e-tronはアウディのDNAを体現しており、印象的な走行性能、充電性能、革新的なテクノロジーを完璧にバランスさせている。BEV専用に開発された新しいPPEプラットフォームにより、日常走行に適していると同時に、明るく広々としたインテリアも特徴だ。例えば、インテリアには様々な収納スペースやトレイを設置。センターコンソールにはふたつのカップホルダー、携帯電話充電トレイ、ふたつのスマートフォン用充電ポートが備わっている。センタートンネルのないBEVの特徴として、足元スペースが広く、リヤシートへの乗り込みが容易で、リヤセンターシートの座り心地も優れている。

トランク容量は526ℓ。リヤシートを折りたたむと、収納スペースは最大1529ℓまで拡大できる。リヤシートは分割可倒式(40:20:40の3分割)です。ボンネット下のいわゆるフランク(フロントトランク)には、さらに64ℓの収納スペースがあり、充電ケーブル(モード3)や小型の旅行バッグを収納することができる。

独立型の曲面ディスプレイを備えたデジタルステージ

ソフトラップと呼ばれるトリムで構成されたインテリアのハイライトは、アウディMMIパノラマディスプレイとMMI助手席ディスプレイを組み合わせた「デジタルステージ」だ。明確にグループ化されたこれらのディスプレイは、インテリアのデザインコンセプトに完全に統合されており、明るく広々とした雰囲気を醸し出している。スリムな独立型アウディMMIパノラマディスプレイは、曲面デザインとOLED(有機LED)テクノロジーを特徴とし、11.9インチのアウディバーチャルコックピットと14.5インチMMIタッチディスプレイで構成されている。ドライバーの手の届く範囲はアーチ状に設計されており、曲面形状のディスプレイを採用。この曲面ディスプレイの形状は、エクステリアデザインの特徴となっているシングルフレームを想起させるものだ。特別なアンビエントライトの採用によって、夜間は曲面ディスプレイが宙に浮いているように見える。

この「デジタルステージ」は、助手席側にも、ダッシュボードのデザインにも完全に統合された独立型の10.9インチMMIディスプレイが装着されている。シャッターテクノロジーを備えたアクティブプライバシーモードにより、助手席乗員は、ドライバーに気兼ねすることなく映画や動画を鑑賞できる。同時に、助手席乗員は、このディスプレイにナビゲーションを表示させて、ドライバーをサポートすることも可能だ。標準バージョンでは、助手席側インフォテインメント ディスプレイにはハイグロスブラックが採用されている。

オプション設定の拡張現実(AR)ヘッドアップディスプレイは、アウディのディスプレイテクノロジーの大幅な進化を体現している。ドライバー前方には、フロントウインドウを横切る大型のイメージ画像が投影され、速度、道路標識、各種アシスタンスシステムの情報、ナビゲーションシステムのアイコンなどを表示。画像は前方に傾けられ、強化されたAR体験を提供する。高度なバーチャルイメージにより映し出された情報は、ドライバーから最大200mの距離に浮かんでいるように表示され、周囲の環境と一体化しているかのような印象に。ドライバーは、迷うことなく表示されている内容を理解でき、特に視界が悪い状況で重要なサポート役を担う。ARコンテンツの画像は、ドライバーの視点から約2.2mの対角線上に表示される。

インテリアを演出するインタラクションライト

車両と乗員の対話をサポートする、幅広い通信機能を備えたIAL(インタラクションライト)も装備。このライトは、インテリアとコックピットを大きな弧を描いて包み込むように設置されている。LEDを採用したこのライトストリップの輝度は、最大1200cd(カンデラ)だ。

IALの主な機能は3つ。ウェルカム機能などインテリアを演出する機能のほか、車両の施錠、開錠も表示する。IALはアンビエントライトと統合されており、IALが作動していない場合は、アンビエントライトと同じ色で表示される。安全もサポート。例えば、ダイナミックターンシグナルを視覚化して点灯する(補足的なディスプレイであり、バーチャルコックピットのターンシグナルに代わるものではない)。充電レベルの表示や充電の進捗状況などの他の情報も視覚化し、パルス光として表示。このIALは、アンビエントライトパッケージプラスの一部として提供される。

アウディ セルフラーニング ボイスアシスタントとappストアの統合

新しいエレクトロニクスプラットフォームにより、これまで以上の車両でのデジタル体験を提供。Q6 e-tronには、新しいE3アーキテクチャーをベースにした初の車両として、完全なコネクテッド機能を備え、高度なデジタル化を実現したインテリアが装備されている。これにより、様々な機能がインテリジェントに連携し、新たなインテリア体験と革新的な機能を提供する。

同時にアウディは、ソフトウェア会社CARIADと共同開発した、まったく新しい統一規格のインフォテインメントプラットフォームを、このQ6 e-tronに導入。このシステムは、Android Automotiveをベースとしたものだ。継続的なソフトウェア更新により、すべての車両システムは、常に最新の状態に保たれる。

ドイツ・インゴルシュタットで生産される初のBEV、Q6 e-tronの購入者は、この高度なコネクテッド機能から様々な恩恵が得られる。例えば、ユーザーはアウディ セルフラーニング ボイス アシスタントにより、オンラインとオフラインの両方で、多くの車両機能を制御することができる。車両に完全に統合されたアシスタントシステムは、今回初めてアバターによって表示。このアバターは、「アウディ アシスタント ダッシュボード」と拡張現実(AR)ヘッドアップディスプレイに表示される。ユーザーは「Hey Audi」と発話することで、アシスタント機能を起動できる。また、他の様々なタッチコントロールや、myAudiアプリを通じて起動することも可能だ。マルチモダリティ(複数の方法により同様の結果を得ることができる機能)に関しては、新しいディスプレイと操作コンセプトにより、音声対話システムを使用して最寄りの充電ステーションを検索したり、タッチディスプレイを使用して(AIにより事前に分類された)リストから選択したりすることができる。

ボイスコマンドは、ディスプレイに“see what you speak” とテキストでも表示。デジタルアシスタントは、ユーザーの行動から継続的に学習し、可能な限り最高のサポートを提供する。このサポートは、3つのカテゴリーに分類でき、プロアクティブな提案(文脈により必要な機能をプロアクティブかつ状況に応じて提案)、スマートルーチン(外気温に応じたシートヒーターやエアコンディショナー設定など、繰り返し操作のシークエンスを自動化)、そしてインテリジェントリスト(通話リストなど)だ。

ユーザーはお気に入りのアプリをappストアからダウンロードして、車両ディスプレイ上で直接使用することもできる。CARIADとそのパートナー企業のHarman Igniteが共同開発したappストアを組み込むことで、ユーザーは車内のデータリンクを使用し、MMIタッチディスプレイを介して、人気のあるサードパーティ製アプリに直接かつ直感的にアクセスすることが可能になる。選択したアプリは、スマートフォンを必要とせずに、アウディのインフォテインメントシステムに直接インストールされる。ユーザーは、ボイスコマンドを介してアプリを操作することもできる。

音響精度を最大限に高める3Dサウンドシステム

Q6 e-tronにオプション設定される、3Dサウンド付きバング&オルフセン製プレミアムサウンドシステムは、最高の音響精度を実現する。左右のAピラーに設置された小型のスピーカーの音がフロントウインドウに反響して、立体的な音を再現。音楽は録音されたとおりに正確に再現され、自然で印象的なサウンド体験が得られる。

このサウンドシステムの中心となるのが高効率なアンプだ。このアンプは、830Wの出力で22個のスピーカーを駆動する。その内の4個はフロントシートのヘッドレストに統合され、サウンドゾーンと呼ばれる音響体験を初めて実現することが可能になった。フロントドアの低音スピーカーは別のハウジング内に設置し、周囲のコンポーネントに対する振動の影響が少なく、非常に正確な音が再生される。これによって、音質を高め、車外への音漏れも抑制、さらに、精緻で豊かな低音域を表現。夜間には、照明付きのレタリングがサウンドシステムを演出する。

これら数多くの機能を備えたQ6 e-tronのインテリアは、「お客様の生活と体験の場」を中心において開発した優れたデザインと高度なテクノロジーにより、これまでは不可能だった方法でユーザーニーズを満たす。

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部