プラモデル大好き! ドラゴン山崎の『第61回全日本模型ホビーショー』マニアックレポート! ネオクラレーシングカーからミリタリーまで注目アイテムは?

プラモデル&モデルカーのファンにとって『第61回全日本模型ホビーショー』の注目作は、ハセガワの 1/24 Z32 フェアレディZ 2by2と青島文化教材社の1/24 バック・トゥ・ザ・フューチャー デロリアンとなるはずだ。だが、輸入キットやラジコン、ミニカーまで含めると両社以外にも注目したい新製品が数多く存在する。その中から今回はその中からタミヤのラジコンとPLATZのプラモデルを中心に、“ドラゴン山崎”こと山崎龍が紹介して行こう。
PHOTO&REPORT:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu)

マニア視点で『第61回全日本模型ホビーショー』をチェック!

2023年9月29日(金)~10月1日(日)にかけて東京ビッグサイト南ホール1・2を会場に『第61回全日本模型ホビーショー』が開催された。
毎年5月に開催される『静岡ホビーショー』が、その名の通り静岡の模型メーカーからなる静岡模型教材協同組合が主催するのに対し、こちらは日本プラモデル工業協同組合主催の製品見本市であり、プラモデルやラジコン、ミニカー、鉄道模型、エアガンなどが展示される。

人気を集めるのは「ガンプラ 」として親しまれるバンダイブースの『機動戦士ガンダム』シリーズだが、ほかにも『超時空要塞マクロス』や『装甲騎兵ボトムズ』『聖戦士ダンバイン』などの1980年代ロボットアニメの再立体化が近年ブームになっており、こちらも完成度の高さから模型ファンの支持を集めている。
また、コトブキヤの『フレームアームズガールズ』に代表される美プラ(美少女プラモデル)の人気も高く、新製品の前には終日人だかりができていた。

会場で人気を集めていたバンダイブースでは、『機動戦士ガンダムNT』のナラティブガンダムC装備 Ver.Kaや劇場公開の近い『機動戦士ガンダムSEED』、完全新金型のHGダンバインなどの新製品が展示されていた。ただし、来春公開予定の『宇宙戦艦ヤマト3199REBEL』を含めヤマトシリーズの出品はなかった。

ただし、今回はMotorFan.jpの取材ということで「モデルカーを中心に!」と厳命されているため残念ながらここでは紹介しない。興味のある人は模型専門サイトなどで確認してほしい。
また、今回のホビーショーで目玉となったハセガワ の1/24 Z32型フェアレディZ 2by2と青島文化教材社の1/24 バック・トゥ・ザ・フューチャー デロリアンはすでに紹介しているので過去記事を参照にしていただきたい。それでは筆者が注目した新製品をモデルカーを中心に紹介して行く。

決定版Z32からタイムマシン・デロリアン、はたまた出川の充電バイクまで何でもアリの第61回全日本模型ホビーショー、カー&バイクモデル・レポート/国産プラモメーカー編

2023年9月30日と10月1日の2日間、東京ビッグサイトにて『第61回全日本模型ホビーショー』が開催中(当日1200円/中学生以下無料)。そこで気になる国産メーカー各社のカー&バイク・ホビーをピックアップしてご紹介しよう。

ラジコンが充実するタミヤの目玉は
ギヤドライブ4WDを採用した1/10RCスカッシュバン

スケールモデルのリーディングカンパニーであるタミヤは、残念ながらクルマやバイクの新製品はなく、1/20 ポルシェ 935 ヴァイラント、1/24 トヨタ セルシオ、1/24トヨタ ソアラ 3.0GT リミテッド、1/12 Honda CX500 ターボのスポット再販がアナウンスされたに留まった。

しかしながら、1/10RC(ラジオ・コントロール)カーシリーズは精力的に新製品を開発しており、1950年代のフォードF100パンプキン・パネルバンをモチーフにしたスカッシュバン、フィアット131アバルトラリーOLIO FIAT、スーパーセイバー、スカニア770 S 6×4(シルバーエディション)フルオペレーションセットなどの新製品が展示されていた。

タミヤブースでは1/24スポーツカーシリーズの新製品はなかったものの、1/10RCカーシリーズは新製品が充実。その中の注目作がフォードF100パンプキン・パネルバンをモチーフにしたスカッシュバンだ。

注目はスカッシュバンで、軽く強度のあるモノコックフレーム中央の低い位置にモーターを搭載して、ギヤで前後輪にパワーを伝達するギヤドライブ4WDを採用したGF-02シャシーを採用したことにより、オフロード で安定した走行を楽しめるようになっている。また、少しの改造で4WSにもなるので楽しみの幅が広いのも特徴だ。

スカッシュバンに採用されたGF-02シャシー。モノコックフレーム中央の低い位置にモーターを搭載して、ギヤで前後輪にパワーを伝達したギヤドライブ4WD。シャフト駆動に比べて強度が高く、オフロード走行に適したパワートレイン。

塗装済みのボディは鮮やかなターコイズブルーで、インテリアのディスプレイとしても楽しめる。実車はもっと背が高く、ずんぐりとして可愛らしいイメージのクルマだが、製品化に当たっては若干アレンジを加えて車高を低くしている。実車の雰囲気を残しながらもおしゃれカッコ良い仕上げだ。

1/10RCシリーズの新製品フィアット131アバルトラリーOLIO FIAT。フィアット131をアバルトがチューンしたラリー・コンペティションマシンで、ランチア・ストラトスの代わりに1970年代末~80年代のWRCで活躍した。

タミヤの担当社員に話を聞くと、誰にでも簡単に組み立てられ、シャシーが丈夫で多少の手荒い操作をしても問題ないそうだ。キットの定価は2万6180円。これにプロポやバッテリーなどを購入して総額4万円くらいで遊べるらしい。RC初心者が最初の1台に購入するのはもちろんのこと、親子で一緒にRCを楽しむことを目的に選んでも良いだろう。

親子で楽し見ながらメカニズムに親しむのに最適な
『楽しい工作シリーズ』の最新作も

親子で楽しむタミヤ製品と言えば、忘れてならないのが『楽しい工作シリーズ』だ。モデルカーからは離れてしまうが、タミヤの担当社員のY氏とは30年来の付き合いなので、独断と偏見で紹介させていただく。

おそらく、小学生の頃に誰もが一度は手に取ったであろうタミヤの楽しい工作シリーズ。その最新作が「重心移動歩行ロボット工作セット」だ。足を動かすことなく重心移動だけでノシノシと前進して行く。逆関節の脚部デザインが開発スタッフのこだわりらしい。改造の素体としても楽しめる。

シリーズの最新作は「重心移動歩行ロボット工作セット」だ。こちらの製品はボディをゆらゆらさせる重心移動の動きだけで歩く二足歩行ロボットの工作セットで、ギヤボックスと電池ボックスが一体化した『重心移動ユニット』が左右に移動することでボディが傾き、浮いた足が前に振られて進む。重心のバランスを変えて旋回もでき、ガイドロッドを取り付ければ障害物をよけながら前進する。必要な部品はすべてセットされ、ビス止めとはめ込みだけで完成する。

楽しい工作シリーズは子どもに工作の楽しさ、メカニズムの面白さを教えるのに最適な教材だ。将来、親子の共通の趣味としてクルマやバイクを楽しみたいと考えている人は、こうした製品を子どもに買い与えることで、メカニズムへの興味を醸成させて行くと良いのかもしれない。

海外の素晴らしいキットを輸入するPLATZが扱う海外メーカーは
旧車やネオクラ世代のモータースポーツモデルが充実!

飛行機などのプラモデルで大手メーカーが発売しないアイテムを精力的にキット化しているPLATZ (プラッツ)は、イタレリ (伊)やエレール(仏)、AMT (米)などの海外メーカーの正規輸入代理店でもある。今回のホビーショーでは、ミリタリーや飛行機モデルと共に数多くの輸入モデルカーも新製品を展示していた。

新製品はイタレリ 1/12 マクラーレンMP4/2C(1986年ポルトガルGP)、同 1/24 トヨタ・ランドクルーザー BJ44(ハードトップ/ソフトトップ)、エレール 1/24 ルノー・エスタフェッテ ハイルーフ、AMT 1/25 1965 シボレー・エルカミーノ ピックアップ カスタムキャンパー付属、nunu 1/24 ボルボ 1997 BTCC ブランズハッチウィナー、同 1/24 ポルシェ911 SC/RS オマーンラリーウィナー、同 1/24 アウディA4 1996 BTCCチャンピオンなど。

かつてポケールから発売されていた1/12 マクラーレンMP4/2Cを同社が倒産後にイタレリが金型を入手し、一部パーツをリニューアルして再販したもの。ポケールはミニカーで有名なメーカーだったが、精密なプラモデルも製造・販売していた。

新製品の1/12 マクラーレンMP4/2Cと同 1/24 トヨタ・ランドクルーザー BJ44(ハードトップ/ソフトトップ)は、かつてはポケールとエッシーが販売していた製品だが、両社の倒産後にイタレリが金型を入手し、自社製品として改めてリリースしたという経緯がある(マクラーレンMP4/2Cは金属パーツをプラスチックパーツに置き換えるなど一部製品内容を見直している)。

緻密な飛行機や戦車、クルマやバイクなどのプラモデルをリリースしていたエッシーの名作40型ランクルがイタレリブランドで帰ってきた。設計の古いモデルで、当時の水準でもベテラン向けのキットとされていたが、今日の目で見ても完成度は高い。

どちらも元を辿れば四半世紀以上前の古い製品ではあるが、当時としては評価の高いモデルで、長らく入手困難になっていたこともあり、ファンにとっては嬉しい再販だろう。今日の目で見ると必ずしも組みやすいキットとは言いづらいが、実車が好きな人にはぜひ手にとってもらいたい製品である。

1948年創業のアメリカの老舗模型メーカーAMT (アルミニューム・モデル・トイズ)は、1/25スケールでアメ車、ロケットやミサイル、スタートレックシリーズなどをモデル化している。そんな同社の最新作が1965年型エルカミーノのキャンピングシェル装備使用でなかなか出来が良い。一般的にモデルカーは1/24スケールでキット化するが、巨大なアメ車の場合はわずかに小さい1/25スケールとなる。これは1960年代にブームになったスロットカー用シャシーに、モデルカーのボディを乗せるための措置。

イタレリの製品と言えば、提携関係にあるタミヤが日本国内の輸入代理権を持つイメージがあるが、タミヤが権利を持つのはミリタリーと飛行機が中心で、モデルカーの大半の製品はPLATZの取り扱いとなっている。

エレールの1/24 ルノー・エスタフェッテ ハイルーフはフランス車ファンにとっては待望の新製品と言えるだろう。もともとエレールは自国フランスのクルマや飛行機を精力的にモデル化していたメーカーで、これまでにも1/16 シトロエンDSや1/24ルノー4(カトル)などの製品をリリースしていた。

自国製の飛行機やクルマを積極的に模型化するフランスのエレールの最新作がルノー・エスタフェッテ ハイルーフだ。同社はシトロエンやプジョー、ルノーをはじめ、ドライエやドラージュ、ブガッティなどの他社ではモデル化を望めないアイテムを精力的にキット化しているのが特徴。かつては凝りに凝った精密さがウリであったが、近年では組み立てやすさを優先した製品へと開発方針を移している。

ライバルのシトロエンHバンは比較的キット化に恵まれていたのに対し、エスタフェッテはこれまでキット化になかなか恵まれず、今年夏の標準ルーフに加えてハイルーフが追加になったのはじつに喜ばしい。同スケールのHバンと作り比べても楽しいだろう。

nunuはツーリングカーやラリーカーを緻密にモデル化することで知られたマカオの模型メーカーだ。上記の新製品のほかにアルファロメオ155 TS 1994 BTCCチャンピオンやローバー・ビテス 3500 Gr.A 1986 ETCCチャンピオン、マツダRX-7 253 1981 ル・マン24時間レースなどを1/24スケールで製品化することを告知していた。

渋めのツーリングカーやラリーカーをモデル化しているマカオの模型メーカーnunu。最新作のボルボS40(左)やポルシェ911SC/RS(中央)、アウディA4(右)の完成度はなかなかのもの。

とくにアルファロメオ155は、これまで同スケールでタミヤからDTMマシンが発売されているが、BTCCマシンのキット化はnunuが初となる。1990年代に日本国内でのアルファ人気に火をつけた車両だけに発売がなんとも待ち遠しい。JTCCに参戦していたユニコルセ仕様などのバリエーション展開も期待したいところだ。

製品化を告知し、試作品を展示していたアルファロメオ155TSやRX7 253など、今後も魅力的なアイテムをリリースして行くようだ。

カーモデルなのかミリタリーモデルなのか……
1/35 ランクルに組み合わせて紛争地帯の花形「テクニカル」を再現できる

最後にモデルカーの枠からは少し外れてしまうが、PLATZ取り扱いのAKインタラクティブ 1/35 軽戦闘車搭乗兵デザートフィギュアセットについても紹介しておこう。

PLATZ取り扱いのAKインタラクティブはミリタリーや飛行機のプラモデル、塗料、情景パウダーをリリースしているメーカーで、1/35スケールのウニモグやランドローバー、FJ43ランクル(商品名は車名を伏せたかたちとなるがモチーフとなった車両は一目瞭然)などの非装甲車両やフィギュアセットを展開している。ホビーショー会場で展示されていたFJ44ピックアップの完成度は高く、これに新発売の生き生きした表情&ポーズのフィギュアを乗せればバッチリと決まる。中東やアフリカの紛争地帯のジオラマを組むのにも役立つ組み合わせだ。

この製品は同社から発売中の1/35 FJ43 ピックアップなどに組み合わせることを前提としたキットで、車両にフィギュアを載せることで中東やアフリカなどで活躍する「テクニカル」が再現が可能となる。同梱されるフィギュアは4体で、入り組みはターバンを巻いたドライバーのほか、助手席に座るコマンダー、荷台で勝利に喜ぶ兵士2体となっており、いずれも中近東やアフリカで戦う民兵を強く意識したものとなっている。

・テクニカルってそもそもなに?
テクニカルとは民生用のSUVやピックアップトラックなどの荷台に武装を施した即席の戦闘車両のことで、1987年のチャド内戦では、たった2台のトヨタ製テクニカルがリビア軍の戦車1個中隊を壊滅させるなどの大きな活躍を見せた。それを契機にチャド・リビアの両軍がランクルやハイラックスなどのトヨタ車を多用したことから、この戦争は俗に「トヨタ・ウォー」とも呼ばれるようになった。以降、現在に至るまで紛争地帯ではテクニカルは欠かすことのできない存在となっている。

AKインタラクティブではこうしたテクニカルのベース車のキットを多数ラインナップしているが、組み合わせるフィギュアは初のキット化となる。各社から発売されている同スケールのT-55やT-72などのロシア製戦車と組み合わせてジオラマを作るのも楽しい。AKモデルから発売中のランクルのお供として一緒に購入することをオススメしたい。

1/35ミリタリーモデルといえばタミヤの1/35MMシリーズ。その最新作はIV号戦車F型・伝令バイクセット“アフリカ戦線”。第二次世界大戦中期にドイツ軍が使用した75mm短砲身を装備したIV号戦車のバリエーションで、北アフリカで使用された車両をキット化。戦車兵ははもちろん同スケールのバイク伝令兵もセットになった情景感溢れるモデルだ。限定生産商品なので購入はお早めに!
1/48スケールの1/48MMシリーズ最新作・イギリス 2トン 4×2 野戦救急車。第二次世界大戦でイギリス軍が使用したオースチンK2/Yで、現場の将兵からは「ケイティ」の愛称で親しまれていた。軍務に服していた若き日のエリザベス女王が運転や整備を担当していたのもこの車両だ。陸軍だけでなく空軍でも使用されていたので、同スケールのランカスター爆撃機やスピットファイア戦闘機の横に並べても良いだろう。

プラモデルやラジコンだけじゃない! ミニカーもチェック!

プラモデルやラジコンを作るのはいいけど、組み立てや塗装は面倒! という人にはミニカーもあり! 注目のニューアイテムをチェックしてきましたよ。

ミニカーも大好き! ドラゴン山崎の『第61回全日本模型ホビーショー』マニアックレポート・2! やはりトミカとKyoshoは外せない! 注目はフィアット500

2023年9月29日(金)~10月1日(日)にかけて東京ビッグサイト南ホール1・2を会場として開催された『第61回全日本模型ホビーショー。前回はタミヤとPLATZを中心に『第61回全日本模型ホビーショー』に出展された新製品を中心にチェックした。今回はその続きということで、気になったミニカーの新製品にも注目してみた。 PHOTO&REPORT:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu)

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著者プロフィール

山崎 龍 近影

山崎 龍

フリーライター。1973年東京生まれ。自動車雑誌編集者を経てフリーに。クルマやバイクが一応の専門だが、…