全タイプ合計でも世界でたった12台! 超高価なランボルギーニのスーパーカーあります! / ランボルギーニ ヴェネーノ / トミカ × リアルカー オールカタログ No.118

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.118 ランボルギーニ ヴェネーノ (サスペンション可動・希望小売価格550円・税込)

『トミカ』のNo.118『ランボルギーニ ヴェネーノ』は、世界有数のスーパーカー・メーカーとして知られるイタリアのランボルギーニ社が創業50周年を記念して2013年のジュネーブ・モーターショーで発表したスペシャルモデルで、2012年から2022年まで製造されたミッドシップAWDスーパーカーであり、同社の最上級モデルであったアヴェンタドールをベースに作られています。

ランボルギーニ ヴェネーノ 実車フロントビュー(プロトタイプ)
ランボルギーニ ヴェネーノ 実車リヤビュー(プロトタイプ)

“ヴェネーノ(Veneno)”という車名は、「車名には闘牛に由来する名前や言葉を用いる」というランボルギーニ社伝統の命名規則に従って、伝説的な闘牛の名前から名づけられています。“ヴェネーノ”は闘牛の歴史の中でも最も強力で攻撃的、なおかつ最速の雄牛として知られており、1914年にスペインのアンダルシア州サンルーカル・デ・バラメダの闘牛場で、有名な闘牛士ホセ・サンチェス・ロドリゲスに致命傷を負わせたことで有名な牛だそうです。ちなみに“ヴェネーノ”とはスペイン語で「毒」を意味するそうです。

ベース車のアヴェンタドールより攻撃的なイメージとなったスタイリング。全長が長くなり、大きなリヤウイングのぶん、全高も高くなった。

“ヴェネーノ”は最適な空力特性とコーナリングの安定性に重点が置かれてデザインされました。全長はアヴェンタドールより220mm長く、全高も30mmほど高くなっており、一目瞭然ですが、ベース車としたアヴェンタドールよりレーシングプロトタイプカーのような攻撃的なスタイリングが与えられています。そのスタイリングに見合うように、“ヴェネーノ”にはベース車としたアヴェンタドールゆずりの強力な排気量 6.5 ℓV型12気筒エンジンが与えられており、その最高出力は 552 kW(750ps)にアップされています。ちなみに最高速度は355km/h、0-100km/hの加速はわずか2.8秒だそうです。

インテリアもベース車のアヴェンタドールとはかなり違ったイメージとなっている。

この強力なエンジンに組み合わされるのは、ベース車であるアヴェンタドールゆずりの、5つのドライビング・モードを備える超高速シフト7速 ISR トランスミッションとフルタイム4輪(全輪)駆動システムです。また、プッシュロッド式のサスペンションに水平スプリングを備えたカーボンファイバー製モノコックのレーシングシャシーも同様にアヴェンタドールゆずりのものです。しかし、アヴェンタドールとまったく同じというわけではありません。“ヴェネーノ”には、アヴェンタドール以上にカーボンファイバー素材に対するランボルギーニ社の持つ開発経験や採用実績がふんだんに生かされています。たとえばボディ外板はCFRPモノコックのシャシー同様の材料や工程で作られていますし、インテリアでは、シートの素材などに用いているフォージド・コンポジットをはじめカーボン・スキンといった、ランボルギーニ社が特許を取得している革新的な素材が採用されています。

“ヴェネーノ”のプロトタイプでは、リヤフェンダー前のエアインテーク部分に画像のようにトリコロール・カラーのストライプが入るが、市販車の3台はそれぞれ1色ずつ用いたストライプになったと言われている。

この“ヴェネーノ”は、当初は2013年のジュネーブ・モーターショーに出展されたプロトタイプだけの生産で終わる予定でしたが、この車の情報を知った熱狂的なランボルギーニ・ファンの要望にこたえ、わずかに3台だけが限定生産されました。車両価格は当時300万ユーロ(当時の日本円換算で約3億7000万円)で、2023年現在では800万ユーロ(約10億5000万円)を超えると言われており、「世界一高価なランボルギーニ車」と言われています。ちなみに“ヴェネーノ”のリヤフェンダー前のエアインテーク部分はプロトタイプでは緑・白・赤のイタリア国旗を思わせる3色が使われたトリコロール・カラーになっていますが、市販された3台はそれぞれ1色ずつ用いられたそうです。

クーペモデルの後に9台だけ作られたヴェネーノ ロードスター。単品販売されていないが、実は『トミカ』のギフトセットの『LAMBORGHINI SPECIAL SET ランボルギーニスペシャルセット』(2200円・税込)の中の1台として黒い車両がセットされており、現在でも購入可能だ(2023年4月現在)

このクーペ・モデルの発表から約半年後、ランボルギーニ社は好評にこたえる形でオープンカー・スタイルのロードスター・モデル“ヴェネーノ ロードスター”を発表、全世界9台限定で販売しました。このロードスターは基本スタイルこそ同じですが、開閉式または着脱式のルーフを持たない完全なオープントップの独創的なデザインで、エンジンフードのデザインも凝ったものになっていました。また、市販された9台は、それぞれ仕様が大きく異なっているのだそうです。ロードスターを含めても全世界でわずか12台しか市販されていない超希少車のため、現在でもその全貌はとらえ切られておらず、謎の多い車両としても知られています。

ヴェネーノ ロードスターはその名の通り、開閉式または着脱式のルーフを持たない完全なオープントップカーだ。

『トミカ』の『No.118 ランボルギーニ ヴェネーノ』は、おそらく2013年のジュネーブ・モーターショーでお披露目されたプロトタイプがモデル化されているものと思われます。実車でもプロトタイプと市販車で何がどう違うのかが明確になっていないため、気にするような問題でもないでしょう。少なくともヴェネーノの特徴的なスタイリングは、うまく『トミカ』として消化されています。ただ、実車ではリヤフェンダー前のエアインテーク部分にある、イタリア国旗を思わせる3色が使われたトリコロール・カラーのストライプが、『トミカ』にするとあまりに細くなってしまうためか、残念ながら再現されていません。よりこだわりたい人は、模型用ペイントマーカーなどで描いてチャレンジしてみるのも良いでしょう。また、市販車ではこの3色が1色ずつ使われているそうですから、3色のうちから1色を選んで描き、“幻”の(?)市販車を再現してみるのも良いしれません。

2023年4月現在、この『No.118 ランボルギーニ ヴェネーノ』に加えて『No.70 ランボルギーニ アヴェンタドール SVJ』、『No.89 ランボルギーニ シアン FKP 37』と計3台の“アヴェンタドール”ファミリーが『トミカ』にラインアップされています。また、4台セットのギフトセット『LAMBORGHINI SPECIAL SET ランボルギーニスペシャルセット』(2200円・税込)には黒い『ヴェネーノ ロードスター』がセットされています。それぞれに個性が違いますので、コレクションして見比べてみるのも面白いでしょう。

■ランボルギーニ ヴェネーノ 主要諸元

全長×全幅×全高(mm):5020×2075×1165

ホイールベース(mm):2700

トレッド(前/後・mm) :1720/1700

車両重量(kg):1450

エンジン形式:V型12気筒

排気量(cc):6498

最高出力:552kW(750ps)/8400rpm

最大トルク:690Nm(70.4kgm)/5500rpm

トランスミッション:7速AMT

サスペンション(前後):ダブルウィッシュボーン

ブレーキ(前後) :ベンチレーテッドディスク

タイヤ:(前) 255/30ZR20 (後)355/25ZR21

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