セパンサーキットでひと足早く乗った! グッドイヤー「イーグルF1 アシメトリック6」は超万能なスポーツタイヤだ

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グッドイヤーのウルトラ・ハイ・パフォーマンス(UHP)タイヤの新作、イーグルF1アシメトリック6をセパンサーキット(マレーシア)で試乗した。
125周年を迎えたグッドイヤーが、アジア・パシフィック地域へ投入する新タイヤを4種類発表。そのなかでも注目なのが、2024年に日本発売が予定されているハイパフォーマンスタイヤの「イーグルF1 アシメトリック6」と、オフロード系タイヤの「ラングラー デュラトラックRT」だ。ひと足早くマレーシアはセパンサーキットで試してみた印象をお届けしよう。

2024年に日本発売。ハンドリング・ウェットブレーキ・静粛性を向上

1898年に設立され、今年で125周年を迎えたグッドイヤーは、ハイパフォーマンスタイヤのブランドとして「イーグルF1」を展開中だ。そのラインナップは4種類で、SUV向けの「アシメトリック3 SUV」、手軽にスポーツ走行を楽しみたいエントリーユーザー向けの「スポーツ」、グリップ性能と快適性能を高次元でバランスさせた「アシメトリック5」、そしてドライグリップを徹底的に追求した「スーパースポーツ」が揃う。

なかでも幅広いユーザーから人気を集めているのがアシメトリック5だ。2022年にスーパースポーツが登場するまでは、グッドイヤーのフラッグシップタイヤに君臨していたほど強力なグリップ性能を誇る一方で、ウェット性能もタイヤラベリング制度で最高グレードの「a」を獲得。さらに転がり抵抗性能も一部サイズで「a」を獲得し、低燃費走行にも貢献するという万能ぶりは、まさに“ウルトラバランススポーツタイヤ”と呼ぶに相応しいもの。

そのアシメトリック5の後継タイヤとなるアシメトリック6が、来年、日本にも上陸予定となっている。欧州市場ではすでに発売されており好評を博しているとのことだが、今回はマレーシアで行われたイベントで試乗することができたので、その印象をご紹介したい。

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グッドイヤー イーグルF1 アシメトリック6

アシメトリック6の主な進化のポイントは三つある。ひとつ目が、「ドライ・コンタクト・プラス・テクノロジー」の採用によるハンドリング性能の向上だ。ドライバーが急に大きな舵角を与えた際も、その負荷変動に応じて接地面積が増加することにより、高いグリップと反応が得られるという。ふたつ目はブレーキ性能の向上で、これはコンパウンドに含まれる新しい樹脂が効果を発揮(ウェット・ブレーキング・プロ・テクノロジー)。タイヤがより細かく路面に接触するようになり、特にウェット路面での制動距離が短縮されたという。そして三つ目は面取りされたグルーブによる静粛性の向上だ。これはEV(電気自動車)に履かせることを考慮したもので、タイヤ全体の軽量化や空気抵抗を考慮したサイドウォール部の採用、新しいコンパウンド技術による転がり抵抗低減といった改善も同時に行われ、EVの電費向上に貢献する。

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ドライ・コンタクト・プラス・テクノロジー
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ウェット・ブレーキング・プロ・テクノロジー
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ラジアルチェンフファード(面取り)グルーブ

そんなアシメトリック6の試乗は、F1やスーパーGTが開催されたこともあるセパンサーキットで行われた。ハイパーフォマンスタイヤの性能を試すには絶好の機会…だったのだが、今回は助手席にインストラクターが同乗して、厳しい速度制限が設定されていた。というわけで、限定的な試乗となってしまったのだが、そんななかでも印象的だったのは、ターンイン時のレスポンスの良さ。セパンサーキットは初走行だったためコースのレイアウトが頭に入っておらず、ストレート後のコーナーが思ったよりも曲がりが急でちょっと焦りながらギュッと勢いよくステアリングを切る場面があったのだが、そんなときでもタイヤがよれることなく瞬時にノーズの向きが変わっていくのには驚いた。

これでウェット性能も静粛性能も謳い文句どおり向上しているのならば、まさに一般道からサーキットまで走る場面を選ばない超万能タイヤといえる。2024年からの日本発売が楽しみな1本だ。

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アシメトリック5よりもカッチリ感が増したという評価もあるアシメトリック6。走るシチュエーションを選ばないハイパフォーマンスタイヤだ。

悪路でのトラクション性能が際立つ「ラングラー・デュラトラックRT」

さて、今回はもう1本、日本導入を控えているタイヤに試乗することができた。それがSUV用の「ラングラー・デュラトラックRT」だ。前作のデュラトラックよりもさらに凝ったデザインとなったブロックパターンとショルダーデザインによって、オフロード性能が大幅に向上しているという。セパンサーキット内の特設コースに設けられたヒルクライムでは、その恩恵がしっかりと感じられた。スリップすることなくしっかりとトラクションがかかり、急峻な坂も余裕でクリアすることができたのだ。スノーフレークマーク付きということで、冬場の走行に対応してくれるのもうれしい。また、ゴツゴツしたルックスもデュラトラックRTのセールスポイントで、足元をよりタフに彩りたいSUVオーナーにもおすすめできるタイヤと言えそうだ。

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グッドイヤー ラングラー デュラトラックRT
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最適化されたトレッドパターンにより、オフロードで強力なトラクションを発揮する。
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サイドウォールは3層構造で、耐カット性能を向上しているのもポイント。

日本発売未定のコンフォートタイヤ&EV向けタイヤも好印象

日本市場での発売は未定だが、アジア市場向けコンフォートタイヤの新製品「アシュアランス・マックスガード」にも試乗した。競合の中でもナンバー1だというウェット路面での制動距離の短さが自慢。ドライ路面でのパイロンスラロームではステアリング操作に素直に反応しつつ、しっかりと踏ん張ってくれるのが好印象だった。

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グッドイヤー アシュアランス マックスガード
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新コンパウンドを採用したアクティブグリップ・テクノロジーにより、ウェットブレーキが8%、ウェットハンドリングは10%の向上を実現。
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ウェット路面での急ブレーキを試してみたが、挙動を見出すことなくしっかりとした制動力を発揮してみせた。

EV向けタイヤの「エレクトリックドライブ」も注目の新作だ。薄いサイプや松脂を含んだコンパウドの採用によるウェットグリップ向上、転がり抵抗や空気抵抗の低減による航続距離の伸長などが特徴となっている。こちらも日本での発売は未定だが、日本でも特にインポートEVのオーナーに歓迎されるタイヤではないだろうか。

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グッドイヤー エレクトリックドライブ
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エンジンがないEVでは、ロードノイズの低減が重要な課題。またEVは車重が嵩みがちなため、高荷重に耐えられる性能も求められる。エレクトリックドライブは、そうした要求に応えるEV向けタイヤだ。

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著者プロフィール

長野 達郎 近影

長野 達郎

1975年生まれ。小学生の頃、兄が購入していた『カーグラフィック』誌の影響により、クルマへの興味が芽生…