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ダイハツの「グランマックス」は、ワンボックスボディとトラックボディを設定する5ナンバーサイズ/1.5Lクラスの商用車だ。ダイハツブランドではグランマックスとして販売されるが、OEMとして供給するトヨタ「タウンエース」とマツダ「ボンゴ」の方が著名だ。
生産はインドネシアのアストラ・ダイハツ・モーターで行なわれており、2008年から日本に導入されている。その際に、生産終了となったタウンエース、ライトエース(2020年まで)として、トヨタブランドも担うことになった。
さらに、このクラスでは日産バネットバン/トラックが2020年に生産終了しこともあり、マツダ・ボンゴもOEM元がバネットからグランマックスに変更された。
日産バネットバン/トラックの生産終了により、日産の商用バンラインアップはバネットよりやや大きなNV200とさらに大きなNV350となり、このクラスの商用車はサイズ的に価格的にもグランマックス/タウンエース/ボンゴの3車種(実質1車種)のみという状況だ。加えて、NV200はトラックのラインアップがないこともあり、特にトラックでは他に選択肢がない。
メーカー | ダイハツ/トヨタ/マツダ | 日産 |
車名 | グランマックス/タウンエース/ボンゴ | NV200 |
全長 | 4065mm | 4400mm |
全幅 | 1665mm | 1695mm |
全高 | 1930mm | 1855mm |
ホイールベース | 2650mm | 2725mm |
最大積載量 | 750kg(FR)/700kg(4WD) | 650kg |
エンジン | 2NR-VE型 1496cc水冷直列4気筒(ガソリン) | HR16DE型 1597cc水冷直列4気筒(ガソリン) |
最高出力 | 97ps/6000rpm | 113ps/5600rpm |
最大トルク | 13.7kgm/4400rpm | 15.3kgm/4000rpm |
トランスミッション | 4速AT/5速MT | CVT(FF)/4速AT(4WD) |
駆動方式 | FR/4WD | FF/4WD |
価格 | 197万5000円〜234万7000円(ダイハツ) 181万9000円〜234万7000円(トヨタ) 182万2700円〜220万3300円(マツダ) | 221万4300円〜279万8400円 |
年間6000台販売、累計生産台数2万4000台の独占市場
グランマックス/タウンエース/ボンゴは2020年に現行モデルにマイナーチェンジされてから約2万4000台を販売しており、2023年の販売台数は約6000台だという。この販売台数は月間ベースでも500台/月とそれほど多いわけではない。
しかし、このクラスは軽バン/軽トラックでは積載量が足りず、かといってハイエースやNV350、NV200ではサイズが大きすぎるという需要がある。さらに前述の通り、トラックともなるとハイエースやNV系にもラインアップがなく、1.0t〜1.5tクラスのまさに「トラック※」になってしまうため、例え普通免許で運転できるとしてもユーザーの敷居がぐんと上がってしまう。
(※トヨタ・ダイナ、日野デュトロ、いすゞ・エルフ、マツダ・タイタン、日産アトラス)
特にタウンエースは冷凍車(中温冷凍車/クーリング車)やパワーリフト車をラインアップ。幅広い架装も可能になっており、多くの需要に応えてきた。また、ベース価格も抑えられるため、個人・法人問わず事業者にはありがたい存在なのだ。
型式認定は再取得されるのか?またその時期は?
今回の不正は、衝突安全試験において安全装置(エアバッグ)が通常の行程で作動するのではなく、タイマーにより作動させていたということがダイハツより説明されている。この試験の”ズル”が悪質なものとして、型式取消という処分に至った。しかし、量産車での技術実証試験では安全基準への適合が確認されており、既存車の使用や車検等については問題ないとも発表されている。
ダイハツではグランマックス/タウンエース/ボンゴは他に無い、代わりの効かない重要な車種と認識しており、型式認定の再取得を目指しているという。
しかし、現状では国土交通省との今後の展開について話し合いを進めている段階であり、その時期については未定。ダイハツでは現在も全車種で生産を停止しており、新車販売については受注が停止されている。生産が再開されたとしても、最悪の場合、グランマックス/タウンエース/ボンゴの型式認定が再取得できないという可能性もゼロではなく、今後の動静に注目したい。
アジアでも需要のある1.5Lクラスワンボックスバン/トラック
グランマックスがインドネシアのアストラ・ダイハツ・モーターで生産されているように、アジア地域でもこのクラスのバン/トラックは幅広く販売されている。
スズキもアジア市場では「キャリイ」の車名で同クラスのトラックを販売しており、もしグランマックス/タウンエース/ボンゴが型式認定の再取得ができず販売再開できなかったとしたら、日本でのこのクラスの需要に応えるために「キャリイ」を日本の規格に適合させて導入される可能性はあるだろうか?