タウンエースやボンゴの代わりになる? 普通免許で乗れるエルフミオ、話題の「トラキャン」とは?

荷台を移動キャンプスペースとして利用するといった提案がされていた
ニュースにもなっているように、ダイハツ工業の不正によりダイハツ・グランマックス/トヨタ・タウンエース/マツダ・ボンゴの各トラックモデルが型式指定取消の処分を受けた。これによって普通免許で運転できる小型トラックの選択肢が一気に狭まった……と嘆くことはない。東京オートサロンにいすゞA&Sが出展していた「エルフミオ」は車両総重量3.5t未満、普通免許で乗れるトラックとして開発されているモデルなのだ。

PHOTO&REPORT:山本晋也(YAMAMOTO Shinya)

普通免許で乗れる”遊べる”トラックとして年内発売予定

軽トラや小型トラックといった普通免許で乗れる貨物車の荷台に小さな部屋を載せてキャンピングカーに仕上げるという手法がある。YouTubeなどでは、そうしたオーナーのチャンネルが多数あるので、見かけた人も多いのではないだろうか。

1.9Lディーゼルエンジンを積み、トランスミッションはAT。衝突被害軽減ブレーキなどの先進運転支援システムも備わる

この手のキャンピングカーの作り方は『トラキャン』と呼ばれ、荷台に居室スペースとなるシェル(箱)を載せるだけなので基本的に車両の改造は不要でなことから人気を集めている。シェルについても自作するユーザーもいれば、専業メーカーが作った既製品を使うケースもある。トラックの荷台を外してキャンピングカーに架装する「キャブコン」に対して、圧倒的にローコストなのが魅力だ。

普通免許でも運転できる小型トラックの広い荷台なら、軽トラではできないスペースの使い方も可能だ

そんなトラキャンのベースとして注目したいのが、いすゞが2024年内に発売予定というエルフミオ。最大積載量1300kg、車両総重量3.5t未満にすることで、最新の普通免許でも運転できる小型トラックとして開発が進んでいる。

いすゞグループとしてオートサロン初出展となったいすゞA&S(アクセサリー&サービスパーツ)のブースには、エルフミオの荷台を動くキャンプ場に見立てた「アウトドアエディション」が展示されていた。

ボディカラーはサテンメタリックサファリゴールド

サテンメタリックサファリゴールドという仕事のトラックとは一線を画すカラーのおかげで新しいレジャービークルとしての可能性を感じるのは、純正アクセサリーによって内外装が飾られているからだろう。

とくにエクステリアでは、バンパーカバー/ミラーカバー/サイドアンダーカバー/フェンダーカバー/ドアハンドルカバー/ルーフキャリア/マッドフラップ/ユーティリティフレーム/アウトドアベース、そしてタイヤ&ホイールまでカスタマイズされ、個人所有したくなるムードを漂わせていた。

運転席上のルーフキャリア&ライトバーのような、今っぽいアウトドア系カスタムのアイテムも装備している

開発中ということで、細かなスペックは不明だが、エンジンは1.9Lディーゼルで、トランスミッションはシーケンシャルMT機能付きATになるという。ランニングコストにおいても、またファン・トゥ・ドライブの観点からもパーソナルユースが似合いそうなトラックが「エルフミオ」といえそうだ。

シーケンシャルMTモード付きATであることが確認できる。シートエプロンはアクセサリーとして装着されていたもの
ボディカラーと同系色のインテリアパネルはポップな雰囲気。ライトなSUVのようでもある

タウンエーストラックやボンゴトラックの代替となれるか?

冒頭で触れたキャンピングカーの新ジャンル「トラキャン」については、軽トラの荷台にシェルを載せるケースが目立っている。乗用車感覚で運転できるハイラックスのようなピックアップトラックの荷台を利用するトラキャンもあるが、やはり荷台スペースの余裕を考えると、もう少し大きなトラックを選びたい。

とはいえ、最新の運転免許制度における普通免許で運転できるトラックは、車両総重量3.5t未満となっている。そのため、トラキャン・ユースではマツダ・ボンゴトラックなどの中古車をベースにすることが多いようだ。

新車でいえば、タウンエーストラックとその兄弟(グランマックス、ボンゴ)が、ちょうどいいベース車になり得る……のだが、ご存知のようにダイハツ工業が犯した不正により、タウンエーストラックとその兄弟モデルは型式指定取消の処分を受けることが確実となっている。つまり、実質的に新車の販売はなくなるということだ。型式指定を取り直して再び販売するにしても1年程度の時間はかかるだろう。

ダイハツ・グランマックストラック。トヨタ・タウンエーストラック、マツダ・ボンゴトラックはOEM生産の兄弟モデルとなる。

型式指定の取消と車両の安全性は別物なので、中古車市場に流通している個体については問題なく登録することはできるのだが、トラキャンのような趣味で楽しむクルマとしては、ちょっと遠慮したい気分になるかもしれない。

というわけで、総重量3.5t未満で普通免許で運転できる「エルフミオ」は、そうしたトラキャン需要にも応える”遊べる小型トラック”として注目度が増してくるといえそうだ。

エルフミオの最大積載量は1300kg。軽トラの350kgに対して、かなり余裕があるのも魅力だ
荷台を移動キャンプスペースとして利用するといった提案がされていた

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著者プロフィール

山本 晋也 近影

山本 晋也

1969年生まれ。編集者を経て、過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰することをモットーに自動車コ…