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ボディ剛性や乗り味は最高峰 最新世代のディーゼルを搭載
ミニバンブームが盛り上がっていた1998年に日本導入され、ミニバン初の欧州プレミアムブランドということもあって大きな話題を呼んだVクラス。シートアレンジは多彩なれど、取り外し式で置き場に困り、しかもメルセデスらしくしっかりしているゆえに重いということもあって使い勝手に難はあったが、その代わりに座り心地は抜群にいい。そして何よりもミニバンとしてはボディの剛性感が凄まじく高く、高速走行が得意なのが魅力だった。
エクステリア
その後、駆動方式や名称が変わるなどの変遷辿りながら、現行モデルは2015年デビュー。FRでVクラスという元の鞘に収まった。19年にはビッグマイナーチェンジを受けて安全運転支援システムのレーダーセーフティパッケージや対話型インフォテインメントシステムのMBUXを採用、22年にはディーゼルエンジンが最新世代に換装され現在に至っている。ボディは全長4905㎜のスタンダード、全長5150㎜のロング、全長5380㎜のエクストラロングと3種類用意される。スタンダードとロングはホイールベースが共通で最小回転半径は5.6m、エクストラロングは6.0m。FRゆえ小回りが効くのは優秀だが、内輪差がそれなりにあるので慣れるまで注意が必要だろう。
乗降性
最近では日本メーカーのミニバンもボディ剛性が上がって高速域の走りの性能も良くなったので、以前ほどの差はないとはいえ、それでもVクラスは相変わらずアウトバーンの国からやってきたミニバンだと痛感させられる。100㎞/hを超えてからの安定感は日本のミニバンを大きく引き離すぐらいに高く、東京〜名古屋ぐらいだったら休憩なしで一気に走破できそうなぐらいにドライバーの疲労も少なくて済む。制限速度120㎞/h区間ならば恩恵をより感じるだろう。低/中速域での静粛性は日本メーカーの方が優秀に思えるが、高速域ではエンジン音とロードノイズ、風切り音などのバランスが良くなって、耳障りなところがなくて快適にドライブできる。
インストルメントパネル
日本のミニバンにはあまりないディーゼル車というのもVクラスの魅力だろう。「アバンギャルドロング」で2420㎏と車両重量は軽くはないものの、1600rpmで380Nmの最大トルクを発生するから、発進時から実に頼もしく、高速域でもそれは続く。燃費も良く、WLTC高速モードで走れれば1タンクで1000㎞に届くほど。ディーゼルはモードと実燃費の乖離が少ないので条件が良ければ実現するだろう。
居住性
低/中速域の乗り心地は、やや硬めで、背高なミニバンでは高速域の安定感とトレードオフが小さくはないと言えるが、ゴツゴツと不快な突き上げ感があるほどではなく、往年のドイツ車らしい雰囲気。凹凸の多い路面では接地感が濃厚で安心感が高い。特に、大きなギャップを通過してもボディが伸び上がるようなことがないのが優秀だ。
うれしい装備
月間販売台数 NO DATA 現行型発表 15年10月(新グレード追加 22年7月) WLTCモード燃費 13.2 ㎞/ℓ※「V 220 d AVANTGARDE」
ラゲッジルーム
「プラチナスイート」や「ブラックスイート」などラグジュアリーでショーファーとしても魅力的だが、ステアリングを握るともっと価値を感じられるVクラス。ミニバン随一のドライバーズカーでもあるのだ。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.155「2024 最新ミニバンのすべて」の再構成です。