飽くなき技術革新を続ける人気モデル「日産 セレナ」【最新国産新型車 車種別解説 NISSAN SERENA】

22年11月にフルモデルチェンジした「日産・セレナ」。プラットフォームは先代と同様だが、内外装は大幅に変更され、上質さとシャープなデザインはさらに先進的な印象。従来通りのe-POWERやプロパイロットの強みにシートアレンジや操作性など使い勝手の向上でさらに王道のミニバンとして進化した。
REPORT:岡島裕二(本文)/塚田勝弘(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:日南まみ

新開発のe-POWER 専用エンジンを搭載

日産が強みとしているシリーズハイブリッドのe-POWERと運転支援システムのプロパイロットを採用することで、コンスタントな販売を記録していたミニバンのセレナが6代目にフルモデルチェンジした。新型セレナは先に2.0ℓのガソリン車を発売し、約半年後にe-POWER搭載車を追加。e-POWERはエンジンで発電した電力でモーターを駆動しているが、新型ではエンジンの排気量を従来の1.2ℓからe-POWER専用に新開発された1.4ℓに変更。同時にモーターの出力も高めることで、よりスムーズな加速性能を手に入れている。

エクステリア

「LUXION 」と「ハイウェイスターV 」は、専用フロントグリルをはじめ、前後エアロバンパーとサイドシルスポイラーが備わるスポーティな仕上がりになっている。全ランプをLED化することで、先進性も強調。最小回転半径は5.7m。

モーターで駆動するため発進時に静かなのは先代と同じだが、新型はエンジンが始動するタイミングが遅くなりEV状態で粘ってくれる。速度が上がればエンジンが始動するが、エンジンが稼働中でも静粛性は高い。アクセルを踏み込んだ際のレスポンスも良く、加速の柔軟性は2.0ℓのガソリン車と大きな差が付いた。e-POWER車の乗り心地は少し締まった感じがするが、路面からの入力を瞬時に収めてくれるから乗り味にも重厚感がある。ステアリングの操舵感に適度な手応えがあるためハンドリングにも落ち着きが増し、直進安定性も向上している。新型はe-POWERも8人乗りになったこともあり、現在は半数以上がe-POWERを選んでいる。

乗降性

プロパイロットの方も新型は全車に標準装備されたが、注目は最上級グレードのルキシオンにはミニバンでは世界初の高速域のハンズオフ走行が可能なプロパイロット2.0が採用されたこと。高速道路でステアリングから手が離せるのが最大の魅力で、長距離走行時の疲労を大幅に軽減してくれる。ルキシオンには、駐車が苦手な人にはうれしい駐車支援システムのプロパイロットパーキングも装備される。ただし、ルキシオンはハンズオフに対応するための専用バッテリーを前席の中央に搭載するので、セレナの特徴でもあるマルチセンターシートが装備できず、7人乗りになってしまうのが難点だ。

インストルメントパネル

直線基調で開放感が高く、前方視界も開けている。メーターとセンターディスプレイを横に並べ、シフトスイッチなどをセンタークラスターに集中配置した先進的な仕立ても特徴。

車体の基礎となるプラットフォームは先代から引き継がれているが、内外装のデザインはガラリと印象を変えている。フロントマスクはスリムなLEDランプを3段に配置してシャープな印象に仕上げた。標準車は5ナンバーボディの大きさだが、エアロモデルのハイウェイスターとルキシオンは3ナンバーとなる。

居住性

インテリアも先進的になり、シフトレバーの代わりにボタン式のスイッチを採用。ボタン式のシフトは慣れが必要だが、センター付近がスッキリとしたおかげで、前席の左右移動がしやすくなった。メーターもステアリングの中から見る平面的なディスプレイに変わり、インパネも直線的なデザインになったので、前方の視界が良くなり、さらに取り回しがしやすくなった。2列目シートは好評のセンターマルチシートを継承。前に移動させることで車内移動が楽になり、2列目中央にセットすればベンチシートになる優れモノだ。

うれしい装備

「プロパイロット リモート パーキング」は、専用キーのスイッチを押すことで、始動し、自動でクルマを前後に動かすことができる。
フルモデルチェンジ    22年11月28日 
月間販売台数         7171台(23年6月~11月平均)
WLTCモード燃費       20.6km/ℓ※「e-POWER X」 

ラゲッジルーム

新型セレナはe-POWERやプロパイロットといった先代モデルの強みをさらに磨き上げ、さらに車内の使い勝手を高めることで、より扱いやすいミニバンに進化している。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.156「2024 最新国産新型車のすべて」の再構成です。

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