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シリーズ初3ナンバーボディ 走行性能や開放感が向上
1996年に登場した初代モデルは、他が商用車ベースのキャブオーバーだったのに対して、FF乗用車ベースでパッケージングが良く、大ヒットとなった。もともと商用車を持っていないホンダが、乗用車用の生産工場でつくれる工夫として生まれたのだが、後にライバルも追従し、2000年代にはFF乗用車ベースが常識になった。
エクステリア
現行モデルは22年に発売された6代目。それまでは標準車とスポーティな装いの「スパーダ」というラインナップだったが、新たに標準車が「AIR」(エアー)と呼ばれることになった。ミニバンは、ギラギラとしたいかつい顔つきのモデルの人気が高く、ステップワゴンでも「スパーダ」がそれに対応しているが、新型の「AIR」はアンチテーゼであり、しかもセンスが抜群にいい。メイク・イット・シンプルという今のホンダデザインの良さが存分に生きているのだ。いかつい顔つきに辟易としている人が増えてきているようで、「AIR」の注目度は想像以上に高く、ミニバンユーザーの成熟度を思わせるが、電動開閉式リヤゲートやブラインドスポットインフォメーションといった装備が「スパーダ」でしか選べないというのが課題で、結局は「スパーダ」を選択するケースが多いという。デザイン的に優れているのに装備で差をつけられてしまうのが残念だ。
乗降性
ボディサイズは拡大されて初の3ナンバーとなったが、衝突安全性の向上が主な目的で、室内空間はそれほど大きくなってはいない。それでもAピラーの角度を立てて取り付け位置を手前に引いたことで視界が開け、シートの改良などで2列目、3列目の開放感も上がったので、広々と感じる。
インストルメントパネル
パワートレインは先代と同様にe:HEVと1.5ℓターボのエンジン車の2種類が用意される。エンジンが発電に徹してモーターで駆動するシリーズハイブリッドを基本としながら、高速/低負荷域ではエンジンが直接駆動して燃費を高めるモードをもつe:HEVは、先代よりもエンジンのフリクションを低減。下り坂などで減速度が強くなるBレンジが加わった。走らせてみると発電制御なども変わっていて、エンジン音が急に高まることがなく、自然なフィーリングになっている。
居住性
日産e-POWERとは違って、エンジンの存在を抑えるのではなく、加速時にはあえて快活なエンジン音を聞かせることで気持ちのいいフィーリングとしているのがホンダらしい。エンジン車もターボラグが減らされて扱いやすくなった。CVTの悪癖であるラバーバンドフィールも、軽くはないボディの割にはよく抑えられている。パワートレイン以上に進化を感じるのがシャシー性能だ。サスペンションのフリクションが少なくスムーズに動くので、乗り心地が快適。それでいて背高なボディでも安心できる安定性が確保されている。先代よりもソフトなのだが、リヤの踏ん張り感があるので、快適性と安定性の両立が果たせているのだ。
うれしい装備
月間販売台数 3937台(23年5月~10月平均値) 現行型発表 22年5月 WLTCモード燃費 20.0 ㎞/ℓ※「e:HEV AIR
ラゲッジルーム
デザインと乗り味が大いに洗練されたステップワゴン。抜群の人気を誇った初代や2代目を彷彿とさせる出来映えなのだ。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.155「2024 最新ミニバンのすべて」の再構成です。