迫力のリヤフェンダーが際立つスポーツモデル「トヨタ・クラウン スポーツ」【最新国産SUV 車種別解説 TOYOTA CROWN SPORT】

デザイナーの想いが設計や技術と共にそのフォルムとして昇華された「トヨタ・クラウン スポーツ」。エクステリアだけでなくインテリアもハイクオリティな「スポーツ」モデルらしく細部にこだわりも見せる。テールゲートのハンズフリー機能を標準装備するなど様々な機能と軽快な走りを見せる爽快な「クラウン」だ。
REPORT:島﨑七生人(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:平岡明純

上質かつ充実の内装は好印象 HEVの軽快な操舵性も美点

1960〜70年代のクラウンには、商用車版ながらピックアップ(トラック)やバンが用意された世代もあった。なのでどんな車型が登場しても不思議ではないが、16代目の最新クラウンで、クロスオーバーに次ぐ新車型として登場したのがこの「スポーツ」だ。

エクステリア

HEVとPHEVの違いとして、全高と地上高がPHEVは5㎜高くなっている。いずれもタイヤサイズは共通だ。なお、撮影車のタイヤ銘柄はミシュラン・e プライマシーだった。最小回転半径は5.4m。

実車はDピラーから驚くほどプレスの深いリヤフェンダーにかけての抑揚が印象的だが、デザイナーによれば、これは「最初にリヤクォーターのスケッチを描き、そのかっこ良さを設計や生産技術の担当者とも有し、量産にこぎ着けたもの」という。スポーツの車名以上のエモーショナルなスタイルはこのクルマの売りのポイントだ。ちなみにスポーツのボディは、同じTNGA-Kプラットフォームのクロスオーバーに対して全長で210㎜、ホイールベースで80㎜それぞれ短く、全体として小気味良いスタイリングに仕上げられている。フロントはクロスオーバー、セダンとも微妙にデザインが変えられているが、和の要素として格子があしらわれているのは各車に共通。スポーツでは235/45R21(レスオプションで225/45R21も設定)サイズの大径タイヤとの組み合わせが、ボディを一層、凝縮感のあるものに見せている。

乗降性

インテリアは例えばセダンとはセンターコンソールの幅に差があるそうだが、非対称のインパネ形状など基本は他のクラウンのそれを踏襲。あくまで水平基調で、デザイン過多ではない点が好ましい。PHEVでは助手席側をなんとも艶やかな赤とした仕様も用意される。装備類は充実しており、ステアリングヒーター、シートベンチレーションをはじめ、ドライバーが助手席のシートポジション(スライドとリクライニング)を調節できるスイッチも備え、後席に人が乗るような場合に助手席を前に寄せる・・といった操作が可能だ。このあたりの装備はセダンと同等のものだ。

インストルメントパネル

インパネ中央のディスプレイオーディオは12.3インチ画面で助手席からも見やすい。12.3インチのフル液晶メーターは、定番の2連ダイヤル表示のほか、1ダイヤル、ダイヤルなしと3つのレイアウトを用意。Casual/Smart/Tough/Sportyと4つのテイストと組み合わせた12パターンから選択できる。

室内スペースはフロントがクロスオーバーと同等、リヤはドアガラスが顔の横にやや近く感じ、囲まれ感がある……が第一印象。着座姿勢は案外とアップライトだが、頭上、足元の空間そのものに不満は感じない。ラインナップはPHEVの「スポーツRS」、HEVの「スポーツZ」の2タイプ。いずれも直列4気筒の2.5ℓエンジン(A25A-FXS型)に前後2モーターを組み合わせた電気式四輪駆動方式E-Fourを採用。PHEVは高出力の駆動用モーターをフロントに搭載し、306㎰のシステム最高出力とWLTCモード90㎞のEV走行距離を実現。

居住性

試乗したHEVを例に挙げると、車速に応じて後輪の位相を逆相から同相に制御するDRS(ダイナミック・リヤ・サスペンション)が採用されることもあり、低速で扱いやすく、高速走行では安定的とキレ味の良さを両立させている。車名どおり、クロスオーバー以上の俊敏なクラウン、またはいい意味でスポーティな5ドアハッチバックを操っているような軽快感が味わえる。

うれしい装備

リヤバンパーの下に足を出し入れするだけでテールゲートの開閉ができるハンズフリー機能を標準装備。停止位置のメモリー機能もあり、狭い駐車場でも活用しやすい。
月間販売台数     2117台 (23年11月~24年2月平均値)
現行型発表      23年10月( PHEV追加 23年12月)
WLTCモード燃費    21.3 ㎞/ℓ ※「SPORT Z」

ラゲッジルーム

乗り味はもちろんセダンを知っていると、締まって感じる場面もあるが、絶対的な動力性能に不満はなく、総じて爽快なドライバビリティが楽しめるクルマに仕上げられている。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.158「2024-2025 国産&輸入SUVのすべて」の再構成です。

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