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【写真】左:GT-R Premium Edition 車両価格○1351万6200円 右:スカイライン400R 車両価格○562万5400円
1000万円オーバーのGT-R(エントリーグレードのPure editionで1082万8400円)と562万5400円 のスカイライン400Rで、購入を迷う人はいないかもしれない。しかし、日産が誇るパイパフォーマンスカーとしての両モデルに興味を持つ人は多いと思う。
と思って、あらためて日産のホームページを開いてみた。
なんと! GT-Rはもうオーダーできない!?のだ!
(本稿の取材は2020年に行なった)
気を取り直して、日産が誇るこの2モデルを同じ角度で比較してみた。
まずはサイズ比較をしてみよう
こうしてみると、両車とお日産の「Vモーショングリル」を採用してはいるが、雰囲気は似ていない。やはりGT-Rの方が「戦闘的」だ。
かつては「スカイラインGT-R」だったわけだから、いまでもスカイラインとGT-Rは近しい関係か、といえば、2007年デビューのR35 GT-Rは、「GT-R専用プラットフォーム」「GT-R専用エンジン」「GT-R専用トランスミッション」などを使い、スカイライン・シリーズとの関連はない。
プラットフォームは
GT-R:PMプラットフォーム
スカイライン400R:FR-Lプラットフォーム
である。GT-Rのデビューは2007年、現行スカイラインV37型のデビューは2013年(国内発売は2014年)だから、GT-Rの方が古そうだが、プラットフォームでいうと、2001年登場のLプラットフォームの方が歴史が長い。ともに、熟成を極めたプラットフォームということもできる。
全長に占めるホイールベースの割合は
GT-R:0.590
400R:0.593
でGT-Rの方が小さい。がGT-Rの方がタイヤが踏ん張っているように見えるのはリヤのオーバーハングが短いおかげだろう。フロントアクスルセンターとフロントドアのオープニングラインまでの長さ、いわゆる「プレミアムレングス」はクーペのGT-Rの方が長い。
ボディ全幅はGT-Rが1895mm、400Rが1820mm。
トレッドは
GT-R:F 1590mm R1600mm
400R:F 1530mm R1560mm
である。日常の使い勝手に影響する最低地上高は
GT-R:110mm
400R:130mm
となっている。この20mmの違いで(性能上はともかく)ちょっとした段差などで気を遣う機会が全然違う。ちなみに、トヨタ・クラウンRSの最低地上高は135mmである。
車重は
GT-R:1770kg
400R:1760kg
でほとんど同じ。
前後重量配分は
GT-R:前軸軸重970kg 後軸軸重800kg
400R:前前軸重:1000kg 後後軸重:780kg
で
GT-Rは前54.8% 後45.2%
400Rは前56.8% 後43.2%
となっている。GT-Rのリヤ比重が高いのは、重量物であるトランスミションをリヤに積む、トランスアクスル方式を採るからだ。
エンジン比較
次はパワートレーン比較だ。
GT-Rが積むVR38DETT型も400Rが積むVR30DDTT型も、60度V型6気筒DOHCツインターボという形式は同じ。
パワースペックは
■GT-R
形式:3.8ℓV型6気筒DOHCターボ
型式:VR38DETT型
排気量:3799cc
ボア×ストローク:95.5×88.4mm
圧縮比:9.0
最高出力:570ps(429kW)/6800pm
最大トルク:637Nm/3300-5800rpm
燃料:プレミアム
燃料タンク:74ℓ
■400R
形式:3.0ℓV型6気筒DOHCターボ
型式:VR30DDTT
排気量:2997cc
ボア×ストローク:86.0×86.0mm
圧縮比:10.3
最高出力:405ps(298kW)/6400pm
最大トルク:475Nm/1600-5200rpm
燃料供給:DI
燃料:無鉛プレミアム
燃料タンク:80ℓ
である。もちろん、GT-Rの方がパワフルだが、400RのVR30DDTT型の高レスポンス、滑らかな回転フィールも高評価だ。現在、もっとも洗練されたV6ターボエンジンであるのは間違いない。
GT-R 3.8ℓV型6気筒ツインターボ
このふたつのエンジンをBMEPで見てみよう。BMEPとは、エンジンの排気量によらずに、トルク特性を横並びに評価するために用いられる理論的な数値だ。排気量あたりのトルクに比例する。
BMEPとは「正味平均有効圧」=Break Mean Effective Pressureのことだ。
最大トルク÷排気量×4π×10で単位は「bar」である。
GT-R:21.07bar
400R:19.92bar
やはりGT-Rの方が高い。
スカイライン400R 3.0ℓV型6気筒DOHCツインターボ
とはいえ、400Rのエンジンの実力は非常に高い。
GT-Rのデビュー時のエンジンスペックは最高出力480ps/最大トルク588Nmだった。このときのVR38DETT型のBMEPは19.45barだ。言い換えれば、400Rのデビュー時のGT-Rと同等の実力を持つと言ってもいいかもしれない。400Rのエンジンのフィーリングは、常に勇ましい音と振動で強心臓をドライバーに印象づけるGT-Rとはだいぶ趣を異にしてジェントルだ(あくまでもGT-Rと比較して、だが)。
トランスミッション
トランスミッションはGT-Rが専用の6速DCTを使うのに対して、400Rはジヤトコ製7速ATを使う。では、400Rの7速ATがスポーツドライビングに向かないかといえば、そんなことはない。ジヤトコが「コクとキレ」を開発コンセプトにして作り上げた7速ATの出来はいい。しかも高速巡航では「7速」あるのが非常にありがたいのだ。
ギヤ比は
GT-R
GR6型6速DCT
1速:4.056
2速:2.301
3速:1.595
4速:1.248
5速:1.001
6速:0.796
後退:3.383
最終減速比:3.700
400R
1速:4.783
2速:3.102
3速:1.984
4速:1.371
5速:1.000
6速:0.870
7速:0.775
後退:3.858
最終減速比:3.133
ペダル類
アクセルペダルは、意外なことにGT-Rは吊り下げ式。400Rは高級セダンらしくオルガン式を採用する。パーキングブレーキは、GT-Rはサイドブレーキレバーで操作するが、400Rは足踏み式。
サスペンション&タイヤ
フロントサスペンション
リヤサスペンション
フロントサスペンション形式は
GT-R:ダブルウィッシュボーン式
400R:ダブルウィッシュボーン式
で同じ。
当然だが、4WDのGT-Rには、フロントにもドライブシャフトが見える。
リヤサスペンション形式は
GT-R:マルチリンク式
400R:マルチリンク式
でこちらも同じ。
ブレーキは
GT-Rがブレンボ製対向ピストン式・フロント6ポット、リヤ4ポット。
400Rは同じく対向ピストン式でフロントは4ポット、リヤが2ポットである。
タイヤは
GT-R:F255/40ZR20 R285/35ZR20
400R:F&R 245/40RF19
両車ともにランフラットタイヤを履く。