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■ブルーバード初のFFとなった7代目ブルーバード
1983(昭和58)年10月17日、日産自動車から7代目「ブルーバード」がデビューした。人気だった先代の直線的なフォルムを引き継いだ7代目は、ブルーバード初のFFレイアウトのメリットを生かして室内空間を拡大したのが特徴である。
・初代ブルーバード(310型:1959年~1963年)
日産は、1957年に誕生したトヨタの小型大衆車「トヨペットコロナ」に対抗するため、1959年に初代ブルーバードを投入した。親しみやすい丸みを帯びたフォルムで、パワートレインは、1.0L&1.2L直4 SOHCエンジンと3速MTの組み合わせ、駆動方式はFRだった。初代ブルーバードは、1ヶ月で8000台を受注してライバルのコロナを圧倒、連続64ヶ月小型乗用車トップに君臨した。これを機に、“BC(ブルーバード×コロナ)戦争“と呼ばれる熾烈な大衆車のトップ争いが始まったのだ。
・2代目ブルーバード(410型:1963年~1967年)
ピニンファリーナ社に依頼した尻下がりデザインが不評で、首位の座をコロナに譲った。それでも、追加されたスポーツモデル「SS(スポーツセダン)」や「SSS(スーパースポーツセダン)」は好評だった。
・3代目(510型:1967年~1972年)
スーパーソニックラインと呼ばれるシャープなフォルムを採用して大ヒット、再びコロナから首位を奪回。1.6L高性能エンジンを搭載した「ブルーバード1600SSS」は、1970年のサファリラリーで総合優勝を果たした。
・4代目(610型:1971年~1976年)
ブルーバード Uというサブネームをつけ、大型化・高級化を図るも人気は低迷。特にフロントフェイスがサメに似ていることからサメブルと呼ばれ、再び首位から陥落した。
・5代目(810型:1976年~1979年)
不人気だった4代目のデザインを見直し、シンプルなスタイルに原点回帰。しかし、オイルショックや排ガス規制の対応に追われて、商品力強化が上手くいかず首位奪還とはならなかった。
・6代目(910型:1979年~1983年)
大きな角型ヘッドライトを組み込んだ直線基調のシャープなスタイリングに変貌。エンジンは、1.6L/1.8L/2.0L直4 OHCが搭載され、豊富なバリエーションを用意。シャープなスタイリングと俊敏な走りの6代目ブルーバードの人気は爆発。販売台数は、27ヶ月連続で小型乗用車トップに君臨し続け、ライバルのコロナを圧倒した。
先進的なFFレイアウトを採用7代目(U11型)
7代目ブルーバード最大の注目は、それまでも縦置きエンジンのFRから、現在主流のフロント横置きエンジンによるFFレイアウトに変更したこと、また車名からダットサンが取れてブルーバードの単独名となったことである。
スタイリングは、人気だった先代の直線的なフォルムを引き継ぎ、ボディタイプは4ドアセダンと4ドアハードトップ、ADワゴン(ステーションワゴン)が用意された。FF化によってホイールベースが25mm延長され、トレッドも80~90mm、全幅は1690mm拡大され、余裕の室内空間が実現された。またFF化に合わせて、サスペンションも変更されて操縦安定性を高めた。
パワートレインは、1.6L直4 SOHCと1.8L直4SOHCのキャブ、インジェクション、ターボ仕様、さらに2.0L直4ディーゼルを加えた5種エンジンと、4速/5速MTおよび3速/4速ATの組み合わせといった豊富なラインナップが用意された。
車両価格は、標準的な1.8L NAの4ドアセダンで120.1万~169.6万円。当時の大卒初任給は13万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算で現在の価値で約212万~300万円に相当する。
ブルーバード初のFF車となった7代目ブルーバードは、先代の爆発的なヒットの影に埋もれて印象は地味だったが、人気を引き継いで好調な販売を堅持した。
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ライバルのトヨタ「コロナ」も1983年1月に登場した8代目でFFに変更した。一方で、もうひとつのライバル関係にあったトヨタ「カローラ」と日産「サニー」についても、カローラが1983年の5代目で、サニーは1981年の5代目でFFに変更された。これら大衆車の代表4モデルがFF化されることで、その後一気にFF化の流れが加速したのだ。
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