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世界で初めて冬タイヤを作って90年
「ノキアン」という名に馴染みがなくても、「ノキア」ならどうだろう? 今でこそ別法人となっているものの、大元は同じ北欧フィンランドの企業に端を発する。携帯電話の世界で一時代を築いた「NOKIA」ブランドにつながる電気通信分野への進出が1960年代なのに対し、タイヤ事業はさらに古く、トラックやトレーラー向けのウィンタータイヤを開発したのは1934年のこと。今年で90周年を迎えるほどに、歴史は長い。そして、わずか2年後には乗用車向けも発売を開始。それが今につながる「ハッカペリッタ」ブランドの起源だという。
3タイプそれぞれが専用設計のスペシャル品
老舗の企業は数多くあれ、注目すべきは今なお現在進行系であることだ。そして、その最新モデルはここ日本でも手に入る。それが、ここで紹介するR5ファミリーだ。
前モデルにあたる「R3」からR4を飛び越えてR5モデルに至る過程には、大幅な性能の飛躍があったという。新旧での最たる違いは設置面積の拡大。溝を増やしブロックの数も増やし、主たるターゲットは主に氷上性能に向く。
とはいえ、いまだスパイクタイヤが現役のヨーロッパにあって、日本で言うスタッドレスタイヤはフリクションタイヤと称されるのが通例で、R5ファミリーもこれに該当する。氷上性能も確保しながら様々な路面にマルチに対応し、世界の極寒地で培われた本格モデルといっても、「もち」や静粛性なども含め、そこで得られる恩恵は幅広い。
さらに一般乗用車向けのベースモデルに加え、SUVやEV用が用意されている点にも注目。いずれもコンパウンドから構造に至るまで、専用設計が施されている。
世界屈指の極寒地をルーツとしつつも、実際は都市部に住む日本国内ユーザーのニーズにもマッチ。サイズラインアップも幅広く、ファミリーカーにも現実的だ。通な選択としても面白い。新興国によるバリュータイヤとは異なる出自を持つだけに価格を売りにはしておらず、入手先も他の国産タイヤほど気軽とは言えないまでも、カーパーツの目利きに叶うセールスポイントは数多い。