元日産エンジニアが「いいクルマだったなぁ」と思い出す日産スカイライン(V36型)【プロが選んだ思い出の愛車・3選(吉川賢一)】

ときに舌鋒鋭く自動車をレビューするモータージャーナリストは、どのような愛車とともに人生を過ごしてきたのだろうか。元日産自動車の開発者という経歴を持つ吉川賢一さんに、歴代のお気に入りの愛車・ベスト3を聞いてみた。

TEXT●吉川賢一(YOSHIKAWA Ken-ichi)

仕事柄、ありがたいことに、さまざまなクルマへ試乗させていただいています。もちろん、自分のクルマを選ぶとなるといろいろなこだわりがでてきてしまいますが、4人が乗れて、速くて静か、そうしたクルマをこれまで探してきたように思います。歴代愛車のお気に入りとして選んだのは、以下の3台です。

1台目:日産スカイライン(V36型)

「静かで速くてデザインも抜群」

V36スカイラインは、インフィニティQ50として海外でも販売されていたラグジュアリーFRセダンです。3.5LのV型6気筒エンジンもありましたが、2.5リッターV6を選んだのは、エンジンが軽量であることと、後期型になって7速ATに変更になったため。また、前期型からガラッと変わったエクステリアに一目惚れしたのも理由です。

エンジンのサウンドも、直列6気筒のような澄んだものではありませんでしたが、十分にいいサウンドで、ドライブは楽しかったです。タイヤ全交換を二度行ない(それだけよく減った)、トータルで8万キロは走りました。一度は乗ってみたかった後輪駆動セダンで、静かで速くてデザインも抜群。いいクルマだったなぁ、と今でも思い出します。

日産スカイライン
12代目となるスカイラインがV36型で、2006年に登場。セダンのエンジンは2.5Lと3.5L、2種類のV6エンジンを搭載していた。
日産スカイライン
2008年にはマイナーチェンジを実施し、内外装のデザインを変更するとともに、エンジンを3.5Lから3.7Lに換装。また、トランスミッションも当初は5速ATだったが、最終的には全車7速ATへとアップグレードされた。

2台目:日産プリメーラ(P12型)

「SR20DEエンジン+6速MTで山道をドライブ」

最初に買ったマニュアルミッション車が日産プリメーラ 20V(P12型)でした。4ドアセダンのスタイルが好きだったこと、そして、念願の6速MTだったこと、200ps超えの2.0リッター直4のSRエンジンを積んでいたことが決め手でした。

純正では車高が高く、野暮ったいデザインでしたが、スプリング交換でローダウンし、エアロパーツも足して乗っていました。軽いとはいえないボディを、パンチのある2リッターエンジンで加速するのは楽しく、一人で山道をよくドライブしたものです。

CVTのプリメーラとの違いは、フロントグリルとヘッドライトのハウジングがブラック塗装になっていること。総生産台数が500台程度と非常に少ないので、道ですれ違うことがほとんどなく、そうしたマニアックな点も気に入っていた一台でした。

日産プリメーラ
初代(P10)、二代目(P11)の端正な3ボックス・スタイルから一転、モノフォルム的なデザインとなった三代目(P13)。2001年から2005年まで日本では販売された。
日産プリメーラ
インテリアも独特。センターに配置されたアナログ3連メーター、オーディオ・ナビ・空調のスイッチを集約したコントロールスイッチ部に注目だ。

3台目:メルセデス・ベンツCクラス ステーションワゴン(S205型)

「このサイズ感でこれを超えるワゴンはもう現れない!?」

いま所有している一台が、メルセデス・ベンツC220dステーションワゴン(S205型)です。メルセデス・ベンツCクラスは、一度は乗っておきたい一台でした。なかでもS205型のC220dステーションワゴンを選んだのは、大きすぎないワゴンであること、最新の直4ディーゼルターボであったこと、後輪駆動であったこと、そしてDセグメントで初のエアサス仕様であったことが決め手でした。

その乗り味は、想像を超えていました。Dセグメントと小さめなボディながら、極上のステリングフィールと乗り心地、そしてトルクフルなエンジンで、高速ツーリングにピッタリの快速ワゴンです。メルセデス特有の乗り味があまりに快適過ぎて、もう離れられなくなりそうです。このサイズ感でこれを超えるワゴンはもう登場してこないんじゃないかなぁ。

すでに欧州では新型C220dへと切り替わりましたが、まだ日本にはまだ未上陸ですし、もう少しこのクルマを楽しもうと思います。

メルセデス・ベンツCクラス
4代目となるCクラスはセダンがW205、ワゴンがS205という型式で2014年にデビュー。すでに新型(W206/S206)が日本でも発表されているが、ワゴンは先行予約を受け付けている段階。
メルセデス・ベンツCクラス
C220dの後期型は2.0L直4ディーゼルエンジンを搭載。最高出力194ps、最大トルク40.8kgmを発生する。

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著者プロフィール

吉川賢一 近影

吉川賢一

元自動車メーカーの開発エンジニアの経歴を持つ。カーライフの楽しさを広げる発信を心掛けています。