費用より仕上がりを重視したレストアが施されたハコスカGT-R【ニューイヤークラシックカーミーティング】
旧車イベントに行くと必ずといっていいくらい見つかるのが日産スカイライン。3代目ハコスカや4代目ケンメリを見ない会場はないといってもいいほど圧倒的な人気車種で、人気の理由は2リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載したGT-Rがツーリングカーレースで大活躍したから。旧車イベントに何度か行ったことがあれば大抵目にしているだろうハコスカGT-Rだが、今回は数多く見る機会があってもここまで徹底した仕上がりになっている個体はそうそうないと思える車両を紹介したい。
このGT-Rは茨城県の中村公夫さんが所有する個体で、5年ほど前に知人から実働車として譲渡してもらった。現在59歳の中村さんだが、ハコスカは昔から憧れてきたものの仕事に家庭にと、これまで手にすることはなかった。ようやく余裕ができた5年前、一念発起されたそうだ。
実働車だったからそのまま乗ることもできたが、長年憧れ続けたハコスカなので妥協したくない。思い切ってフルレストアすることにされた。頼ったのは地元の専門店で、できるだけ当時の姿を再現してほしいと伝える。そこでボディはドンガラ状態にされて鉄板から修正されたのだが、驚くべきはその手法。通常はラインを整えたらパテをつけて最終的な面を出して塗装する。ところがこのクルマではパテを使わず元の鉄板だけで完璧なラインを整えたそうだ。
ボディだけでなく走る機能についても全面的に見直されている。といってもオーバースペックにするのではなく、新車時の性能を取り戻すことを主眼にしている。S20型エンジンは排気量がそのままならミッションも純正のまま。ただいずれもフルオーバーホールされているので、まさに新車時の性能(それ以上?)を楽しめる状態。キャブレターこそ純正のソレックスだが排気系だけはチタン製にするなどモディファイを楽しんでいる。
内装についても手を抜くことはない。ダッシュボードやセンターコンソールは新品かと思ってしまうほど極上のもので、新車時オプションだったラジオやヒーターも純正で揃えられている。またシートは都内の有名な内装職人により張り替えられている。このシート表皮は内装職人が純正と同じ柄を再現したものなので、出来上がりは純正そのまま。純正と異なるのはエンジンの排気系とサスペンション、それにRSワタナベのホイールくらい。ある意味、理想の状態にあるハコスカGT-Rといっていいだろう。