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明るさの「維持」も高性能指標のひとつ
いいヘッドライトはどういうものかを定義すると、その答えはひとつではない。とかく最新の形態であるLEDであっても、求められるものは何かという大元から考える必要がある。物単体での明るさは実現できても、実際にクルマに装着し、そして走行中にどうなるかを考えるべき。
この立ち位置から製品を開発するのがフィリップスだ。とかく国内市場では、単体での明るさを示すルーメン値の測定に重きを置かれるものの、フィリップスでは一環として、灯具に組み込んだ状態での明るさを表すカンデラを重視する。またそのパフォーマンスも、点灯直後のみならず、一定時間経過後も同様を目指すという。
その指針こそが、光束維持率。とりわけLED製品は、稼働熱による影響を受けやすく、点灯状態が続くほどに熱を要因とするパフォーマンスダウンが発生しがち。最新製品である『アルティノン・プロ9000』が目指したレベルは、点灯30分後の性能を95%に留めるというもの。つまりは5%以下のロスである。
裏を返せば、大方の市販品はこれ以上の性能ロスを避けられないということでもある。LEDの特性としては不可避なら、そのロスは最小限に。その考えのもとに採られたのが、熱源ともされるLEDと基盤を完全に分けるトップコンダクト構造であり、そしてアルミボディに直接LEDをマウントする超排熱構造であるという。
この技術は、カーメーカーに納入する最新のOEM技術でもあり、しかも搭載車は一部の高級車のみに限られる高度なもの。市販品だけに、純正品以上のものをとの考えにより、いの一番で供給される徳の高いテクノロジーとも言える。
対向車にも、そして歩行者にも優しくという理念は、本製品のみに言うまでもなく全ての製品に共通する同社の哲学でもある。さらに言えば、ノイズによる干渉や浸水やくもりといった灯具へのダメージが考慮されることも言うまでもない。これこそがグローバル基準。より厳しい市場で揉まれたゆえの産物である。