ホンダNSXのMCでインテグラType SがSH-AWD搭載のハイパフォーマスカーだとわかった! ってホント?

NSXがType RではなくType Sだった理由は新型インテグラにあり!?

先日NSXの最後のマイナーチェンジが実施された。その外観上の特徴は、これまでのグリル形状が大幅に変更されたことだ。発表されたNSX TypeSだけを見ると何の違和感もなく自然に見てしまうが、比べて見るとかなり異なっていることに気がつく。ここでは、その違いを見ていきつつ、Type Sの本質そして未来について考えてみよう。それが、どうやら新型インテグラに行き当たりそう?
2016年発表当時のNSX。
2018年に変更を受けたNSX。メッキグリルがボディ同色となった。

グリルの変化を見ていくと…

現在の2代目NSXが登場となったのは2016年。この時のグリル周りはブラックアウトされた部分との構成だったこともありインテークがかなり大きく、フロントの全面がグリルのようにも見える形だった。

そして小変更が行われたのが2018年。この時にグリルの上部がボディ同色となってグリルにアクセントを与えた。同時に重心を下げて見せるような効果も得ていると思う。

そして2021年。今回のリファインによって、グリル部分をボディパネルと一体化したデザインとしてノーズを伸ばし、Hマークも先端に移動している。その代わりにセンターは左右に大きく開いたグリルに代わり、その両端にがっしりと安定感のあるサイド・インテークが再構築された形だ。ヘッドライト周囲がボディ同色化されたことでヘッドライトも引き締まり、より車体を低く見せ、また小顔化もできているようだ。

グランドエフェクトや冷却効率など、機能第一で開発されたグリルデザインなのだが、なぜこういう形なのかは日本視点ではわかりにくい。

アキュラグリルの変遷にたどり着く

実はこの顔は、ACURA(アキュラ)顔の変遷に基づいているのだ。

2016年、発表当初のアキュラNSX。フロントグリルはアキュラの五角形と上端にメッキプレートを踏襲。ブラックアウト化されているので、これでもわかりにくいが、さらに日本仕様ではナンバープレートがつくので全体の造形が見えない。
2014年のアキュラTLX。
その後2014年後半に登場したILXでは、グリルが進化。NSXに近い造形に。

2016年の2代目NSX発表当初はそれまでのシルバーのグリルカバーを細くする形で採用し、冷却を下の黒いインテークで取る構成。この部分があまり目立たないのだが五角形となっており、まさにアキュラインテークを表現したものだった。さらに日本仕様ではここにナンバープレートが装着されるために、アキュラらしさはイメージできない。

2016年登場のアキュラMDX。グリルがシンプルに。

ところが、同年発表されたMDXでは新しい五角形グリルのみに単純化された。それに併せてなのか、NSX発表後に登場したレーシングモデルのNSX GT3では、メッキ部分のカバーがカーボン化されて五角形グリルのイメージが強くなっている。2018年にはメッキ部分をボディ同色化し、かつてのアキュラの名残を抑えている。

2016年に発表されたアキュラNSX GT3 レースカー。グリルがシンプルな五角形に見える。

そして今回のモデルでは、五角形が姿を消したようにも見えるのだが、左右の底辺部分をワイド化してから底面を削り落としたようにも見える。低重心の表現、とも解釈できそうだ。一連のアキュラとして見るならば、ファミリーフェイスと感じられる顔になっていると思う。同時に低重心イメージを小顔化によって、さらにスーパーカー的存在感を増している。これまでは、フロントグリルが大きく見えてしまうことで、スーパーカーイメージをスポイルしていたように感じていただけに、秀逸なスタイルにたどり着いたようにも思う。

なぜType Sなのか? 北米のハイパフォーマンス戦略が鍵!?

超ハイパフォーマンスカーのリファインといえども、落ち着いた装いを踏襲しているのはさすがにType Rではない、 Type Sの美点だと思う。とはいえ、ではなぜType Sなのか? ということだが、その答えの一つがアキュラ・ブランドにあった。

タイプSは日本では1997年の初代NSXのマイナーチェンジの時に追加されたモデルで、快適性はそのままに10psのパワーアップと軽量化、サスペンション・セッティングの見直し専用装備の採用などを実施。「ワインディンロードでのスポーツドライビングの楽しさを際立たせたモデル」とされている。

1997年に日本で発表された初代NSX Type S。すでにType Rは登場しており、同時にType Tというデタッチャブル式ルーフを持つタルガトップも登場した。

あいにくアキュラにはこのNSX Type Sは導入されなかったが、その考え方はアキュラ・ブランドの方向性と同調できるものがあり、2000年にアキュラTLで登場して以来、多くのモデルにType Sが設定された。

そして現在は、SH-AWDメカニズムを採用したプレミアム・スポーツセダンTLXがType Sをラインナップに加え、その高いスポーツ性が注目されている。

アキュラTLX Type S。

そこに登場したのがNSXのマイナーチェンジ版となるType Sだ。実は北米のアキュラではその後のストーリーがあり、間も無くプレミアムSUVのMDXにもType Sがラインナップされるという。

登場予定のアキュラMDX Type S。

Type Sはアキュラにとってブランドの個性を際立たせる絶好の仕様であり、NSXにType Sが登場したことでよりスポーツ性の高いブランドとしての認知度が高まることになる。そこにハイエンドSUVまでがスポーツ性を謳う。

Type S 戦略はハイパフォーマンス・インテグラへの伏線?

そして、さらに忘れてならないのが、ご存知の方も多いと思うが2022年にインテグラが復活するという発表だ。

当然北米市場ではアキュラ・ブランドとなる。そうなれば、現在のType Sのラインアップ化は、このインテグラに向けた伏線でもあるのでなないだろうか。おそらくは、アキュラのType S大攻勢へのロードマップがすでに敷かれているのだ、と思ったりする!

それゆえに、NSXがType RではなくType Sのほうを世に出したのでは? というシナリオは、どうだろうか。

そして最も重要なことは、TLX、そしてNSXともに最新のType SはすべてSH-AWD(四輪駆動)で登場しているということだ。もちろんMDXのType SもSH-AWDを採用すると予告されている。

車のヘッドライト
アキュラ・インテグラのイメージ画像。

ということはインテグラの登場は? 

フォルムやカテゴリーすらも明らかにされていないが、いまの流れからType SにはSH-AWDがセットであることを考えると、インテグラがTypeSも登場させるとするならば、それはこれまでで最もコンパクトなAWDハイパフォーマンスモデルになると考えるのが普通だ。これが本当だとしたら、それって3代目インテグラにType Rが初めて登場した時くらい、ドキドキすることだ。果たして新型インテグラは、Type Sとともに登場してくれるのだろうか?

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著者プロフィール

松永 大演 近影

松永 大演

他出版社の不採用票を手に、泣きながら三栄書房に駆け込む。重鎮だらけの「モーターファン」編集部で、ロ…