道路の安全を守る頼もしいミニバン・パトロールカーも『トミカ』にあります!

トミカ × リアルカー オールカタログ / No.88 日産 エルグランド 道路パトロールカー

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.88 日産 エルグランド 道路パトロールカー (サスペンション可動・希望小売価格550円・税込)

『トミカ』のNo.88は『日産 エルグランド 道路パトロールカー』です。道路パトロールカーとは、高速道路などで見かける黄色い車両で、道路を管理する道路管理者が組織している交通管理隊によって、道路の安全と円滑な交通の確保を図るために用いられます。

エルグランド 道路パトロールカー実車フロントビュー(PHOTO:本州四国連絡高速道路株式会社/『トミカ』のモデルは特定車両ではありません)

道路は道路法という法律で高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道に分けられていますが、それぞれの道路には、この法律に基づいて道路管理者が設置されることになっています。高速自動車国道、いわゆる高速道路は国土交通大臣が道路管理者ですが、道路整備特別措置法という法律の規定により、実質的には日本高速道路保有・債務返済機構とNEXCO(ネクスコ)各社などの高速道路会社が管理を代行しています。一般国道尾は国土交通大臣と都道府県が、都道府県道は都道府県が、市町村道は市町村が、それぞれ道路管理者となります。

エルグランド 道路パトロールカー実車サイドビュー(PHOTO:本州四国連絡高速道路株式会社/『トミカ』のモデルは特定車両ではありません)

道路管理者はそれぞれが管理する道路に歩道や防護柵、交通標識といった交通安全施設を適切に設置しなければならず、防災点検を定期的に実施したり、一般交通に支障を及ぼさないよう道路を常時良好な状態に維持・修繕することが道路法で義務付けられています。この、道路の安全確保のための巡視活動は、高速道路の場合は菅理を代行している高速道路会社が、一般国道では国土交通省の国道事務所などが、都道府県道は都道府県の土木(工事)事務所や地域整備部などが、市町村道は市町村役場の担当部署などが、それぞれその任にあたる組織を持っており、それらの組織のことを一般に「交通管理隊」と呼んでいます。

この交通管理隊で巡視活動に用いられる車両のことを「道路パトロールカー」と呼びます。おそらく黄色く塗られた高速道路の道路パトロールカーが最も有名でしょうが、実は黄色い車体の両側面および後面に白い帯を入れる車体色は、道路交通法施行規則で定められている色なので、一般国道などの道路パトロールカーも同様に塗られています。最近では高速道路の一部の道路パトロールカーの中には、警察のパトロールカーのように白と紺色で塗られているものも登場しています。これは警察車両に似せることで速度を落とさせる効果を狙っているそうです。

一般に道路パトロールカーは1995年の阪神・淡路大震災以後、震災後の損傷した道路を走行できるよう、また、積雪や凍結路に強く、被追突時の乗員保護性能が高いことから、比較的地上高の高い大型四輪駆動車が選ばれるようになってきました。主な装備は後方を走る車両に対し、前方の事故や落下物の情報を伝え、走行中の車両に注意をうながすために、屋根の上に設置された液晶あるいは電光パネルです。これは停車させて工事区間などの注意のためにも用いられます。また、注意をうながす警光灯も重要な装備です。これには黄色と赤色があり、巡視時は黄色を、現場に急行する時は赤色を点灯させます。また、停車して作業する時などは両方を点灯させます。車内には、発炎筒、カラーコーン、スコップ、ほうきなど数多くの資材が搭載されています。

E52型 エルグランド 実車フロントビュー(250XG/2WD/2010年モデル) 『トミカ』のモデル車両とは異なります。
E52型 エルグランド 実車リヤビュー(250XG/2WD/2010年モデル) 『トミカ』のモデル車両とは異なります。

この道路パトロールカーには前述の理由から大型SUVが多く選ばれていますが、資材や作業員を多く運べるよう、車内の広さを買われて大型ミニバンも採用されます。その中でも代表的な車種が日産の大型ミニバン、エルグランドです。

エルグランドは広い車内空間と高い操縦性能から「高級ミニバンの元祖」と言われ、1997年に初代モデルが発売されると大ヒットとなり、現在は2010年に発売された3代目にあたるE52型が販売されています。このE52型は圧倒的な存在感でエルグランドらしい風格を感じさせるエクステリアとドライバーを高揚させ、同乗者へのもてなし感にあふれたインテリアに加え、意のままの走りとクラストップレベルの燃費性能を両立するダイナミックでラグジュアリーな真の高級車として開発されました。人間工学的にも優れた機能を備え、くつろぎと快適性を追求した多彩な装備が採用されています。

動力性能と燃費性能を大きく向上させるエクストロニックCVT-M6。
リヤサスペンションには優れた操縦安定性と乗り心地を実現するマルチリンクサスペンションを採用。

エンジンは3.5ℓと2.5ℓの2種類が用意されていますが、どちらもクラストップレベルの低燃費を実現、トランスミッションには動力性能と燃費性能を大きく向上させるエクストロニックCVT-M6を採用。広いギヤレンジと低速域からのロックアップを可能とすることで、優れた燃費を実現。また、ドライバーのアクセル制御や運転状況、走行環境を検知しながら最適な変速制御を行なうアダプティブシフトコントロールを採用し、すぐれた走行性能と燃費性能を両立しています。

高級ミニバンにふさわしい最適なチューニングが施された低重心の新プラットフォームは、乗用車のような安定感のある乗り心地と大人7人がゆったりと座れる快適性を両立しており、高剛性ステアリングや高性能ショックアブソーバーなどの組み合わせにより、高い直進安定性を実現。サスペンションはフロント、リヤともにアルミ製リンクを採用し、バネ下荷重を軽量化。リヤには優れた操縦安定性と乗り心地を実現するマルチリンクサスペンションが採用されています。

屋根の上に設置されたインフォメーション・パネルと警光灯は道路パトロールカーには必須の装備。(PHOTO:本州四国連絡高速道路株式会社)
本州四国連絡高速道路株式会社(JB本四高速)で使用されている車両のうちの2台には、赤枠で示した部分に、野生動物の交通事故(ロードキル)を防止する『鹿ソニック』と呼ぶ高周波発生装置が取り付けられている。(PHOTO:本州四国連絡高速道路株式会社)

このE52型エルグランドを使用した道路パトロールカーの中でも、本州四国連絡高速道路株式会社(JB本四高速)で使用されている車両のうちの2台には、野生動物の交通事故(ロードキル)を防止するため、岡山理科大学・教育推進機構の辻維周教授が山梨県の自動車部品メーカー『T.M works』と共同開発した『鹿ソニック』と呼ぶ高周波発生装置が取り付けられています。これは動物が嫌がる高周波を発生させて自動車に近づかないようにする装置で、ロードキルの未然防止効果が期待されています。

『トミカ』の『No.88 日産 エルグランド 道路パトロールカー』は、道路の安全を守り、自然を大切にする優しさを兼ね備えた、E52型エルグランドの道路パトロールカーを再現しています。ベースとなっているのは多くの道路パトロールカーと同様、E52型エルグランドのマイナーチェンジ以前の初期型だと思われます。特定の道路管理者を想定していないので、ちょっと骨が折れますが、側面の白帯の中に0.2mmや0.3mmの極細ライナー(サインペン)などで、お気に入りの交通管理隊の名前を書き込んでみるのも面白いかもしれません。

■日産 エルグランド 250XG(4WD・2010年モデル) 主要諸元 (『トミカ』モデル車種と同一規格ではありません)

全長×全幅×全高(mm):4915×1850×1805

ホイールベース(mm):3000

トレッド(前後・mm) :1610

車両重量(kg):1960

エンジン形式:QR25DE型 水冷直列4気筒DOHC

排気量(cc):2488

最高出力:125kW(170ps)/5600rpm

最大トルク:245Nm(25.0kgm)/3900rpm

トランスミッション:CVT(6速マニュアルモード付き)

サスペンション(前/後):ストラット/マルチリンク

ブレーキ(前後) :ベンチレーテッドディスク

タイヤ(前後):215/65R16 98S

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