クーペのフォルムと乗り味にSUVの使い勝手を融合「BMX X2」【最新SUV 車種別解説】

スタイリッシュでスポーティなフォルムが自慢の「BMW X2」。3タイプを用意するBMWのSUVクーペのラインナップ中、最もコンパクトなモデルになる。SUVのスタイリングを持ちながら、軽快でキビキビとした操縦性で、スポーティなドライビングを楽しませてくれる。
REPORT:岡島裕二(本文)/工藤貴之(写真解説) PHOTO:中野孝次 MODEL:河辺ほのか

低全高でシャープなフォルム 軽快な操舵性能をもたらす足回り

BMWで車名に偶数が付いたモデルは2ドアクーペかクーペ風スタイルの4ドアということになるが、それはSUVのXシリーズでも同じ。つまりX2は3タイプあるSUVクーペの中では最小モデルとなる。

エクステリア

「X2」という名前からは「X1」よりも大きな車体をイメージするが、実は全長はX1よりも短い。 車幅をワイド&背を低くしたハッチバック感覚のモデルと解釈するのが正解だ。最小回転半径は5.1m。

ボディサイズはX1よりも全長が80mmも短く、全高もBMWのSUVの中では唯一機械式駐車場が利用可能な1535mmに抑えられているから、外観はショートワゴンのように引き締まって見える。エンジンを横置きに搭載するFFベースだが、その割りにはボンネットが長くとられているため、スタイリッシュでスポーティなフォルムを手に入れた。そ の上で最低地上高が180mm確保され、タイヤも19インチの大径サイズを履くのでSUVらしい存在感も備えている。Cピラーには70年代に人気のあったクーペモデルの3.0CSを思わせる、サイドエンブレムが装着されているのも特徴だ。

乗降性

室内に乗り込んでみても前席はSUVとしては着座位置が低く、サイドウインドウの高さもあるので、クーペのような包まれ感のあるドライビングポジションになる。SUV特有の開放感はないが、セダンなどから乗り換えても違和感は少ない。

後席も全高を抑えているため閉塞的な感じはするが、着座位置を低めにすることで、大人でも楽に座れる足元と頭上空間を確保した。荷室は奥行き高さともに広くはなく、X1と比べてもだいぶ狭く感じる。そのためX2はレジャー用のSUVというよりも、使い勝手の良いパーソナルSUVクーペと考えた方が良い。

インストルメントパネル

BMWで最も小さなSUVとは言え、コックピット環境はしっかりとBMW流儀。横長のセンターディスプレイや空調コントロールパネルなどを配したセンター部分はドライバー側に傾けられ、視認性&操作性を高めている。シフトレバーは操作後に中立位置へ戻る電子式で、アクセルペダルは支点を下にしたオルガン式だ。

パワートレーンは1.5l3気筒ターボ+7速DCTを搭載したFFモデルに加え、ガソリンとディーゼルそれぞれに、4WDの2.0lターボ+8速AT設定。ガソリンの2.0lターボは、Mモデルを手掛けるMパフォーマンスがチューニングを施した、スポーツグレードの「M35i」となる。この中で、バランス が良いのはディーゼルだ。

1.5l ガソリンでも力不足は感じないが、3気筒特有のノイズと振動が気になる。ディーゼルの方が上質感があり、4WDのアドバンテージも得られる。ディーゼルなら発進直後からトルクフルな加速を味わうことができるし、BMWのディーゼルは高回転域まで軽々と回ってくれるから心地良い。 ディーゼルゆえに発進時には多少カラカラとした音が出るが、走り出してしまえば気にならない。

居住性

軽快感のあるハンドリングもX2の魅力だ。ステアリングの微細な操作に対してもクルマが素早く、的確に向きを変えてくれる。その後も低い重心と引き締まったサスペンションが、姿勢変化を抑えてクルマを曲げてくれるから、SUVに乗っていることを感じさせない爽快なコーナリングを体感することができる。

うれしい装備

オプションとして用意されている「電動パノラマ・ガラス・サンルーフ」は、広範囲をガラスとして開放感が高い。加えて、前後二枚のガラスのうち前方は電動でチルト&スライド可能なのがうれしい。
深さが約30cmもあって収納力抜群の床下収納スペースが実用性を高める。洗車道具などを仕舞うのにも役立つし、たくさんの荷物を積みたいときはボードを外して荷室をより広く使うこともできる。
月間登録台数      NO DATA
現行型発表       18年4月(一部改良 21年4月)
WLTCモード燃費    14.5km/l※「xDrive20d M Sport X」

ラゲッジルーム

SUV独特のゆったりとした乗り味が好きな人にはお薦めできないが、山道や街なかをキビキビと走りたい人には最適なフットワークだ。発売時よりは突き上げ感がマイルドになってきたが、Mスポーツサスペンションや19インチタイヤを採用していることもあり、乗り心地は少し硬め。X2はSUVというより使い勝手の良いスポーティハッチバックというのが正解だろう。SUVでも走りの楽しさを求める人にはお薦めだ。

※本稿は、モーターファン別冊ニューモデル速報統括シリーズVol.141「2022-2023 国産&輸入SUVのすべて」の再構成です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/141

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