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3名乗車までならそれぞれ1泊分の旅行バッグを積んでも快適
元マツダでRX−7(FC3S、FD3S、FD3C)の開発主査をされ、その後はモータージャーナリストとしてご活躍されている小早川隆治さんから「新型ジムニーは機能美を追求した内外装デザインと室内空間への心配りが大変魅力的で興味があるので、ぜひ一緒にジムニーで長距離ドライブをして意見交換しませんか」と誘っていただき、彼の友人と3人で新型ジムニー「XC」 5MTで霧ヶ峰まで高速道路で向かうこととなった。
ジムニーのラゲッジスペースは4名乗車ではさすがに小さいが、3名乗車なら、それぞれ1泊分の着替えや荷物を入れたバックを積んでの長時間ドライブも苦にならない。最初は小早川さんに運転してもらった。その時のコメントは、以下のようなものだった。
「オンロードの走行性能、一般道における乗り心地、ハンドリング、NVH(振動、騒音)が予想をかなり超えた気持ちの良いクルマに仕上がっていて驚いた。首都高速などの継ぎ目がほとんど気にならず、高速道路におけるロードノイズや風切り音もなかなかよく抑えられており、住宅地などの凸凹のある路面での低速走行時の乗り心地も決して悪くない。市街地に住み、日常の足として使いたい一般ユーザーに非常にうれしいことだ」と評価した。
筆者は後席に乗っていたが、着座位置はやや高めで前方の見晴らしも良い。ヘッドクリアランスは四角いルーフ形状もあって十分広く、またサイドとリヤウインドウはプライバシーガラスなので、紫外線が気にならないのが気に入った。
足元は十分広く、シートクッションは厚みがあり、衝撃をしっかりと吸収してくれるし、シートバックは細かく角度調整ができて自分にあったポジションが取れる。十分なエアボリュームのある80タイヤとラダーフレーム、そのボディマウントゴムによる振動吸収との相乗効果もあるだろう。比較的短いホイールベースの軽自動車でありながら、この乗り心地と高速走行の快適性はなかなかのものだ。
ACCでなくても、クルーズコントロールはありがたい
途中から運転を代わり、今後は筆者が運転する。前席でもやはり優れた静粛性と快適な乗り心地は変わらない。長いボンネットを見下ろしながら、高い着座位置で運転できるので、大きな乗用車に乗っているかのようで安心感がある。Aピラーが比較的立っていて、紫外線があまり入ってこないのもの良い。3気筒660ccのDOHCターボエンジンは100km/h巡航で約3800rpmと高めの回転だが「サウンドが心地良い」と言える範囲だ。
重宝したのが「XC」に標準装備のクルーズコントロールだ。軽自動車の高速での長距離移動は高回転を保ってアクセルを踏み続けるのは意外に疲れる。スイッチを押せば速度をキープしてくれて、足をアクセルから離せるクルーズコントロールはドライバーの疲労が軽減され、とてもありがたい。
欲を言えばACC(アダプティブクルーズコントロール)が欲しい気持ちもあるが、現状でも十分に快適だ。軽自動車で高速移動が多い方には「XC」を是非、お勧めしたい。参考までに高速道路走行時のメーターによる燃費値は16〜17km/ℓ程度、一般道では11〜13km/ℓ程度だった。3名乗車で荷物も積んでいたことを考えると、燃費を意識したギヤ比ではない本格オフローダーなので決して悪くない。
ステアリングがリサーキュレーティングボール式のため、適度に緩いがセンターフィールが良好なため、高速直進安定性に優れ、リラックスして運転できる。しかし、100km/h程度の速度域になると横風を受けて柔らかいサスペンションがロール方向へ車体が傾いては、戻って、ゆらゆらと揺さぶられて直進安定性を欠くことがあった。特にトンネルの出口や強風が吹いている際にはちょっと注意が必要だ。
これは後にテストした「ジムニーシエラ」ではほとんど感じられなかったので、軽自動車の「ジムニー」がナロートレッドのため、横風の影響を受けやすいのかもしれない。「ジムニーシエラ」は1500ccのNAエンジンでギヤ比もハイギヤードなので静粛性はさらに高く、余裕もある。高速道路での移動が多く、どちらにするか迷っている人は両方とも比較試乗して、検討した方が良いだろう。