フレーム強化とボディマウントの改良で、クロカン四駆ながら操安乗り心地も一気に進化!【スズキ・ジムニーシエラ 深掘りインプレッション】

先々代と先代ジムニーで合計27万kmを走破した筆者の目に、現行四代目ジムニーはどう映るのか。今でも自分用のクルマを買うならジムニーかシエラだという安藤 眞によるジムニーシエラの試乗コラムをお届けする。
REPORT:安藤 眞(ANDO Makoto) PHOTO:中野幸次(NAKANO Koji)
ジムニーシエラ JC(4AT) 2,084,500円。全長3550mm、全幅1645mmで、軽ジムニーと比べると155mm長く、170mm幅広だ。

フレームの捩れ剛性は1.5倍。シエラは1.3Lから1.5Lに排気量アップ

2018年のフルモデルチェンジから、はや4年が経過したジムニー&ジムニーシエラ。年次改良を重ね、現在は“3型”となっている。

オフロード走行(悪路ではなく路外)を最優先したメカニズムは健在。はしご形フレームの上にボディシェルを載せた構造なので座席が高く、小柄な人が乗り降りするのは少々大変だが、その分、悪路走破性は高い。

狭く見えるジムニーの後席だが、スクエア形状のボディの恩恵で特に肩まわりは十分に余裕がある。シエラもジムニー同様4人乗りだ。
ヒップポジションの高さはジムニー&シエラならでは。遠くまで見渡せるため高速道路の巡行でもストレスが少ない。

悪路走破性の目安には、最低地上高が使われることが多いが、実はこれは、あまり当てにならない。4輪独立サスを持つSUVの場合、アンダーカバーやエキゾーストサイレンサーが計測点になることが多いが、前後リジッドアクスルの場合、計測点はたいていディファレンシャルケース。前者は悪路でヒットすると壊れやすいのに対し、後者は厚い鋼板で覆われているため、乗り上げたり引きずったりしても、まず壊れない。

しかも、実際のオフロードで走行限界を決めるのは、前後バンパーやサイドシルの路面干渉であることが多く、本当に目安になるのは、対地障害角という数字。ジムニーはこれが、前から41度/28度/51度と桁違いに大きい。

データは軽ジムニーの場合。相当な角度で侵入しても前後のバンパーが障害物に干渉しないことが想像できる。並のSUVでは到底太刀打ち出来ない領域だ。

現行型では、フレームもボディも一新。特にフレームは、ほぼ中央にX型のクロスメンバーを、リヤエンドにもストレートのクロスメンバーを追加しており、フレームの捩り剛性が1.5倍に高まっている。ボディのマウントもゴム板を挟んだだけのものから、ちゃんとした円筒形の大容量ラバーマウントとなった。

クロスメンバーの追加で大幅に捻り剛性を向上させたラダーフレーム。
フレームもボディも高張力鋼板の使用率が大幅に高められた。

ノーマルタイヤでもそこそこのオフロードを走り切る

エンジンは軽仕様がRA06となり、K6A型より最大トルクは低くなったが、ロングストローク化によって無過給域の粘りが増しており、悪路走破性は低下していない。シエラは1328ccのM13A型から1460ccのK15B型に換装。こちらもロングストローク化されており、低速トルクと実用燃費が向上している。

トランスミッションは5MTと4ATの両方を用意。トランスミッションの下流には、副変速機も標準装備される。これは自転車の前変速機に相当するもので、ローレンジを選ぶと、トランスミッションのギヤが一律にローレシオ化される。ジムニーのそれは2倍の減速比を持っており、各ギヤの駆動力を2倍に高められる。

こうした仕様のおかげで、ノーマルタイヤでもそこそこのオフロードなら走れてしまうので、手に入れたら一度はオフロードコースを走ってみることをお勧めする(最初は管理されたコースで、インストラクターから指導を受けながらのほうが良い)。

かつてのようなユルさや応答遅れは大幅に改善している

ジムニーは現行型(JB64&74型)になって、操安性や乗り心地が長足の進歩を遂げているが、誤解しないでいただきたいのは、「従来型に較べ」ということ。基本性能はあくまで“本格クロスカントリー4WD”なのだ。軽セダンやワゴンなどに較べれば、操舵応答性に機敏さはなく、乗り心地にもリジッドアクスル特有のドタバタ感はある。もし購入を考えているのなら、普段から走り慣れている道で試乗してから判断することをお勧めしたい。

ということを踏まえて、JA22型(二代目)とJB23型(三代目)で合計27万kmを走った僕がインプレをお届けしよう。まず、乗り心地が飛躍的に良くなっている。JB23型では、舗装路の補修跡を通過した程度でも左右に大きく揺すられ、頭がグラグラと動かされていたが、JB64&74型(四代目現行モデル)では、そうした動きはほとんど出ない。

ジムニーは各世代のモデルライフが非常に長く、JA22型は二代目第4期にあたる。(1995-1998年)
JB23型は三代目で、1998年に登場。三代目ジムニーは10年のモデルライフの後、2018年に現行四代目にバトンタッチした。

フレームの強化とボディマウントのアップグレードが奏功しているのだと思うが、荒れた路面でも身構えずに済むようになった。JB23&43型以前は、ローレンジで這い進むような極悪路は得意でも、林道のハイスピード走行は決して快適ではなかった。それがJB64&74型では、大きく改善されている。

操縦性能はマイルドながら、かつてのようなユルさや応答遅れは大幅に改善。ブレーキの食いつきも普通になった。従来型までは、ユルさや応答遅れを予測した運転が必要だったが、現行型なら、何も気にせず運転できる。

シエラのAT車でエコドライブするには?

シエラの動力性能は力強くなった。排気量が132ccアップされたのが効いており、従来型より低回転を維持したまま静かに走れる。試乗車はAT仕様だが、3速40km/h走行時のエンジン回転数は1600rpm、4速50km/h時で1400rpmぐらい。これより回っているときは、ロックアップがかかっていない。

ジムニーシエラの直4 1.5LエンジンはK15B型。75kW(102ps)/6000rpm、130Nm(13.3kgm)/4000rpmのスペック。

AT車でエコドライブするには、ちょっとしたコツがいる。発進して巡航速度に達したら、メリハリ良くアクセルを戻して、積極的にシフトアップを誘うことだ。シエラの場合、30km/hぐらいでアクセルを戻せば3速に入り、40km/hでやれば4速に入る。

そこから加速する際にも、キックダウンしたりロックアップを放したりしないようにジワジワ行うと良い。そうやって郊外路を約10km走った燃費は15.4km/L(車載燃費計表示)。条件次第でこれくらいは出せる。

アイドルストップが付いたのが現代的だが、ローレンジに入れると作動しなくなるから、オフロードで邪魔になることはない。アイドルストップから発進する際には、エンジンが完全に始動してからアクセルを踏まないと、トルコンが食いつく際のショックを感じる。

ブレーキペダルを放したら、すぐにアクセルを踏み込むのではなく、一呼吸置いてエンジンが完爆するのを待つのが、スムーズに発進するポイントのようだ。

街乗りがずいぶんとしやすくなった現行ジムニーだが、四駆機能にまったく妥協がないところが最大の魅力だ。

著者プロフィール

安藤 眞 近影

安藤 眞

大学卒業後、国産自動車メーカーのシャシー設計部門に勤務。英国スポーツカーメーカーとの共同プロジェク…