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「ソニーのVISION-S」からどう進化したか?
ついに発表されたソニー・ホンダモビリティの新型BEV。2025年発売に向けたプロトタイプがCESでお披露目されたのだ。そのディテールをチェックしてみよう。
今回CESでお披露目されたのは、ソニー・ホンダモビリティの新ブランド「AFEELA(アフィーラ)」の第一弾となるBEVだ。
一見してわかるのは、ロングホイールベース上に構築された4ドアクーペスタイルのデザインであることだ。
以前、ソニーがマグナなどの自動車メガサプライヤーの力を借りて開発したソニーのBEV、VISION-S CONCEPTと比べてみよう。
VISION-Sコンセプトのスペックは以下の通りだ。
ボディサイズ
全長×全幅×全高:4895mm×1900mm×1450mm
ホイールベース:3030mm
車両重量:2350kg
サスペンション:F&Rダブルウィッシュボーン式
駆動方式;4WD
タイヤサイズ:F245/40R21 R274/35R21
モーター×2
定格出力:200kW×2
外観を見比べてみると、VISION-SからAFEELAへ、格段に洗練されたことがわかる。AFEELAのスペックは
全長×全幅×全高:4895mm×1900mm×1460mm
ホイールベース:3000mm
駆動方式:AWD
乗車定員:5名
サスペンション:Fダブルウィッシュボーン式 Rマルチリンク式
タイヤサイズ:F 245/40R21 R275/35R21
また、AFEELAのドアにはドアハンドルがないことが見てとれる。どうやら、「Power Hinge Radar」と 「Entry Camera」がドライバーの接近を検知して、ドアが開く仕組みのようだ(コンセプトMOVIEを見る限り)。が、ドライバー以外の同乗者がどうアクセスするかは、わからない。
外観からわかること
まずは、ボディサイドから。上の写真で丸印で囲んだ部分にあるのは、LiDAR(Light Detection and Ranging)だ。レベル3以上の自動運転には欠かせないセンサーだ。VISION-Sでは、前後左右計4個搭載していたLiDARがAFEELAでは1個になったわけだ。
フロントフェンダーに開閉できるリッドが用意されているようだ。おそらく、これが充電口だろう。これは左右に設けられているので、どちらかが普通充電、もう片方が急速充電口になるのだろう。あるいは、カスタマイズで、どちらか選べるようにするのかもしれない。
サイドビューミラーは、カメラ式で通常のミラーは装備しない。このコンパクトなユニットの中に、「Side CMOS Camera」と「Surround Camera」と「Multi View Camera」の3つのカメラがビルトインされている。
ソニーお得意のCMOSイメージセンサーを使ったカメラは、広ダイナミックレンジと高感度が特徴だ。夜間などの低照度環境で対象物の色、形を認識できる好感度特性によって照明のない夜間の走行時に高品質なデータを取得できるという。
センサーは45個
AFEELAの車載センサー
AFEELAには、45個のカメラ・センサーが搭載される。ちなみにVISION-S02(SUVタイプのコンセプト)では40個だった。
SONY VISION-S02の車載センサー
LiDARも物体との距離を測定するセンサーだ。レーザー光を対象物に照射して反射光を観測することで距離測定を行なう。
ToFカメラのToFとは「Time of Flight」を意味する。物体までの距離をレーザー光で測定するセンサーだ。LiDARと異なるのは、近中距離での測距を得意とすること。形状認識も得意だ。またCPUの負荷はLiDARより低い。
もっとも高価なセンサーであるLiDARはVISION-Sの4個から1個に減った。代わりにカメラセンサーが増加している。VISION-Sは、ある意味「実験車」の意味合いが濃かったから、センサー類は「満艦飾」だったということもあるだろう。AFEELAになって市販化を意識したセンサー構成になったと言える。
インテリアも見てみる
AFEELAではインテリアもスッキリと格段に洗練された。
各部分を見ていこう。ステアリングホイールは、上部が切りかかれていて、飛行機の操縦桿風だ。この形状のおかげで、メーターの視認性は高そうだ。
そのメータに映っている数字を見てみると、航続可能距離は「234km」と表示されている。バッテリー残量と合わせて推測すると航続可能距離は300km程度(300kmに満たない?)なのだろうか。
リヤビューもサイドビューもカメラによるデジタルビューになっている。サイドビューを映しだす両サイドのモニターのデザインは、インテリアに溶け込んでいて上にあるVISION-Sのそれより自然にインテリアに統合されている。