バンコンの市場では現在、「アウトドアギア系」「クロカン4WDルック」「バンライフ」などがトレンドのキーワードになっている。従来のバンコンは、外観はノーマルの商用バンで、中はホワイトウッド系のインテリアでまとまったモデルが多かった。しかし、ビルダー同士で差別化を図るうちに、こうしたファッショナブルなライフスタイル系のモデルが増加していったのである。
キャンパー鹿児島の「CK-Wilder」もまた、こうしたライフスタイルを香らせたバンコンの代表作だ。同モデルは現在のスタイルになる前に“先代”が存在するが、時代の匂いを敏感に察知し、エクステリア、インテリアを進化させてきた。
まず外観から、“今様”をアピールしている。ライトイエローのボディカラー、スタイリッシュな王冠型ホイール、そして四駆系タイヤが外連味として加えられている。これだけで、もはやノーマルのハイエースバンとは一線を画しており、おそらく多くのオシャレ女子のハートを掴んでいるはずだ。
そして、インテリア。バンライフ調のウッドパネルが車内にぐるりと奢られているが、その色合いは絶妙だ。ホームインテリアで人気のあるライトウッド調のパネル、家具でまとめられており、シート&ベッドにはアンティーク調のファブリックをコーディネイト。まるでカフェのようなインテリアになっている。
装備のバランスも絶妙だ。テーブルやラックなどの家具をインストールしつつも、水回りは省略。ミニマルなインテリアにすることで、居住空間の快適性を十分に確保している。セカンドシートはREVOシートに入れ替えて、前後の向きが変えられるだけでなく、フルフラットが可能になっている。後部のマットと連結することで、2680×1350㎜という広大な就寝スペースに。
後部のマットは4分割になっており、取り外し場所によって、室内レイアウトを変化できる。座る場所をリアゲート側にしたり、車内側に移動させたりと、その日の気分でくつろぐ場所を変化できるのは嬉しい。さらにセカンドシートを前向きにした時に、運転席後ろにテーブルを設置できるので、前部をくつろぎ空間、後部をゴロ寝空間に…といった使い方も可能だ。
嬉しいのは、車載クーラー「クールスター」が装備されていること。12Vで稼働するクーラーながら、家庭6畳用に匹敵する冷却能力を持っている。もちろん、サブバッテリーで稼働させることができるので、停車中でも使用が可能。ちなみに、同車には105Ahのディープサイクルバッテリーが2個標準装備なので、満充電であれば、寝苦しい夜中から涼しくなる明け方まではなんとか動かせそうだ。
CK-Wilderは、ヤングファミリーやカップルを対象にしている車中泊モデルだが、一人でノンビリと旅するのもいい。ワークスペースとしても、最適な広さだ。使い方はいろいろだが、ギャレーがないので、寝食分離のスタイルが現実的な使い方となる。食事や風呂はどこかで済ませて、夜は車内で過ごす。そんな旅スタイルがいいかもしれない。もちろん、キャンプ用のバーナーやクッカーを持っていけば、食事を作ることもできる。
ベース車両がハイエースの標準ボディなので、日常生活での使い勝手も良好だ。買い物や家族の送り迎え、ちょっとしたドライブに使っても、キャンピングカーであることを意識させない。日常の保管場所や出先のパーキングにも困らないのがいい。
そして、何より心をくすぐるのは、前述したスタイルだ。内外装のセンスが今の空気感にピッタリで、時代が変化しても古さを感じさせないはずだ。エクステリアはこのまま乗っても十分にハイセンスだが、バンパーガードをフロントに付けたり、ルーフラックを載せたりすると、さらにイマドキのアウトドアギア風にカスタムできるはずだ。
パッと見ただけで何だか心地よい、CK-Wilderはそんなバンコンだ。