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RVブームに生まれた初代カリブは縦置きFFを4WD化
初代のスプリンターカリブは1982年に登場した。現代では消滅してしまったが、カローラの兄弟車であるスプリンターを名乗った4WDだ。とはいえベースとなったのはターセル、コルサ、カローラII。トヨタ初のFFとして縦置きエンジンとしたモデルだった。その縦置きレイアウトを活かして4WDとし、ステーションワゴン以上に大きく見える荷室を持った。リヤのサイドウインドウを大きくすることで、多くのスポーツギアを載せて、遊びに行かれる車としての価値をデザインでもアピールした。
80年代からRVブームが巻き起こったが、このRVとはレクリエーショナル・ビークルの略。単にハイラックスサーフやパジェロなどのSUVだけでなく、ミニバンなども含めた外で遊ぶための車を幅広くRVとして一括りにしていた。そのカテゴリーをさらに拡大し、ちょっとライトに振ったのがカリブ。その翌年の83年にはユーティリティ部分にフォーカスしたともいえるシビックシャトルが登場、91年には三菱からRVRが登場するなど、カテゴリーとしての広がりを生んで行った。
2代目以降カローラ/スプリンターベースに
スプリンターカリブは88年には、ベースをカローラ系に代えて2代目、そして95年には3代目と進化を続け一定の市場を育むというストーリーをたどる。そこでのコンセプトは常に変わらず、ワゴン専用ボディに4WDを組み合わせたものだった。個性的なリヤサイドウインドウをもち、フラットに切り落とされたリヤゲートとリヤピラーに沿った縦型リヤコンビランプは、カリブとしてのアイコンともいえた。
ヘビーデューティのストリートダウン的装い
まさに使い方を目に見える形として提案してきた、カローラ系の中でも非常にアクティブなモデルだった。
初代から主張されていたのは、遊び心ありきで生まれた車だったということだ。何かあるものを、遊びに利用するというのが一般的な車選びだったのだが、アウトドアスポーツのための車として、完全に割り切った形で登場させたのがカリブだ。そんな車を、日常使いするのがおしゃれ。
現代で言うならば、マウンテンバイクやトレッキングシューズのヘビーデュティさがっこいいから街中で使う感覚。街中だから普通の自転車、皮靴……ではなく、カッコイイから使う。
そこにあるのは、「だって、自分はそういう人間だから」。そんな風に自分をさり気なく主張できるのが、その人それぞれの持ち物にあったりする。その感覚を車に持ち込んだのが、カリブだ。
もちろんスポーツカーを日常で使って自己主張することもできるが、それはあくまでも車の世界だけの話。カリブは、その先の世界を車を介して主張することができたのだ。
現在クロスオーバーSUVが大きな人気を得ているが、その内側に隠されたのもそんな思いに違いない。SUVが好きなのではなく、その先にあるものが自分らしさなのだ、と。
カローラクロスが提供してくれる世界観にも、興味津々である。