remシリーズの真骨頂とも言えるハイエンドモデル【このキャンピングカーが欲しい】

ハイエースにはいろいろなボディバリエーションがあるが、この「rem BV」のベースになっているのはバンで最も大きい、ワイド・スーパーロング・ハイルーフだ。市場にはハイエース・メディックをベースにしたモデルもあるが、それは特殊な例だ。実質的にはこのサイズがバンベース最大ということになり、バンコンの中では最大級の室内空間であるということだ。
PHOTO & TEXT●山崎友貴(YAMAZAKI Tomotaka)

キャンパー鹿島のハイエンドバンコンシリーズ

ハイエース最大サイズの、ワイド、スーパーロング、ハイルーフを採用。

remシリーズはキャンパー鹿児島のハイエンドバンコンシリーズだが、「rem second act」や「rem second act neos」は、就寝スペースとダイネットがパーティションで区切られており、完全に分離できるようになっている。その雰囲気はキャブコンというよりは、輸入キャンパーに近い。

しかし、寝室に落ち着いた雰囲気をもたらしてくれる反面、パーティションによって車内全体の開放感が損なわれ、加えて冷暖房効率的にも若干ではあるが非効率的になる部分がある。

この「rem BV」は、車内空間をあえてシームレス化することで、ダイネットと後部常設ベッドの往き来を容易にしている。それは同時に、広々とした車内の雰囲気にも繋がっている。また、車両右側に出窓を装着することで、家具のインストールによる圧迫感を緩和。車中の中でずっと過ごしても、息が詰まるような感覚はない。

インテリアは落ち着いた雰囲気だ。

インテリアはダークウッドでまとめられており、重厚感と落ち着きに満ち溢れている。昨今のスタイリッシュなインテリアでは落ち着かないというミドル&シルバーエイジには、うってつけなのではないだろうか。

サイドのスライドドアを開けるとすぐにダイネットがあるが、配置が絶妙でアプローチがしやすくなっている。モデルによっては、サードシートへの出入りが窮屈なものもあって、筆者のような中年体型のような人間には辛い場合がある。だが、このモデルはスッと座ることができた。

家具がある分だけ左右幅は限られるが、2人旅なら非常に快適なダイネットと言えるだろう。特にヘッドルームのゆとりはハイルーフ車ならではで、シートの上に立ってベッドに移動する際も、天井への接触を気にする必要がない。

家具の一部天板を開けると、シンクが現れる。家具は調理台や小物置きとしても活用されるが、昨今のキャンパーの実態を鑑みれば、調理で使うのは稀かもしれない。現代生活ではなにかとガジェットが多いため、その手のモノを置いておくスペースとしてはうってつけと言える。

後部常設ベッドは余裕のダブルサイズ

セカンドシートにはバタフライ式のREVO シートが採用されており、前向きやフラット化はさほど難しくない。ベッドにするのも、この手のキャンパーの中では容易な部類に入る。ベッド化すると1850×1000㎜の大人2名分の就寝スペースになるが、ファミリーユースや友人の同行時以外は、やはり常にダイネットにして使った方が勝手がいいだろう。

後部常設ベッドは1820×1450㎜のダブルサイズで、二人でもゆったりと寝ることができる。マットは体圧分散タイプが標準となっており、実に快適のひと言。ここでもハイルーフの恩恵によって、床座状態で頭上の圧迫感はない。

後部常設ベッドは出窓の効果もあってゆったりサイズ。

ベッド下は収納空間になっており、手荷物や寝具、アクティビティギアなどを置くことができる。モノが煩雑に置いてあっても、一見しただけは見えないので、生活感を抑えることができるというメリットもある。

前述の通り、このモデルは1ナンバーのハイエースバン・ワイド・スーパーロング・ハイルーフがベースだが、8ナンバー登録車。高速料金、車検サイクルなどでメリットが出てくる。サイズ感的に言えば、やはり普段使いには少々大きいと思うが、旅クルマとして考えるならむしろミニマル。実際には、昼間の行動、食事は外で行い、あくまでも宿泊場所という使い方になると思うが、この中で丸一日過ごしても十分に快適性を維持できると思う。

REVOシートを展開すると、1850×1000mmのベッドが完成。

ちなみに「BV」とはバッテリーヴァージョンのことだというが、シリーズの中にはリチウムイオンバッテリーが標準なモデルがあるのに対して、このモデルはディープサイクルタイプ110Ahが2個標準となっている。リチウムのシステム分だけ、70万円ほどリーズナブルな価格設定となる。スタンダードな状態だと、電装系はほぼオプションで、写真に写っているクールスター(12V用クーラー)や冷蔵庫も後付けとなる。

写真の状態にした場合、価格は860万円となるが、この状態になればもう付けるモノもまずない。四季を通じて、快適なクルマ旅ができると思う。キャブコンに勝るとも劣らない居住空間を持ち、高い機動性を備えたrem BV。大人の2人にぜひチェックしていただきたい。

広い居室と充実装備がrem BVの魅力だ。

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著者プロフィール

山崎友貴 近影

山崎友貴

SUV生活研究家、フリーエディター。スキー専門誌、四輪駆動車誌編集部を経て独立し、多ジャンルの雑誌・書…