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スフィア・コンセプト第4弾
アウディのスフィアコンセプトは、2021年にスカイスフィア(skysphere)とグランドスフィア(grandsphere)、2022年にアーバンスフィア・スペース(urbansphere space)の3つのコンセプトカーがすでに発表されている。
ちなみに、グランドスフィアは、A8の代替、つまりフラッグシップのポジションになると言われている。
今回のアクティブスフィア・コンセプトは、全長×全幅×全高が4980mm×2070mm×1600mm、ホイールベースが2970mmというボディサイズのエレガントなデザインのクロスオーバー・クーペである。サイズもデザインもかなり現実的(投入された技術、とくにインテリアやHMIは未来感たっぷりだが)だ。
プラットフォームはVW/アウディグループの電気自動車専用プラットフォームであるPPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)をベースにしている。PPEはポルシェとアウディが開発を進めていて、2023年末までに最初のアウディ市販モデルが登場する予定だ。
PPEはSUVやクロスオーバーだけでなく、A6のような車高が低いモデルにも使えるという。PPEは(他のBEVも同様だが)前後のアクスル巻にバッテリーを積む。アクティブスフィア・コンセプトはここに約100kWhのバッテリーを搭載する。
アクティブスフィア・コンセプトは前後にモーターを積むAWD、つまりクワトロだ。合計325kW(約442ps)/720Nmのシステム出力となる。
PPEモデルの技術要素で重要なのは800Vの充電テクノロジーだ。高出力の急速充電器を使えば最大270kWで急速充電ができる。10分間で300km以上走行できる電力量をバッテリーに貯められるという。さらに25分未満で容量100kWhのバッテリーを5→80%まで回復させられる。一充電走行距離は600kmをはるかに超える。
デザインは北米マリブのスタジオで
デザインは米国・マリブのアウディデザインスタジオで行なわれた。デザインチームを率いたのは、ゲール・ビュザンだ。彼によれば、アクティブスフィア・コンセプトは、「このモデルはアウディスポーツバックのエレガントなスタイル、SUVの実用性、オフロード性能を巧みに組み合わせた、まったく新しいタイプのクロスオーバー」だ。
フラットなキャビン、ダイナミックなルーフラインはスポーツカーらしいが、285/55R22という大径タイヤや高い最低地上高のおかげで、オフロード走行も可能なことがわかる。最低地上高は基本は208mm、オフロード走行時は248(+40)mm、オンロード走行時は168(-40mm)となる。
オフロード走行時は、冷却性能を最適化するために開きオンロード走行時には空力性能を最適化するために閉じる可動部があるホイールが装着されている。
ブランドの顔であるシングルフレームをアクティブスフィア・コンセプトでも採用しているが、このグリルは透明ガラス製だ。大型のフロントフードを通して乗員に見通しのよい前方視界を提供する。ドア下部の側面もガラスだ。ルーフも透明である。
可変リヤ・アーキテクチャー
アクティブスフィア・コンセプトのリヤセクションは非常に特徴的だ。必要に応じて透明なリヤウィンドウスライドをルーフとほぼフラットな状態にできる。同時にリヤ下部の垂直部分が水平に折り畳まれる。これで電気自転車用のブラケットを備えたアクティブバックと呼ぶ荷台が出現する。
ルーフ構造の中央にはスキーラックが組み込まれている。
未来感たっぷりのインテリア
アクティブスフィア・コンセプトは自動運転モードで走行しているときは、ダッシュボード、ステアリングホイール、ペダル類は見えない位置に格納される。
アクティブスフィア・コンセプトはHMIでも新しい地平を切り開いた。新たに採用したシステムは、ブリ的現実とデジタル領域を組み合わせて「Audi dimensions」と呼ぶ新しい世界を創り出している。
新しいシステムの中心となるのは、革新的な複合現実ヘッドセットでドライバーと乗員が個別に利用できる。複合現実ヘッドセットは柔軟度、制度、表示可能なコンテンツの点で、これまでのARヘッドアップディスプレイの可能性をまったく新しいレベルに引き上げることになるという。
アクティブスフィア・コンセプトは先駆的な世代のテクノロジーを採用した最初のクルマだ。現実世界とデジタルワールドを組み合わせた次元に、インタラクション、つまり相互作用の時間を追加する。前例のない光学精度、最高の解像度とコントラストを備えたシステムは、肉眼では見えないコントロールパネルとディスプレイをヘッドセットで見ることができる。また、ユーザーの視線に従って手を動かすと車両の機能を操作できる。